2022年7月1日金曜日

太陽光発電の賦課金は誰のため? 東京都の、戸建住宅等への太陽光発電設置義務化は正しい。





 東京都が、太陽光発電の新築住宅等への設置を義務化する。これを、週刊新潮(4月28日号)が批判していた。

「150万円の太陽光パネル代で考えると、内、100万円は賦課金等の形で国民全体が負担する。東京で家を買える財力のある人に、全国の国民の電気代から100万円余りを徴収した金で太陽光発電装置を付けてあげ、15年がかりで元を取ってあげるまでの枠組みを、都が制度づけるものと言える。」と書いている。

 国民全体が、再エネ賦課金で太陽光発電の設置代を負担するように書いている。賦課金を太陽光発電設置者が売電収入で受け取るように書いている。

 「賦課金は、設置者が受け取る」というのは、本当にそうだろうか。太陽光電気の価値を考えてみたい。固定買取価格が、少なくとも、価値ではなかろうか。だから、設備化し、電気を作り、そのコストが回収されるよう買い取られる。設置者は賦課金を受け取っていない。価値通り売電しているだけだ。では、賦課金を受け取るのは誰だろう。それは、買取りを行う大手電力会社である。大手電力会社は、「回避可能価格」で太陽光電気を評価する。「回避可能価格」とは、太陽光電気を入れることにより無くなる電気、即ち、発電所で生産或いは調達を免れる電気の価格である。買取に際し、その価格でしか負担しない。つまり、固定買取価格を設置者に払うが、回避可能価格を超える額の、賦課金が原資の交付金を受け取る。回避可能価格は、火力発電の可変費(固定費は含まない)とされ卸市場価格が適用されている。固定価格買取制度が始まった2012年7月から約10年間の回避可能価格の平均は8円/kwhだ。国はこれを、安くコントロールし旧一電に利益誘導したので国民の賦課金単価が予想以上に増えた。

 太陽光電気の賦課金は、太陽光発電を設置する人の売る電気が高いからでなく、それを、買い取る人の評価が安いから有る。

 今、太陽光発電の固定買取価格の住宅用は17円/kwh、産業用(10kw以上)は12円/kwh。太陽光発電装置の耐用年数は35年。買取期間が終わっても、住宅用は25年間、産業用は15年間、10円/kwh以下の価格で電気を供給してくれる。電気料金が今27円/kwhに対し、こんなに長く、安く電気を供給する太陽光発電設置者は、自分が困らないだけでなく間違いなく、日本の電気代上昇を抑え、かつ電気安定供給に貢献してくれる人達である。太陽光発電の発電供給に需要を合わせるように生活と生産を合わせようと思うほどに、長く、安い電気を供給してくれる。何よりも、攻撃を受けても、停電や途絶や爆発の心配の無い、分散して自給自足の電気である。少なくとも住宅用太陽光発電は、環境破壊に無縁だ。廃棄にかかるコストは積み立てられているし、廃棄物の危険は原発の比ではない。

 東京都の太陽光発電設置義務化は正しい施策である。新築住宅だけでなく、既存住宅へも、第三者所有モデル或いは補助金により、設置者に初期投資の負担ない形で、規制緩和して義務ではなく拡大すべきだ。