2023年4月12日水曜日

政府は、東京エリアの今夏の電力需給逼迫見通しにおいて、供給量からJERAの石油火力発電を隠し、さらに、需要量も不正をして、やっと、安全予備率ぎりぎりの3%をでっち上げました。

 3月30日に、政府が今夏の電力需給見通しを発表しました。7月の予備率は、猛暑のケースで、北海道と東北エリアが8.7%、中部、北陸から、九州エリアが11.7%、沖縄エリアが22.3%の中で、東京エリアのみが、安全予備率の3%ぎりぎりで、厳しい、これから、火力発電を公募すると言っています。しかし、JERAの石油火力発電が応募することは有りません。

 政府は、東電と中部電力の火力発電部門を統合したJERAの、石油火力発電を隠して来ました。2020年4月までに、JERAの石油火力発電所の全て15機1,005万kwを長期計画停止しました。維持管理を続けており動かせるのに、政府は、今まで一機たりとも再稼働せず、ここ数年の電力需給逼迫を演出して来ました。朝日新聞とNHKにも、これらは無くなったと報道させて来ました。カーボンニュートラルだと言っても、石油が高いからといっても、需給上の必要を差し置いて良いものではありません。それに、需給逼迫を避ける火力運転の燃料消費は少ないです。

 長期計画停止した15機1005万kwの内、大井石油火力3機105万kwを2022年3月末に、鹿島石油火力6機440万kwを今夏の需給逼迫見通し発表の翌日、2023年3月末に廃止しました従って、広野石油火力4機など計6機460万kwを、今夏も隠しています。これは予備率にして、東京エリアは火力発電1機相当の60万kwが1%ですから、7.6%になります。

 もう一つ、政府が予備率見通しを作為的に低くしていることが有ります。

 東京エリアの2022年度の冬季、今年1月は、5月時点の予備率見通しマイナス0.6%が出た後、火力発電が公募され積み上げられ、9月時点で4.1%まで改善し、当月は、節電要請は出されており、見通しの前提と同じ厳寒になって、需給逼迫は回避されました。回避された要因は、供給力を積み上げたことだけではありません。それ以上に、需要が大幅に減少したことでした。厳寒となったものの、前年に比べ需要が、1月は5.3%、2月は8.7%も減りました。この減少には構造的に継続する、継続出来るものが多くあると思います。しかし、今夏の見通しの最大需要量は、この減少を少しも反映せず前年同期の0.4%ほど高めに設定しています。東京エリアの予備率の分子の供給量からはJERAの石油火力を隠し、分母の需要量も不正に過大にして、やっと、安全予備率ぎりぎりの3%を算出したわけです。

 今夏の電力逼迫見通しが発表された同じ日に、日本原子力文化財団が、原子力に関する2022年9月から10月に行った世論調査結果を公表しました。「原子力は必要」というイメージを持つ人が、東日本大震災以降、初めて30%を超えた。その背景には「電力需給逼迫」と「エネルギー価格上昇」が影響しているとしています。

 政府は、「電力は十分に足りている、この先もずーと」という事実が、国民の意識の中に定着することを、今、一番恐れています。恐れながら、原発必要の機運醸成のための偽の世論形成、則ち、国民と諸外国に対し、政府は自分達が原発をやりたいことを、国民の意志の信託だと言いたいのです。

 尚、日本原子力文化財団は、同調査で汚染水についても聞いており、「漁業者の理解を得られるまでは、海洋放出を行うべきでない」という国民の意識が浮き彫りになりました。

海洋放出することについて、「国民の理解を得られていない」は51.9%、「漁業を中心とした関係者の理解を得られれるまでは行うべきでない」は42.3%を占め、「国民の理解は得られている」(6.5%)、「関係者の理解を得られなくとも行うべき」(5.6%)を大きく上回りました。


JERAの石油火力発電所の15機1,005万kw

広野石油火力  福島県双葉郡広野町

 1号機(60万kw 重油・原油 1980.4

 2号機(60万kw 重油・原油 1980.7)

 3号機(100万kw 重油・原油 1989.6)    

 4号機(100万kw 重油・原油 1995.1)

鹿島石油石油  茨城県神栖市 (2023年3月廃止) 

  1号機( 60万kw 重油・原油 1971.3) 

  2号機( 60万kw 重油・原油 1971.9)

  3号機( 60万kw 重油・原油 1972.2)

     4号機( 60万kw 重油・原油 1992.4)

    5号機(100万kw 重油・原油 1974.9)  

    6号機(100万kw 重油・原油 1975.6)      


大井石油火力  東京都品川区八潮  (2022年3月廃止)

   1号機(35万kw 原油 1971.8)

    2号機(35万kw 原油 1972.2)

   3号機(35万kw  原油 1973.12)

渥美石油火力  愛知県田原市 

   3号機(70万kw 原重油 1981.5)

 号機(70万kw 原重油 1981.6)

    計  15機  1,005万kw