2022年12月7日水曜日

電気は、もう十分に足りており、原発は、ずーと全く必要ない。政府と大手電力会社が石油火力発電を排すのは、原発推進のために、太陽光・風力発電にストップをかけること。今、原発をやめて、太陽光と風力発電の本気の普及に向けて舵を切る時。

 

(上)

 5月頃から、夏よりも冬の方が需給逼迫が厳しく大変だと騒ぐ根拠になっていた、東電管内の来年1月(来月)のマイナス0.6%の予備率は、今は、安全予備率の3%を超えて4.1%に上がっています。要因は、福島県沖地震で止まっていた新地火力1、2号機の復帰や、姉崎火力5号機を夏に続いて冬も再稼働すること等です。来年前半に新設される姉崎1,2号機、横須賀火力の試運転の電気(kwh)の利用を折り込めば、6%にも上がります。政府は何故か、まだ心配と言っており節電要請を出しました。この逼迫対応で再稼働されるものも、稼働しているものも、LNG火力か石炭火力だけです。これらより他にJERAの石油火力の全て、900万kwが在ります。広野火力1〜4号機、鹿島火力1〜6号機など12機で、原発9基分で予備率にして15%です。これを、政府は隠しています。

 東電管内の火力発電会社のJERAは全ての石油火力発電15機1,000万kw(この内、大井火力の3機計100万kwは本年3月に廃止)を、2020年4月までに約5年かけて計画停止しました(注)。もちろん、老朽火力が多いですが、広野火力3号機(100万kw)1989年、4号機(100万kw)1995年、鹿島火力4号機(60万kw)1992年と、わりと新しいものも有ります。東電管内のピーク需要約6,000万kwの1.000万kwです。これらは将来の稼働に備えて全て維持管理が続けられており、動くのに、政府(政府というより資源エネルギー庁)は1機たりとも使わないと決めて隠し、需給逼迫を演出しBWR原発を再稼働しようと、ここ数年、画策して来ました。続けて今、運転期間の延長と原発のリプレースを決めてしまおうとしています。     

 因みに、同じことを今、九州電力が、川内原発1、2号機の40年運転期間の延長のために、豊前石油火力他を止めて、やっています。

 火力、中でも一番切りやすい、石油火力を排すのは全くもって、間違いです。極めて短い時間の需要ピーク時や需給接近時の供給力調整は、出力を柔軟に上げ下げ出来る火力、特に石油火力が行います。また、太陽光や風力発電の発電量変動を吸収調整するのは、火力です。二つの意味の調整の、特に後者のために、石油火力のkw(設備能力)を確保しておき、太陽光や風力発電を存分に普及させなければなりません。石油火力のkwh(発電量)は、後述しますが、自ずと少ないんです。もちろん、一定発電しか出来ない原発には、「前者の調整」は出来ないし、逆に「後者の調整」の幅を狭め、太陽光発電の抑制を増やし、火力発電を押し退けてしまいます。従って、政府と電力会社のやっている石油火力の排除は、太陽光や風力発電の普及にストップをかけます。もちろん、「後者の調整」は、蓄電システムやデマンドレスポンスに置き換えていく過渡期に必要なものです。

 ところで、6%まで上がった東電管内の1月の予備率には、太陽光発電が供給力として殆ど含まれていません。全国の電力需給の調整と予備率の管理を担当する「電力広域的運営推進機関」によると、「安定的に見込める供給力」を評価して、1月は4%の調整係数を、設備容量に乗算したものを予備率に織り込んでいるということです。「太陽光発電を導入することにより安定電源を代替できる量」ということですが、太陽光発電の稼働率であれば1月は9%(年間は13%)だから、4%という調整係数もよく分かりません。管内の太陽光発電の最大発電実績は1,400万kwですから、仮に設備容量を1,500万kwとしても、その4%、僅かに60万kwhしか見込んでいないわけです。しかし、とにかく、晴天であれば、冬のピーク時は設備容量の6、7割、900万〜1,000万kwh は発電します。雨天の時のことを考えて予備率には見込めないということでしょう。しかし、JERAの石油火力900万kwで、需給逼迫時の出力アップに備えて短期間、待機して「後者の調整」をすればいいです。石油燃料消費量も最小限に抑えられます。ましてや、JERAの石油火力は、設備の償却を既に終え稼働率低下に伴う損失は殆ど有りません。「電力広域的運営推進機関」は、「JERAの石油火力は、東電パワーグリッドが申告する供給力の中身の問題なので関知しない」と言います福島第一原発事故後、原発を代替するエネルギーにしようと、国民が賦課金を負担して普及してきた太陽光発電を、政府は端から予備率に生かそうとしないで、その予備率が低いから原発が必要と言っているわけです。

 また、東西連系線の容量増強をわざと遅らせ、原発のために太陽光電気を捨てています。今頃になって、原発回帰の支持になると見て地域間連系線の新増強計画を発表しています。

 (注)政府・電力会社は「太陽光発電が増え、その変動を吸収調整するため稼働率が低下し経済性が悪化したから石油火力発電を廃止或いは停止した。」と言っています。


(中)

 福島第一原発事故を負っており、ウクライナ紛争を見ている、今、私達は、太陽光発電と風力発電の本気の普及に向けて舵を切る時です。調整電源となる火力発電を確保しながら。

 太陽光発電の普及は政府の言うカーボンニュートラルのためではありません。太陽光発電は、

 まず、安いからです。原発や火力発電のように値上げしなくていいです。太陽光発電のコストは、今、kwh、10円以下です。これからまだ、下がります。太陽光発電の耐用年数は35年くらいはあるのに、政府は、長年、20年と誤魔化してきました。変動費の少ない電源のコストに耐用年数は重大です。火力発電の、これから上がるのは変動費です。

 太陽光発電を普及する二番目の理由は、一極集中発電から自立する電源だからです。マイクログリッドは再エネと蓄電池が核になります。

「再エネ賦課金」は太陽光発電のコストでもなければ、普及に掛かる費用でも有りません。固定買取価格が電気料金の半分以下(事業用11円、住宅用17円/kwh)になっても尚、再エネ賦課金がかかること自体おかしいと思いませんか。「再エネ賦課金」は止まっている原発の維持費になっています。2012年、全量買取制度が始まって以来、19兆円の賦課金を国民が負担しています。ほぼ、同じ期間の停止中の原発の維持費が12兆円です。再エネ買取において、固定価格での買取費用を回避可能費用まで、賦課金が原資で補填される大手電力会社は、その交付金を受けて、それを原発の維持費に使っています。固定価格買取制度の開始直後2,3年の冗長な固定買取価格は、制度の意義とは裏腹に、太陽光発電を排除し原発を進めるため、経産省が太陽光発電のコスト高を放任したのです。そして、高い交付金を20年間受けて原発維持しながら、同時に、これを、太陽光発電の汚点、否、固有の欠点として、いつまでも宣伝しているのです。しかし、今、大事なことは、この冗漫な固定買取価格の賦課金は埋没コストだということです。

 原発のコストが安いと言うのは、ドローバック(注1)を費用としてカウントしていないか、費用を先送りしているだけのことです。それは、次の三つのことを挙げれば十分でしょう。放射能の影響が未解明なこと、核のゴミ処分が未解決なこと、原発は必ず過酷事故を起こすこと(注2)。これらのドローバックの金額評価は仕切れるものでなく、出来る範囲でさえ、分かってくるに連れて原発のコストは上昇の一途をたどります。しかも、今、彼らが安いと言っているのは、こうした結果のコストの、止めているコストと稼働させた場合のコストの差だけを見て言っているのです。

 そして、三番目の理由として、太陽光発電は「究極の自給」だからです。紛争や戦争と不即不離の供給不安が有りません。そして、需要家により近い自給ですから、需要家の節電やデマンドレスポンスの意欲と効果を高めます。防災非常用電源にもなります。送配電の負荷も少ないです。

 そして、四番目の理由は、安全、安定だからです。原発のように放射能を出さないことは、もちろん、分散電源のため、一極集中電源の原発のように、原爆に変わる危険や脆弱性が有りません。

  電気自動車は、系統に依らないで、太陽光発電所からの直接給電を目指すことが大事です。原発電気を給電しないためと、太陽光発電とのシナジーを生かすためです。直接給電は、住宅の屋根上パネルからの自家消費が主流になりつつあります。ショッピングモールの屋外駐車場でも始まっています。住宅用太陽光と電気自動車のセット販売や完全自立型EVステーションも出ています。何しろ、系統から給電するのと直接するのとでは、料金が格段に違います直接給電により、全国の電気自動車が総じて、昼は太陽光発電量の増減に応じて給電し、夜には放電のみすることになります。つまり、全国の電気自動車が巨大な蓄電池になり、太陽光発電の変動性を調整する、否応無いが負担の無い「デマンドレスポンス」が、生来的に仕組まれます。

 太陽光発電を設置する所は、山や森林を切り拓かなくともいっぱい空いています。設置に適した場所を探す目で、街を歩いてみて下さい。農村だったら、農地の上にいっぱい有ります。使用済みパネルの処分の危険を始め、いろんな障害はあるでしょう。しかし、原発のゴミ処分等に比べれば無きに等しいです。どこまで普及できるか、少しでも多く設置するようにやってみることが今、一番大事なことです。火力発電を、調整電源として、また、原発代替のためのバランスとして伴いながら。その火力発電を、蓄電システムとデマンドレスポンスを進めることにより、可能な範囲で置き換えながら。

 原発と太陽光発電の相互排他的な関係の中で、原発が太陽光発電を貶めることにより自分が浮かび上がるということが、様々な場面で、巧妙に行われています。(上)で述べた、太陽光発電を主力電源にと、国民に賦課金を負担させながらも、需給逼迫時の予備率に殆ど生かさないで、その予備率が低いから原発が必要と言っていることもその一つです。制度開始時の冗長な固定買取価格を、埋没コストにも拘らず、資金流用していることは棚に上げ、いつまでも太陽光発電の欠点のようにあげつらうこともそうです。東西連系線の拡大をわざと遅らせ、九電や中国電力の太陽光電気を、太陽光発電への嫌がらせのように捨てていることもそうです。更に言えば、太陽光発電のコストが安いから、メリットオーダーからも最優先されなければならないところ、コストが安いから限界的電気に追いやられるという倒錯が、原発贔屓のもと巧妙に様々に行われています。太陽光発電が変動電源であることを考慮してもです。このことが再エネ賦課金を通じて行われている事象を、次の(下)で述べます。                 

    (注1)「ドローバック」とは「欠点、不利益、障害」 

    (注2)過酷事故の想定について、エネルギー基本計画の本文には記述は有りませんが、電源ミクスの原発20〜22%の根拠になる原発コストに、2000炉年に1回(50機が40年寿命運転して1回)、福島第一原事故級の事故を見込んでいます。実態でも、安全防護の第五層を当然のように、周辺自治体に避難対応を強いています。しかし、過酷事故の想定は、「限りなく原発依存度を低減する」方針の下であり、岸田GXの下では意味が違ってきます。文言として初めて、原子力基本法の第2条3項(基本方針)に、「原子力事故の想定を常に想定し」と記されようとしています。


(下)の一

 大手電力会社は、FIT太陽光電気を固定買取価格で買い取る費用と「回避可能費用」との差額の補填金を毎月、算定され交付されます。これを、「再エネ買取交付金」と呼ぶとします。「再エネ買取交付金」の原資が「再エネ賦課金」です。大手電力会社が「再エネ買取交付金」を停止中の原発の維持費に充てていることは本稿の(中)で述べました。尚、これは、再エネの調達価格となる「回避可能費用」と販売価格の「電気料金」の差額のキャッシュフローだけではありません。

「回避可能費用」の意味は、FIT再エネ電気を買い取ることにより、発電・調達を免れ回避される費用ということです。それが太陽光電気の評価にしようということです2012年に固定価格全量買取制度が始まって、「回避可能費用」は、全電源平均か火力か原発か」、「全コストか可変費だけか」、「再エネの供給力計上はどうか」、などの要素を考慮し決められました。一極中発電所において発電する、送配電前のコストです。分散して在り、地産地消の太陽光発電も、わざわざ、一旦、電気を一極集中発電所に買い取り集められてから需要家に送配電して返されるようなものです。

 2014年に一回の見直しを経て、2016年の電力全面自由化に合わせ、政府は回避可能費用を、市場価格に連動するようにしました。「市場価格連動」は、再エネ電気が無かった時、その相当分を卸市場から電気を調達しており、再エネ電気が有れば、まず、その卸市場からの調達を止める即ち回避するという考え方です。激変緩和措置というのは、2016年以前の2度の固定価格による回避可能費用を「市場連動価格」にソフトランディングするための措置です。賦課金が止まった原発の電気を補い、ましてや、止まった原発の維持費に充てられていることからして、回避可能費用は原発のコストと考えられなくもありません。 

 「回避可能費用」は低すぎるのではないかという問題が当初から有り、河野太郎氏らも問題視ししていました。2016年から市場価格連動になりましたが、2度の固定価格よりも更に下がってしまいました(注1)。この問題は、賦課金は単に電気料金との差し換えだからと、厳密に検証されない感が有りました。結果としては、2012年に制度が始まって以来2021年まで、10年間近く、ずっと7、8円ぐらいで推移して来ました。そして、上がったのか、上げたのか、卸市場価格が高騰で2021年の10月から「回避可能費用単価」は18円から30円/kwh(30分毎、1日48コマ平均)ぐらいの範囲で推移しています。

 従って、2022年の再エネ買取交付金」は大きく減ります。2018年以降の固定買取価格(2018年度:事業用18円/kwh、住宅用24円/kwh)にあっては、「回避可能費用単価」が「固定買取価格」を逆転します。この電気の買取においては「再エネ買取交付金」はマイナスにさえなり、大手電力会社は「電力広域的運営推進機関」(注2)に「再エネ買取交付金」を返納します。「再エネ買取交付金」の交付額は翌年度の賦課金の算定基礎になるので、2023年度の「再エネ賦課金単価」は大きく減りますこの高い回避可能費用が続けば、賦課金は2022年度の3.45円/kwhの「再エネ賦課金単価」をピークに、2030年(注3)を待たず、減少に転じます。

 大手電力会社は、停止中の原発を維持する原資を、だんだん貰えなくなり原発を再稼働する他なく、結局、政府と大手電力会社は、「 福島第一原発事故後、約10年の間、享受して来た低い回避可能費用を諦め手放し卸市場価格を吊り上げ、新電力を葬り顧客を奪い返す、と同時に値上げし、原発再稼働に向けて踏ん切りをつけよう 」ということです。

 尚、太陽光電気の買取りにおいて、2017年度から「送配電買取り」として送配電事業者が、間に入りますが基本、パススルーで、かつ、大手電力会社の小売と未分離、実質一体なので、上の説明では省きました。

 

     (注1)2012年と2015年に始まる2度の固定価格の回避可能費用は激変緩和措置が5年有り、2021年度から完全に市場価格連動になりました。

     (注2)「電力広域的運営推進機関」は、全国の電力需給の調整、予備率の管理に加え、2022年度からFIT費用負担調整業務も担当することになりました。

     (注3)太陽光発電の事業用20年、住宅用10年の固定価格買取期間から、制度開始から18年目の2030年が賦課金のピークと見られていました。


(下)の二

 以上のように書きましたが、この内容を、資源エネルギー庁に確かめると、回避可能費用はそうならないから、賦課金は減らないと言うのです。「回避可能費用単価」は、その電気を買取る時のコマ(30分)の卸市場価格に依り、買い取る時間帯は、余剰の太陽光電気が市場に沢山、売却されており、1日48コマ平均の「18円から30円/kwh」よりも大きく値を下げているからだと言うのです。調べて見ると、資源エネルギー庁の言う通りでした。買取りする時間帯の「回避可能費用単価」は、余剰太陽光電気が市場に捨てられることの多い九州エリアが一番安く、東京エリアも、0.1円/kwh以下(最低入札価格は0.01円/kwh)のコマが15コマ続くことさえ有ります。政府は、低い回避可能費用をまだ諦めていなかったようです。

 送配電事業者が太陽光電気を買取り、市場に売り、大手電力会社が市場から買うという「市場価格連動」ですが、大手電力会社は、その電気を市場から買っていないのかとさえ疑われます。これでは回避可能費用の決まり方は、原発の手前、決して優先されない太陽光発電の「共食い効果」に付け込む「市場価格連動」でしかありません。

 そして、これは自分達、大手電力会社だけのことなのです。新電力がFIT太陽光電気を調達する「特定卸供給」は、卸市場を経ないで、送配電事業者から直に市場価格供給を受けるので調達価格は大きく上昇しています。新電力が自前の太陽光発電所で発電した電気も、一旦、送配電事業者に固定買取価格で売り、逆鞘になっても、高い市場連動価格で送配電事業者から卸供給を受けなければなりません。新電力がFIT太陽光電気を発電・調達するのを諦めさせ、太陽光電気とその顧客を、大手電力会社が囲い込みます。

 大手電力会社は、「市場価格連動」を太陽光発電の「共食い効果」で歪めて、安い回避可能費用を享受し続け、本来、減らなくてはならない賦課金は減らず、今まで通り、多額の買取交付金を受けて原発の費用に使い続けます。

 太陽光発電は、末端の配電線を自由に開放し、その地域一帯で自家消費し、新電力に、非FIT・非FIP・非「送配電買取」でコスト通りの調達・販売をさせるべきです。送配電網は総括原価方式の電気料金を払って来た国民の資産だから出来るはずです。そして「再エネ最優先」に舵を切る時です。


 資料

「市場価格高騰を踏まえたFIT制度上の制度的対応」(資源エネ庁 2021.2.16)

   の5ページ : 「FIT電気が、消費者に届くまでの流れ」図

   の8ページ : 「回避可能費用単価の算定方法」表





2022年9月7日水曜日

資源エネルギー庁は汚染水の海洋放出を直ちに中止し、国家石油備蓄の空き容量に陸上保管して下さい。

  汚染水を、国家石油備蓄の空き容量に陸上保管することが出来ます。

 資源エネルギー庁は、「処理水の陸上保管は場所が有り出来れば、それがいい。ただ、福島第一原発に隣接する中間貯蔵施設は、双葉、大熊町の住民の心情を考えると、復興の妨げになるタンク建設は難しい。他県の受け入れる所は無い。」(2023年7月6日、会津若松市で行われた汚染水に関する住民説明・意見交換会の中で木野参事官、談)と言います。しかし、事故から13年たった今でも、中間貯蔵施設のある双葉町、大熊町の帰還者は、わずかに双葉町、約100人(震災前、約7,000人)、大熊町約700人(震災前、約1万4000人)です。周辺6市村でも、帰還率は約2割です。避難住宅からの追い出しを掛けています。ついには、自宅の汚染がとれず帰れず、退去できない避難民を東京都をダミーに訴える始末です。強制避難基準の20ミリシーベルトを帰還基準に当てています。スリーマイル、チェルノブイリでは、考えられもしなかった帰還政策は失敗です。今なお、緊急事態宣言下にあります。汚染水はいわゆる核のゴミではありません。事故の放射能です。両町に在る中間貯蔵施設の一角に、今も進行中の事故の、被害をこれ以上広げないために、それも、世界に拡大しないために汚染水を溜め置く陸上タンクを建設することは、しごく自然なことです。小出裕章さんが、能登半島自身に関する論稿で「原発事故時の住民の避難計画とは実は故郷喪失計画なのだ。」と言いましたが、正に至言です。

資源エネ庁の言っていることは、「復興の演出の邪魔になるからタンクを立てられない」と言っているも同然です。

福島第一原発事故は、今なお、進行中なのに、終わって、復興もすすみ、事故の痕跡も残したくないと終わったのに

政府の3.11後の施策は全て、福島第一原発事故を小さく見せるという一点です。汚染水の海洋放出も事故を小さく見せるための材料にされました。

 そもそも、このような事態になったのは、復興を願うあまりもあるでしょうが、復興を演出するために、第一原発を事故の痕跡の目立つ石棺に出来ない、増え続ける汚染水タンク群が立ち並ぶのはまずい流すほかない。そうすることが、復興の名の下に、あたかも被害者の意思のように、国民に思わせながら。帰還を無理やり強制する政府の今のあせりは、柏崎狩羽6、7号機、東海第二原発、女川2号機の再稼働というGX原発回帰の初関門を突破するためです。


 それでも、資源エネ庁は、出来ないと言い張るなら、国家石油備蓄の空き容量に汚染水を長期陸上保管する方法を検討し是非実行に移して下さい。

 エネルギー価格の高騰を受けたIEA加盟国の備蓄石油の協調放出により、政府は2022年9月に、国家石油備蓄から151万klを放出し終えました。初めての国家石油備蓄の放出で、備蓄日数にして145日分ある中の、5日分です。タンクは、今、空いた状態です。今ある汚染水は約130万トンですから、この空き容量に丁度、入ります

 国家石油備蓄に汚染水を貯めるなど、突飛に聞こえるかも知れませんが、そうではありません。その理由は三つあります。(尚、以前、公明党もタンカー備蓄を検討していました)

 一つには 国家石油備蓄は、汚染水の処分について、前面に立ってあらゆる対応を取るという国が、備蓄基地を所有していること。

 二つには、国家石油備蓄基地のうち、陸上タンク方式のものの操業管理を、汚染水の所有者であり、管理責任のある東京電力(直接にはJERA)が行なっていること。

 三つには、130万トンの備蓄石油を放出した空き容量に、石油以外の何かを貯めなくてはならないこと。(石油は貯められない。空きっぱなしにも出来ない。)

順に説明します。

 国家石油備蓄は、石油公団と石油元売り会社との半官半民の石油備蓄会社に、国が、所有する石油を寄託する形でしたが、特殊法人改革(公団民営化等)で、2001年に、石油公団が廃止され国の直轄事業となり、石油備蓄基地は国に資産移転され国の所有となりました。備蓄基地の使い方は、汚染水処置について前面に立つと言う国の随意になったわけです。

 石油備蓄基地の操業管理業務は、基地の国有化に伴い寄託事業から委託事業に変わり各石油備蓄会社の100%株主となった各石油元売り会社に、国が、金属鉱物資源機構(JOGMEC)を介し、再委託してきました。2018年に、全国にある10基地(8会社)の内、陸上タンク方式の4基地(4会社)の操業管理業務を、石油元売り会社に代わって東京電力、直接にはJERAが応募落札しました。設立以来の「何々(地名)石油備蓄株式会社」という社名を残したまま、JERAが四つの操業管理会社の完全親会社になり、本社機能を、東京、横浜に分散していたものを、日比谷国際ビル9階のJERA東日本支社の一角に統合し、4基地を一元的に操業管理しています。

 国家石油備蓄は、1998年に5,000万klを達成して以後、その水準を維持しています。義務・目標量は、直近1年間の石油輸入量の90日分のところ、今の備蓄日数は145日分にもなり、大幅に過剰です。3.11後、たびたび、事業仕分けや行政仕分けで、税金の無駄遣いを指摘され備蓄量を削減するよう命令が出ていますが、資源エネルギー庁は少しも応じて来ませんでした。今回が国家石油備蓄からは初めての放出です。石油輸入量が減る中、備蓄日数は今後、更に増え続けて行きます。従って、政府は、放出後の空き容量に石油を積み戻すことは出来ません。かといって、空きっぱなしにすれば、税金の無駄が白日の下になります。空き容量を石油とは別の何かに有効利用する必要が有るのです。ここに汚染水を貯めることが出来ます。全体の備蓄量の削減も喫緊の課題です。

 国が所有し東電が管理運営し汚染水を受けるに恰好な国家石油備蓄基地の空き容量は、正に、国が株式を持って処分の前面に立ち東電が管理運営所有する福島第一原発の敷地の汚染水タンク群の延長と言えます。福島第一原発の敷地の溢れると言われる汚染水タンクが、まだ他所に膨大に有るわけです。国と東電が責務を持って、汚染水を海洋投棄せず引き続き、とどめおくことが出来る所です。国家石油備蓄の陸上タンク4基地が所在する苫小牧、秋田、福井、志布志の何れかの自治体に、陸上保管してもらうわけではありません。その自治体に在る、国と東電の倉庫に搬入、蔵置するだけのことです。汚染水の県外の陸上保管であっても、他県の汚染水受け入れではありません。

 放出設備の海底トンネルは無駄にはなりません。これを利用して、国家石油備蓄基地へ汚染水の移送を海上から一挙に行えます。放出設備の突端の、まだ先500メートルの沖合(中型タンカーの満載吃水の水深を確保)までホースを延ばし、一点係留ブイ払出設備を付けてタンカーに積み移送するのです。追加投資額は40億円ぐらいでしょう。3ヶ月ぐらいで、中型タンカーで10往復、130万トン以上を移送出来ます。放出設備から小型タンカーで受け沖合に運び、中型タンカーに瀬取りする方法も有ります。

 陸上大型タンク保管案や基地外保管案が、申し訳けのように検討された時に挙げられた却下理由を、この方法は全てクリアしています。汚染水の処置は、福島第一原発事故の処理という緊急事態宣言下の対応です。法律に違うからと、或いは、少々の困難により避けられることではありません。政府が法律の制約を利用し自分の都合のいいように事を運ぶ作為がしばしば福島第一原発事故後行われています。法律は緊急な状況変化によって齟齬をきたすもので、その時は柔軟に対応すべきものです。憲法に優先する法律は有りません。

 国家石油備蓄の膨大な過剰在庫を取り崩し、石油を放出消費し、空き容量を更に増やすことは自由自在です。否、取崩す必要が有ります。50日分以上の過剰在庫があるからです。取り崩したあとに、今後、発生する汚染水も貯められます。備蓄日数9日分の空き容量を加えれば、1日70トンの汚染水が発生し続けても、トリチウム濃度が千分の一に減衰する期間の120年間(半減期12年を10回重ね)に、発生する汚染水を全て貯められます。使う容量は、50日分以上の過剰在庫の内たったの14日分(5日分+9日分)に過ぎません。これは、480万klで、ほぼ10基地の国家備蓄基地の1基地相当です。

 トリチウムよりも半減期の長い核種の放出は、120年経過しても危険です。これらを海に流さないために、少なくとも、この120年の内に、デブリを取り出し終えるか、出来なければ、デブリと圧力容器を環境から遮断するよう、底のある地下埋没型石棺に閉じ込める方針変更を、その時には、決断しなくてはいけません。トリチウム分離技術の実用化もあるでしょう。それまで、とにかく海に流しません。

 国家石油備蓄への陸上保管という、40億円ぐらいしか、お金の掛からない、この簡単な方法をとるだけで、政府としては、漁業者との約束を果たせ、風評被害対策の8百億円の基金は必要無くなり、430億円かけて作った放出設備も無駄になりません。そして、近隣諸国に道義を尽くせ、太平洋諸国の信頼を損ねず、これからも、正々堂々と紛争防止のための意見を、国として言っていけます。国家石油備蓄の空き容量の有効活用は、政府にとって願ってもない方法だと思います。何よりも、海洋生物の食物連鎖を通じ生物濃縮した海産物を人が食し内部被曝し、遺伝子を損傷する危険なトリチウムを無害化することが出来ます。




2022年8月23日火曜日

電力需給逼迫のカラクリを解明します。政府の犯罪です。JERAの石油火力発電を廃止させてはいけません。

 まず、5月頃から、夏よりも冬の方が需給逼迫が厳しく大変だと騒ぐ根拠になっていた東電管内の来年1月のマイナス0.6%の予備率が、今どうなっているかを説明します。マイナス0.6%は、いつの間にか、1.5%に、更に、9月予想時点で安全予備率3%を超えて4.1%以上に上がっています。予備率上昇の要因は、福島県沖地震で止まっていた新地火力1号機(福島県、石炭、100万kw)が10月末に、同じく2号機(石炭、100万kw)が1月中旬に復帰すること、新設火力の試運転のkwhが1月に使えること。2月に稼働開始予定の姉崎火力1号機(千葉県、LNG、65万kw)、4月に稼働開始予定の姉崎火力2号機(千葉県、LNG、65万kw) 6月に稼働開始予定の横須賀火力1号機(神奈川県、石炭、65万kw) 等です。7月と8月に急遽、稼働した姉崎火力5号機(千葉県、LNG、60万kw)と知多火力5号機(愛知県、LNG、70万kw)をまた、動かすことも可能です。(予備率6%以上に上がる)。

 JERAは採算が悪化したという理由から、15基有った石油火力発電の全てを約5年かけて2020年4月までに計画停止しました。1,000万kw、原発10基分です。計画停止ということは、将来の再稼働に備えて、廃止にはしないで、メインテナンスを続けるということです。このことは、JERAにも確認しました。今年3月に1回、6月に2回確認して、纏めると「これらはメインテナンスを続けており、確かに古いので、稼働まで1、2ヶ月から半年、掛かるものもあるが再稼働出来る。再稼働するしないは、東電(東電パワーグリッド)から電源別に石油火力電気の注文が予約も含めて有るかどうかに依る。今は電力会社間でLNGの取り合いになっているのでLNGから動かしたい。東電からの注文はLNGと石炭火力電気だけで、計画停止してから来冬まで、石油火力電気の注文は無い。東電管内の予備率にも入っていない。」と言っていました。15機のうち、今年3月に大井火力の3機を廃止したので、今、12機、900万kw、予備率にして15%(平均的な石油火力60万kw1機が東電管内の予備率1%に相当)です。

 大事なことは、動かせる火力発電でも、注文を出して動かそうとしない限り、予備率の供給力に上がって来ないということです。3.11直後に有って、しばらく無かった需給逼迫が、計画停止した2020年度の冬から続く夏、冬と繰り返し起こるようになりました。政府は、6月28日の朝日新聞に、JERAの15機の石油火力発電1,000万kwは2020年度までに無くなったと報道させています。

 LNGと石炭火力だけで安全予備率が確保できるなら、JERAに石油火力電気の注文を出さず予備率にも入らないことは、有っていいでしょう。しかし、JERAに石油火力電気の注文を出さない予備率が低いからと言って需給逼迫を言うなら、他に15%程の予備力を隠しているのだから、不正です。その需給逼迫をもって原発の再稼働が必要と言うならば、それはもう、国民を誑かす国家の犯罪です。

 他の大手電力会社は石油火力発電を必要に応じ機動的に使っています。予備率がマイナスになっても使おうとしないのは東電だけです。東電の支配株主の国、即ち政府が、この犯罪をおかしていることは明らかです。政府は、これが明るみに出ることを恐れて、東海第二原発の行く末を睨みながら、JERAの石油火力を秘密裏に廃止しようとするでしょう。やらせてはいけません。廃止は、犯罪が隠蔽されるだけではありません。この石油火力は、kwh不足時のカバーと、また太陽光発電の予想外変動時のバックアップという、時間単位の「需給一致」をとる機動的調整力として、また化石エネルギーの中での多様化のために、重要だからです。







 

2022年8月5日金曜日

太陽光発電と電気自動車は、直接給電により、相促進し合う相乗効果が抜群。

電気自動車はガソリンを太陽光発電の自給エネルギーに変えてくれる。

 太陽光発電と電気自動車の両方を持つ家庭は、固定価格買取制度の10年の買取期間を過ぎれば、電気自動車に、日照時に屋根上の太陽光発電の電気を充電する。卒FITの電気は売電価格が10円/kwhぐらいで、安く設定されている系統からの15円/kwhぐらいの夜間電力よりも更に安いからだ。充電時間も短縮し、昼間、自動車を使っていない合間に十分、充電可能だからだ。その期間は、太陽光発電の耐用年数が35年くらいなので25年間も有る。走行距離と充電設備の問題は太陽光発電を持つ家庭のマイカーの場合は少ない。家庭が、太陽光発電を電気自動車に充電(自家消費)できるように太陽光発電を付けるという選択の有効性が増す。夜間電力は大手電力会社が主にベースロードの原発の夜に余る電気を安く売るものだ。

 住宅用太陽光発電に限らず、10kw以上の産業用太陽光発電も、電気自動車に直接充電するようになるだろう。固定買取価格は12円/kwhで、直接充電すれば、発電者は電気料金の半額ぐらいで売ることが出来、需要家は安く買える上、賦課金が掛からない。産業用が設置されている郊外や農村から広まるだろう。充電時間の短縮はもっと進むだろう。

 更に良いことは、太陽光発電の「デマンドレスポンス」が、全国の電気自動車が巨大な蓄電池となることで、自動的に仕組まれる。電気自動車は、日照時、太陽光発電量の多い時に充電し、曇天や雨天時、夜に放電のみする。否応無いが負担の無い「デマンドレスポンス」だ。電気自動車の方のメリットは、充電場所が増えること、動力が10円/kwhそこそこの低価格で、再エネ100%になることだ。また、災害時、停電時に電気自動車が電源車として電気を配り送り届けることが出来る。

 太陽光発電の設置場所は、山や森林を切り開かなくても、沢山有る。住宅だけでなく、建築物の屋根、壁が有り、地上設置のものでは、荒廃農地、ソーラーシェアリング等、いっぱい空いている。廃棄処分の危険性は原発に比べれば無きに等しい。かつて世界一だった国内太陽光パネルメーカーを、原発に躍起の国が潰した。国はその責任を取り復活支援をする。大規模、長距離送電の風力発電主体の再エネ利用で来たドイツに対し、日本は太陽光発電主体で来ており、地産地消し易い。電気自動車への直接給電の他に、発電所から直接、自営線で電気を近隣に配り地域一帯で自家消費のようにするなど、太陽光発電を地産地消電源どおりに生かす工夫をすれば、更なる大量導入が可能である。



2022年7月1日金曜日

太陽光発電の賦課金は誰のため? 東京都の、戸建住宅等への太陽光発電設置義務化は正しい。





 東京都が、太陽光発電の新築住宅等への設置を義務化する。これを、週刊新潮(4月28日号)が批判していた。

「150万円の太陽光パネル代で考えると、内、100万円は賦課金等の形で国民全体が負担する。東京で家を買える財力のある人に、全国の国民の電気代から100万円余りを徴収した金で太陽光発電装置を付けてあげ、15年がかりで元を取ってあげるまでの枠組みを、都が制度づけるものと言える。」と書いている。

 国民全体が、再エネ賦課金で太陽光発電の設置代を負担するように書いている。賦課金を太陽光発電設置者が売電収入で受け取るように書いている。

 「賦課金は、設置者が受け取る」というのは、本当にそうだろうか。太陽光電気の価値を考えてみたい。固定買取価格が、少なくとも、価値ではなかろうか。だから、設備化し、電気を作り、そのコストが回収されるよう買い取られる。設置者は賦課金を受け取っていない。価値通り売電しているだけだ。では、賦課金を受け取るのは誰だろう。それは、買取りを行う大手電力会社である。大手電力会社は、「回避可能価格」で太陽光電気を評価する。「回避可能価格」とは、太陽光電気を入れることにより無くなる電気、即ち、発電所で生産或いは調達を免れる電気の価格である。買取に際し、その価格でしか負担しない。つまり、固定買取価格を設置者に払うが、回避可能価格を超える額の、賦課金が原資の交付金を受け取る。回避可能価格は、火力発電の可変費(固定費は含まない)とされ卸市場価格が適用されている。固定価格買取制度が始まった2012年7月から約10年間の回避可能価格の平均は8円/kwhだ。国はこれを、安くコントロールし旧一電に利益誘導したので国民の賦課金単価が予想以上に増えた。

 太陽光電気の賦課金は、太陽光発電を設置する人の売る電気が高いからでなく、それを、買い取る人の評価が安いから有る。

 今、太陽光発電の固定買取価格の住宅用は17円/kwh、産業用(10kw以上)は12円/kwh。太陽光発電装置の耐用年数は35年。買取期間が終わっても、住宅用は25年間、産業用は15年間、10円/kwh以下の価格で電気を供給してくれる。電気料金が今27円/kwhに対し、こんなに長く、安く電気を供給する太陽光発電設置者は、自分が困らないだけでなく間違いなく、日本の電気代上昇を抑え、かつ電気安定供給に貢献してくれる人達である。太陽光発電の発電供給に需要を合わせるように生活と生産を合わせようと思うほどに、長く、安い電気を供給してくれる。何よりも、攻撃を受けても、停電や途絶や爆発の心配の無い、分散して自給自足の電気である。少なくとも住宅用太陽光発電は、環境破壊に無縁だ。廃棄にかかるコストは積み立てられているし、廃棄物の危険は原発の比ではない。

 東京都の太陽光発電設置義務化は正しい施策である。新築住宅だけでなく、既存住宅へも、第三者所有モデル或いは補助金により、設置者に初期投資の負担ない形で、規制緩和して義務ではなく拡大すべきだ。



2022年6月15日水曜日

電力需給逼迫の対策は、「原発9基の稼働」ではなく、国が「予備率算定不正」を認め、原発9基分の休止中の石油火力発電を、冬のマイナスの東電管内予備率に算入すること。


 
(続・続)

 電力需給逼迫の原因の一つは、「大手電力会社が火力発電の休廃止を進めたこと」は
 ”間違い”。            正しくは、「休止した火力発電を再稼働しないこと」


 JERAは、保有する「石油」火力発電の全て 15基、合計出力、1000万kw、燃料 重・原油を、約5年かけて、2020年4月までに長期計画停止
  
    広野火力4基 1号機(60万kw),2号機(同左),3号機(100万kw),4号機(同左)
  鹿島火力6基 1号機(60万kw),2号機(同左),3号機(同左),4号機(同左)
           5号機(100万kw),6号機(同左) 
  大井火力3基 1号機(35万kw),2号機(同左),3号機(同左)
  渥美火力2基   1号機(70万kw),2号機(同左)
   この内、大井火力を今年3月に廃止し、現在、12基、900万kw、原発9基分

  JERAの説明
 これらは、確かに古いが、メインテナンスが続けられており、使用前点検等に、基によって、1、2ヶ月から半年掛かるが再稼働出来る。 順次、廃止していくことも考えていた。 
  今、電力会社間でLNGの取り合い。
 LNG火力の長期計画停止したもの(姉崎5号、知多5号)から先に動かすが、
 これらの石油の 長期計画停止したものは、LNGの次に動かせる。

 JERAは、東電(送配電事業者の「東電パワーグリッド」)から「電源別の電気」の注文を受けて、その「電源」を動かす。石油火力発電を再稼動するしないは、東電から石油火力電気の注文が入るかどうかに依る。
  予約注文も含め、LNGと石炭火力の電気の注文が入るだけ。東電(東電パワーグリッド)から、石油火力電気の注文が、2020年4月停止して以来、今まで、一切無い。
 需給が今夏より厳しい、マイナス予備率の来冬(1月)も、これらの石油火力は動かされない。
   
    東電管内の来年1月のマイナス予備率の安全予備率を越えてメークアップする過程
          (注)火力60万kw1基が、ほぼ1%。
     マイナス0.6%(@5月25日 電力広域的運営推進機関発表)
    →1.5%(@6月28日 広域的機関 発表 
        要因:新地火力(100万kw)3月地震からの復旧間に合う他、赤穂火力、
        東京東北間運用容量増)    
    → 4%(7/20萩生田経産相 東で190万kw手当てと発言。
                        姉崎5号(60万kw)、知多5号(70万kw) がまた使える。
        後1基は資源エネ庁教えない)
    → 5%(新設 姉崎1号(65万kw)2月稼働 の試運転のkwhが1月に使える)

  他の、どの大手電力会社も、石油火力発電を必要に応じ機動的に使っている。長期計画停止中の石油火力は有るが、安全予備率を確保した上で止めており「大丈夫」と言っている。
 電力会社、安定供給責任が使命。JERAも同じ。
 マイナス予備率になっても、長期計画停止の石油火力を使おうとしないのは東電だけ。

 誰が、JERAの石油火力を再稼働しないのか。
   →   国有化された東電だからこそ出来ること。 東電の支配株主の国が、JERAに石油火力電気を注文しないと決めている。(資源エネルギー庁の画策)

 何のため 
   → 需給逼迫を演出して、BWRの再稼働をやりやすくするため。特に東海第二原発(今冬、再稼働予定だった)と柏崎刈羽原発

(追記)
 このJERAの石油火力を需給逼迫対策として動かすコストは ”小さい”。
  短期の待機運転(太陽光発電が予想に反した時の出力アップ)→  燃料費最小限
  高経年で減価償却済み   →  固定費は殆ど只 
     「太陽光発電に圧されて火力発電休廃止」 
       → しかし、バックアップ調整する時の火力の稼働率低下のコストも殆ど只

 石油の重要性 
 → 化石燃料内での「多様化」の必要性( LNG、石炭、石油)  
  太陽光発電の変動の調整を通じて、その普及をもバックアップする電源

電力需要の減少 →  後、2、3年で、電力需給逼迫を材料に、原発再稼働を言うことはできなくなる。→ 資源エネルギー庁の焦り





 1. 「電力需給逼迫」は、政府と東電が原発の再稼働を進めるために、作り出しているもの。

 今、「電力が不足するので、原発の再稼働が必要だ」という論調が盛んになっている。しかし、「電力需給逼迫」は、作られたものだ。東電は、火力発電部門を担当するJERA(中部電力の同部門も吸収統合)の石油火力発電の全て15基、合計出力1,000万kwを2020年4月までに休止した。原発10基分で、いまだに1基も動いていない。大手電力会社とも、火力発電を、石油を休廃止し、LNGと石炭に絞っている。原発を再稼働しなくても、これらの石油火力発電から再稼働すれば、需給逼迫の心配は全く無い。

 東電の15基の石油火力発電は、高経年の発電所だが、稼働できるよう維持管理は続けられており、立ち上げるのに、基によって1、2ヶ月から半年掛かるが、再開出来ないということはない。動かせるけど動かさないのだ。供給予備率の算定では、これらは、全て動かないことになっている。

 去年の冬の需給逼迫を前に、政府は申し訳のように、火力発電所の休廃止を事前届出制にすると広報し、東電はLNG火力の姉崎発電所5号機60万kwを再開しただけである。そして、3月の需給逼迫が起こった。

 これらの石油火力発電を休止した理由を「増える太陽光発電に押されて、石油火力発電の収益性が下がったから止めた」と説明している。太陽光発電の日照に応じ変動する発電量を、全体需給の一致を取るよう火力発電がバックアップ調整する。太陽光発電が増えてきて、この調整コストが嵩み、石油火力発電の収益性が悪化して止めたという意味だ。電力の安定供給にかまわず、しかも、他電源に比べ格安の太陽光発電を国民が賦課金を負担して導入しようと努力しているのに、安易にやってはいけないことだ。ましてや、次に述べるように、この調整コストは殆ど只だ。

 需給が一致して火力発電が電気を供給しているとしよう。そこへ、太陽光発電の電気が加われば、需給の一致を崩さないよう火力発電は同量の電気を、燃料フィードを落として減らす。燃料フィードを落とした分、火力発電の稼働率が低下する。即ち、固定費が回収出来ない。しかし、高経年の15基の石油火力発電所は、減価償却を終わり、殆ど固定費は掛からず、調整コストは殆ど只だ。

 休止した理由として、高い石油価格による収益悪化やCO2のことを言っているものもある。しかし、需給逼迫対応では、その影響は最小限に抑えられる。太陽光発電の突然のバックアップの時や需給逼迫が予想される時に、素早く出力を上げられるよう最低限の石油燃料フィードで待機運転する石油火力発電を複数基、準備しておけば良いからだ。

 上に理由について述べたが、これが、どうであれ、政府はこれらの石油火力発電を動かせるのに動かさないで、予備率から外しマイナス予備率を作り出し、そのことを国民に知らせず、「電力需給逼迫」を煽り、原発を再稼働しようとしている。

 

(続)

 6月23日の朝日新聞朝刊の「参院選 政策の分岐点 エネルギー」を読んで思った。

 記事の大筋は、「太陽光発電の普及で稼働率の低下した古い火力発電の休廃止が進んで、東電管内の来年1月の供給予備率がマイナスになる。電気代が上がっている。この状況下、岸田政権が原発を最大限活用する方針を打ち出した。しかし、原発も課題が多い。再エネも難しさは多い。政府は参院選で争点になるのを避けるが、真正面からの議論が必要。」というものだ。

 「太陽光発電の普及で稼働率の低下した古い火力発電の休廃止が進んで」というフレーズを何故、疑問視しないのだろう。何故、簡単に肯うのだろうか。事によっては、保健所を減らして失敗した大阪のコロナ対応と似た事かもしれないのに。エネルギー基本計画の2030年の電源構成は、火力発電のLNGと石炭は2019年の7割から4割、石油は2019年の7%から2%だ。石油火力について、一足飛びにやったのではないか。電気の安定供給の責任を放棄して、否、原発の再稼働如何が決まる頃に合わせて、需給逼迫が原発の稼働で救われるように。

 東電の火力発電部門(原発、水力、再エネを除いてLNG、石炭、石油だけ)のJERA(中部電力の同部門も吸収統合)は、火力の内、全ての石油火力を止めた。石油火力発電15基、合計出力1000万kw、を2020年4月までに休止した(注)。原発10基分だ。いまだに1基も動いていない。今、政府が需給逼迫対策として再稼働している火力はLNGと石炭火力で石油は一切無い。尚、2022年3月末に大井火力3基105万kwを廃止。

 休止中の12基の石油火力発電は、メインテナンスが続けられており、基によって、使用前点検等に1、2ヶ月から半年かかるが、再稼働出来る。LNG火力から順に石油火力も再稼働して行く。JERAは、東電(東電パワーグリッド)から、電源別に電気の注文を受けて、その電源を動かす。従って、石油火力発電が動くのは、東電から石油火力電気の注文が入るかどうかに依る。今の所、東電からLNG火力電気の注文は有っても、石油火力電気の注文はいつまでたっても無いそうだ。来冬まで半年以上あり、注文さえ確定させておけば、これらの石油火力15基どれもが再稼働に間に合うが、来冬の予備率の算定に全く入っていない。

 他の大手電力会社は、どこも石油火力発電、必要に応じ柔軟に使っている。止めている石油火力があっても、安全予備率を確保した上で止めており、大丈夫ということだ。JERAの姿勢・対応と同じだ。予備率がマイナスになっても、石油火力を止めたままで動かさないのは東電だけである。安定供給が使命の電力会社が、将来の予備率がマイナスで、なす術が無いということがあるだろうか。東電の支配株主の国がJERAに石油火力電気の注文を出さないと決めているのだ。国は国民を騙しても、停電で脅かしても、原発を再稼働したいのである。


 これらの、石油火力発電の12基の内、5基でも、太陽光発電の突然のバックアップや、逼迫時に速やかに出力を上げられるように、待機運転さえしておけば十分だ。燃料フィードは、せいぜい2ヶ月間で、しかも最低限のフィードで、燃料コストとCO2は、あまり心配しなくていい。固定費は高経年で減価償却は終わり殆ど掛からない。固定費が殆ど無いので、太陽光発電の調整のため火力発電の稼働率の低下によるコスト、即ち調整コストも殆ど無い。来冬まで、まだ半年ある。今、確定予約注文を出して、予備率に算入すればいい。全く需給逼迫の心配はない。

(注)

 JERAの火力発電所

      LNG火力発電      4,572   万kw 

    石炭火力発電    730    万kw

    石油火力発電    1,005   万kw   

            計       6,307    万kw


  JERAの2020年4月までに休止した石油火力発電所

  (2014年月から段階的に長期計画停止)

           出力(万kw)   燃料    運転開始  

  広野火力 1号機   60.0      重油・原油  1980年4月  福島県双葉郡広野町

       2号機   60.0    同上     1980年7月

       3号機   100,0    同上    1989年6月

       4号機   100.0      同上    1995年1月

  鹿島火力 1号機   60.0      重油・原油  1971年3月  茨城県神栖市

       2号機   60.0    同上     1971年9月

       3号機   60,0    同上    1972年2月

       4号機   60.0      同上    1992年4月

       5号機   100.0   同上    1974年9月 

       6号機   100.0   同上    1975年6月

  大井火力 1号機     35.0       原油    1971年8月  東京都品川区八潮

       2号機    35.0   同上      1972年2月 2022年3月31日 廃止

       3号機    35,0     同上      1973年12月 

  渥美火力 3号機    70,0   原重油     1981年5月  愛知県田原市

       4号機    70.0      同上     1981年6月

   計   機数 15機 1,005万kw  


 



2022年6月9日木曜日

電気が不足するからといって、原発など再稼働する必要は全く無い。大量休止した石油火力発電を再稼働すれば済むことだ。

 6月8日(水)のNHK 朝イチおける、水野 唯氏による説明でも、6月9日(木)の朝日新聞 社説によっても、電気が不足する理由を、次のように説明している。太陽光発電が増加し、その変動調整のために火力の稼働率が低下し採算が悪化し止めたからだと。そう、確かに、東電と中部電力の火力発電部門を吸収統合したJERAは、15基、1,000万kw有った石油火力発電所を2020年4月までに全て休止した。原発10基分に相当し、いまだに1基も再稼働していない。再稼働したのはLNGの姉が崎火力だけだ。JERAは全ての石油火力発電を休止した理由を「太陽光発電に押されて石油火力発電の収益性が下がったから止めた」と説明している。「押されて」とは、稼働率低下と同様な意味だろう。太陽光発電のせいにされている。しかし、これら15基の石油火力発電所は減価償却年数の15年をとっくに経過し固定費は発生しない。従って、太陽光発電の変動を調整する電源の設備利用率(稼働率)低下にかかるコストは、ほぼゼロである。

 簡単に太陽光発電の調整コストについて説明したい。需給が一致して火力発電だけで電気供給している時、急に陽が照り出し太陽光発電の電気が加わったとしよう。それに合わせて火力発電は同量の電気を、燃料フィードを落として減らす。火力の電気は太陽光電気に置き換わり、その分、火力の燃料費、則ち変動費(=可変費)が無くなる。調整にかかるコストは燃料を減らした時の固定費だけだ。変動電源調整のための、火力発電の設備利用率(稼働率)低下のコストと言われるものだ。調整火力電源の、それ以外の固定費と可変費は、元々の火力発電自体のコストであり、太陽光発電とは無関係だ。太陽光発電の調整に掛かるコストは、大きくは火力発電の固定費だけである。この固定費の一部が回収出来なくなるコストが稼働率の低下するコストである。

減価償却を終わり、殆ど固定費の発生しない高経年の石油火力発電所なので、可変費は前述の通り掛らないので、殆ど只で太陽光発電の調整に石油火力発電を使える。

石油火力を休止した理由は、太陽光発電の導入を難しくするためと、原発再稼働必要論醸成のためである。原発と太陽光発電は相互排他である。ひとえに、原発再稼働のためである。6月9日、JERAに確認すると、石油火力発電を再開しないということでなく、需給逼迫に備えて、LNG火力から順に再稼働していくということである。原発を再稼働する理由がない。


 石油がLNGより燃料コストやCO2排出が高い難をいうなら、多数の石油火力発電を最低限の石油燃料で、太陽光発電の調整の時の出力だけに備えて、待機運転しておく方法が有る。そうすれば、石油燃料をミニマムに抑えながら、太陽光発電の変動の調整幅を大きく取れ、太陽光発電が導入にし易くなる。使いきれない電気が出力抑制されたり、揚水発電に蓄電し切れず捨てられたりすることが最小限に抑えられる。電力需給逼迫は無くなる。一定発電しか出来ない原発のベースロードの下駄が、太陽光発電の調整幅を狭めている。その上、太陽光電気は余れば、その場で捨てられるが、原発電気の夜余る電気は、少なくとも送配電費用を回収する低料金で買われる。最悪、余っても、必ず揚水発電に蓄電され捨てられることは無い。需給の下駄を最小化し、太陽光発電の変動幅を最大化し、太陽光発電の導入を加速する。ピーク時の抑制は、あまり気にせず、導入を拡大することだ。単体でも過積載として既にやっていることだ。

 

2022年3月18日金曜日

東海第二原発いらない一斉行動 第三波を東海村で行なって来ました。

 私は、時々ですが、メッセージを書いた看板を掲げて原発反対のアピールをしています。一斉行動には同じスタイルで一人で参加させて貰っています。一波、二波は神奈川県の地元でやりましたが、3月5日、今回は、東海村でやろうと思い立ち、青春18切符を買って、普通列車で行って来ました。3時から2時間ほど、駅東口の東海村産業・情報プラザの入り口脇に、看板を掲げ、「女の子(愛称)」と「水戸地裁判決」のビラのセットを「自由にお取り下さい」と書いた台に置いて、横に座りました。

 今年の一月中旬頃、同じ場所でやった時のことです。偶々、東海村議会の議員の方から、「横浜から来たんですか。ご苦労さん」と声を掛けられ、お話を聞けました。「村民の反対の率は7割ぐらいで関東と変わりませんよ。村民の間で話題にしにくい。ビラの受け取りは関東よりも遥かに良いでしょ。」と言われました。ビラの受け取りは、その通りでした。私が、「そうなら、村議会は、何故、賛成議員が過半数なんですか。」と聞くと、「原発の方針を明らかにせず、当選している。」と言われました。

 今回に戻ります。座っていると、5、6人の大学生ぐらいの一団が、看板を振り返っているので、全員にビラを手渡しました。そのビラを一人一人が立ち止まって、皆、食い入るように見てくれました。私は、その様子を見て思いました。家庭でも仲間ともあまり話題に出ない、自分達の村にある原発を、今、消費地の関東の人々が、どう見て、どう思って、反対運動をどうしているか、を強く知りたいのではないかなと。

 東海村議会は、今、日本原電も理事に入る商工会が出した請願を、通すところまで来ています。請願の内容は、ありていに言えば、村内の経済のために、稼働する時に必要になる避難計画を、内容はいい加減にして、とにかく早く作ってくれというものです。村民に説明どころか、知らせないで進めています。東海村は距離と同じく住民の思いも、構成的に消費地の人に一番近い原発立地自治体ではないでしょうか。次回は、配るビラは今回と同じで良い、看板のメッセージは、何をどう訴えるか、車中で考えながら、横浜に帰って来ました。