2016年6月21日火曜日

参院選の争点隠しは憲法違反


選挙において、或るイシューについて政権が争点から外し民意を問う場にしないことは、主張や内容を国民に訴えないということである。そのイシューについて政権が重大な意思を持ち或いは進めており国民の間で賛否が分かれるなら、何人も法律の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有する」という憲法第16条に抵触する。
条文の「請願」の意味は国会議員や政府へ行う陳情だけでなく、国民が自分の意向を汲む議員を選ぶことを含んでいる。そのためには候補者の主張を国民が「平穏に」判断できるよう候補者の方から国民によく説明がなされる前提がある。自公政権は、憲法の改正案は今後細部の変更があるから国民が判断するのは先の国民投票でよいと言う。これは詭弁であることをはっきり言わなくてはいけない。国民投票に掛けるような重要なことはいきなりでなく、その前から国民は理解と熟考の積み重ねの機会を何度でも与えられることが「平穏」の意味することである。ましてや、改正案と閣議決定された集団的自衛権が示す通り政権の方向性は明らかであり、しかも改憲発議できる議席数に達せば堰を切って進む不安を多くの国民が感じている。電気は十分足りている上、福島事故の収束に悪戦苦闘しているのに政権は、国民の反対する意見を押し切って原発の再稼動と輸出を行っている。こうした政権の矛盾を選挙において土俵に上げないで、国民は憲法16条の国政への関与の権利、即ち平穏に請願する権利をいつ何時、行使するというのか。ましてや、18歳から20歳になる人が国政選挙で初めて投票する。
政権政党から争点とされなくても、戦争法案と原発については、国民が政権政党に投票している限り国民の意に反して進んで行くことを見落としてはならない。