2015年4月19日日曜日

太陽光発電を国民負担なく普及する方法

再生エネルギー発電比率を国民負担を増やすこと無く上げる方法がある。
簡単である。それは、太陽光の真実のコストを皆んなが了知することである。
太陽光は15.2円/kwh電気料金の6、7割であり安い。了知されれば、固定価格買取制度など無くともほっといても普及する。もし、了知が徹底しないならば、野立ては正味コストで国が設置すればいい。国の意思の及ばない個人所有の住宅屋根や遊休地に設置する太陽光のみ電気料金に近い買取価格で制度を残せばいい。原発なくても足りている。太陽光の普及を急がず慌てず着実に、しかも個人住宅にやっていけばよい。そうすれば、賦課金の負担は緩和されるし、個人に買取マークアップで還元される。

投資後の原燃料費や維持費の無い太陽光は初期投資と寿命で殆どコストが決まる。エネルギー種別コストを担当する発電コスト検証ワーキンググループにおいて太陽光の寿命、即ち稼働期間は突き詰めて確かめられなかった。固定価格買取制度(FIT)の買取期間20年と稼働期間は何の関係もないはずなのに安易に同じにされた。この同一化は固定買取価格にコスト単価にが歪められて一致することを意味する。何故こうなったかというと、現状の普及誘引費用をコストに含める方針がまずあって、買取期間を稼働期間としさえすれば安易に足れりとしたためである。つまり買取価格マークアップが正しくコスト補填としてコストを構成しているかどうかのチェックが置き去りにされた。
コスト検証ワーキンググループは住宅用太陽光のコスト17.5円/kwhのものを29.4円/kwh(平成15年度固定買取価格33円/kwh)、産業用太陽光コスト15.2円/kwhのものを24.3円/kwh(平成15年度固定買取価格27円/kwh)と算定した。とんでも無いことである。
こんなことだから、寿命の検証のみならず固定価格買取制度の改善など考えも及ばない。

サンクコストは選択前、付随費用は選択後発生する。それらを外して、まず、今始めたらの、ありのままの裸のコストによりエネルギー種別選択について考量することが肝要である。今投資して何年の寿命か、その寿命で投資額を回収するには何円/kwhの収入が見合うか(即ち資本回収)がコスト単価(円/kwh)である。投資額を稼働期間に亘り毎年ソーラーローン金利2.3%で割増した収入年金で回収する、即ち現に投資借入額の均等返済が出来る収入である。特に住宅用太陽光は、今投資して電気料金と比べてどうかの観点が、今一番重要である。原発の事故コストや政策経費は別掲すれば足りることであり、況や他のエネルギーにも横並びを強いて付随費用をコスト単価に紛れ込ませてはならない。
今投資するのであって2030年ではない。地産地消型電源は裸の正味コストが一番大事で本当のコストである。

住宅用太陽光が飽和すれば発電比率15%に達し原発の発電量を代替できる。民生用エネルギーを住宅用太陽光で受け持ち、民生用に流れる原発電気を無しですまし、民生用に流れていた火力電気で産業用の原発電気を無しですますという代替である。賦課金があれば売電収入を介し個人需要家に還元される。
「系統安定化と出力調整」の問題に関しては、住宅用太陽光はもともと送電網の負荷が少ない。また蓄電を集中型から分散型に変えていけばよい。米国テスラモーターズが1kwあたり4万円の家庭用リチウムイオン蓄電池を開発した。太陽光発電システムのわずか十分の一の金額を占めるだけだ。民生用エネルギーの永遠の究極の自給がなり、CO2がもろに削減できる。さらに、究極の自給は安全保障に絶妙であり多くの関連コストが削減できる。安いことを周知し、住宅用太陽光を主体に普及させることで殆どの問題が解消される。

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次の記事は「
固定価格買取制度で歪められる太陽光発電コスト」を読んでください。




2015年4月5日日曜日

温室効果ガス削減の出発点は何時

政府は放射能を今、だだ漏れにしておきながら、温室効果ガスの削減目標を立てる資格が有るのだろうか。今、日本が日本にしかできない、やらなければならないことは、そんなことより、CO2削減のために原発を使ってはいけないと世界に訴えることである。CO2削減目標は対外的に猶予される大義名分は立つ。事故と今悪戦苦闘していることを素直に世界に白状し詫び、原発輸出を止めれば、CO2削減目標の減免と猶予を貰えば良い。
原発は、ウラン精錬過程で莫大なCO2を出し、冷却水排水で海を温め地球を温暖化する。仮にそうでないとしてもCO2削減のためにいつかは放射能を出すものを使うこと自体が、同じ環境に対して軽重の転倒であることに気づこう。
日本国民に福島後一度も原発の是非を問わずにきたが、国民の 非とする総意を、原発の電気の減少対応に当面専念しCO2削減は可能な範囲で対応にとどめたいとの旨で世界の国民に表明すれば、世界は猶予を与えてくれる。将来、日本は世界に原発を用いないCO2対策を広め指導し貢献すれば恩返しできる

政府は、太陽光が原発を代替する場合、調整のための火力の焚く量が増え、CO2の排出量が増えるとの刷り込みを行っている。太陽光発電コストは高いという刷り込みに続く、太陽光発電を不当に評価する第二弾である。真実は、太陽光を増やした時、調整電源の火力が増えるのは、焚く総量でなく焚く量の変動幅の拡大に伴うキャパシティーである。長期エネルギー需給見通し小委員会事務局は、太陽光を日照時以外に火力を焚いて補い、原発の一定発電に置き換えた 図を用いてCO2と自給率の悪化を殊更言っている。原発の一定発電しかできないことは、夜に過剰発電となり現に揚水発電での蓄電を要する欠点である。火力を焚いて、この欠点を守るような図示と説明である。
角を矯めて牛を殺すような詭弁ではないか。太陽光のピークカットという長所の牛は生かしながら使うのが当たり前ではないか。ベースロードが必要なら原発に依らずLNG火力をベースロードにカテゴリ変えして、太陽光発電量が需要を突き抜けた頂上部分に合わせ、LNG火力のベースロードを薄くし吸収すれば簡単に済むではないか。
この点はエネルギーミックスを決める一番重要な点にも拘らず、事務局の説明に委員から質問さえ出ない。本当にそうか。打開策はないか。喧々諤々頭を寄せ合い知恵を出し合ってもらいたい。政府が調べた事や試案を対面した委員に説明した後、委員の質問や意見を一通り聞き終わり皆んなが忘れかけた頃に事務局が申し訳のように答えるだけという会議進行は、国民の今一番大事な事を預かっている会議とは思えない。



福島から4年経過し原発ゼロのを出発点とすれば、出発点のCO2排出量が高いので分母が大きく、削減期間が短縮する分、分子が小さく、結果2030年の削減率は、小さくなる。これが当然なのである。ところが、世間体というか世界体を気にして、出発点原発発電比率20%以上の福島事故前にするということは、原発回帰したエネルギーミックスに依らざるをえない。出発点と基準年を混同してはいけない。削減行動とは無関係の計算分母だけの基準年である。見栄えを良くする削減の率が先に有りきで、基準年をどうとも選ぶことができる。福島前を出発点としたから、福島後の2013年を基準年に26%削減という欧米に遜色ない高い削減率を提示できている。将来のエネルギーミックスに原発を含んでいるという、それだけのことである。
でもこんなに福島に苦悩しているのに何に遠慮し福島前に立ち戻らなければならないのだろうか。野田政権時の2030年までに原発ゼロを国民に無断で撤回したのだから、福島後最初のエネルギーミックスの決定になる。世界の国民に日本が福島の後処理に悪戦苦闘していることを正直にアピールすれば、原発の無い現実のエネルギー構成を出発点とするCO2削減目標を許してくれるはずだ。福島の事故の時、政府は頑なに外国の支援を断ったが、CO2削減でも同じ失敗を繰り返してはいけない。こと原発に関する限り、国の国民置き去りのプライド等無しにして、お互いに正直に助け助けられの外交で良いのである。
長期エネ需給見通し小委員会で一番重要なことは、原発ベースロード電源というエネルギー基本計画の方針を踏まえることでなく、福島事故が有ったから国民はどうするかを福島後のエネルギーミックスに明確に織り込むことだ。






2015年4月2日木曜日

固定価格買取制度の修正

固定価格買取制度(FIT)は二重の意味で失敗である。但し、修正の効く失敗である。

3.11直後、原発が止められると願い国民は賦課金を払い始めたが、基本計画でベースロードとされ、又、接続保留問題で太陽光普及の可能性が見えても太陽光の不安定性の弊のみが言われ原発代替の話は一向に出ない。国民は賦課金が原発代替に結びつかない裏切られた思いに打ち拉がれている。これが固定価格買取制度の一番大事な失敗である。


次に、再エネ賦課金が役に立っての普及ではなかったことが第二の失敗である。
太陽光発電コストは住宅用が17.5円/kwh、産業用が15.2円/kwhである。
太陽光が高いというのは大嘘で、FITが不要なほど安い。国が自ら正味コストで設置していたら国民の賦課金の負担は無くてもよかった。
更には、コスト補填が趣旨であるFITによる買取は、それ自体がコスト安価を否定する。その結果、自ら真実のコストを知れる企業や外国資本の大規模発電所が個人の住宅用を置き去りにして普及した。国民の負担する賦課金は、巨額な売電収入の0.03%しか賦課金を払わなくてよい総括原価方式の殆ど部外者の企業や外国資本に移転する。

FITの操作上の第二の失敗がFITの目的と願いを疎んじる第一の失敗を加速し、FITが働けば働くほど、その目的からかけ離れる自己矛盾の体である。

太陽光発電の普及は「コスト補填」よりも「コスト周知」の問題であった。
安いということが知られても、なお普及しないなら、国が自ら行えば済む。
FITは国が設置できない、個人の遊休スペースを有効利用し究極の自給が成る
住宅用太陽光や個人のプチソーラーにおいて意味があるその他の再エネは
その時々の電気料金と同額での買取に止め、民間の投資するに任せ普及の足りない分は国が正味コストで設置すればよい。
そうすれば住宅用太陽光等を除いて賦課金の負担は無くなり、国が直接設置する太陽光は電気料金の下げにさえ繋がる。

今後、固定価格買取制度は住宅用太陽光等に限定注力し、それ以外の再エネは時々の電気料金での買取に止め、普及の不足分は国が自ら設置し補い、それらの発電量で晴れて原発の代替が成れば、固定価格買取制度の起死回生が成るだろう。

FITの運用について、看過できない誤りについて付記する。
賦課金は単価で概括すれば、買取価格と回避可能単価との差額として算定される。電力会社が買取に要する費用は、電気料金25円で売るものを38円(2013年度住宅用固定買取価格)で買い取るのだからその差13円である。従って賦課金は13円相当で良いはずの所、回避可能単価は当然電気料金25円よりはるかに低いので賦課金の算定幅が拡大する。こんな阿漕なことが何故許されるのか。総括原価方式の中で引っくるめれば同じと安穏に片付けるわけにいかない。
太陽光発電の電気の流れの実態は、近隣を含めて捉えると余剰売電の自家消費に限らず殆どが地産地消であり、電力会社の発電所まで逆潮流しているものは一部である。自由化後は全てがそうなる。従って太陽光電気は末端価格、即ち電気料金25円/kwhの価値が既に備わっている。賦課金が回避可能費用12、13円/kwhを基準に算定されることは、電力会社は25円の価値あるものを12、3円で仕入れていることと同然である。
この差額が色々な問題を生ずる。
差額は、総括原価方式というブラックボックスの中で他の損失補填に流用される。回避可能原価で買い取っている限り、止まっていても回避できない原発の償却や放射性物質管理にかかるコストは今まで通り総括原価方式で補填されるからだ。痛まない電力会社をして個人需要家の痛みに鈍感にしFITの適正な運用の監督機能を果たす義務を怠らせる。さらに、誘引費用の負担者即ち賦課金を払う国民と、誘引される者即ちメガソーラー等設置者のギャップを不当に拡大する。誘引された企業や外国資本は濡れ手に粟で、誘引費用の負担は極小で殆ど総括原価方式の部外者である。そして、太陽光発電コストは電気料金の6、7割にも拘らず、グリッドパリティーを遥かに未達でコスト高との誤解を与え、導入にブレーキをかけるように働く。
かつてRSP法は、電力会社の再生可能エネルギー電気の利用義務がまずありきで、その派生で住宅用太陽光電気の買取があったが、その価格は競争的価格、即ち時々の電気料金だった。買い取ったものを同額で売るので賦課金は必要なかった。FITになって何故違うのかわからない。
FITを司る政府と電力会社の原発を継続したい思いと、FITの上記のような綻びの放置の存在事実は、原発継続のためFITを真反対に悪用する未必の故意以上である。

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(注)太陽光発電コスト単価は「太陽光の発電コストは15.2円/kwhと安い」参照



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2015年4月1日水曜日

固定価格買取制度で歪められる太陽光発電コスト

「太陽光発電はコストが高くて原発代替は無理」
とは、固定価格買取制度(FIT)に、かこつけた刷り込みである。
その嘘の高いコストを国民に払わせることまでして刷り込んでいる。
国民の原発廃止の願いを込めた、FITの賦課金でこのコストを払わせる。

太陽光発電コストは実は安くて15.2円/kw(注)であるがFITの買取期間20年を、大した検討もなく、そのまま設備の寿命(稼働年数)に横滑りさせ、33円/kwhなどとでっち上げている。

この嘘のコストの補填のためにFITの買取価格が高くなり、
その原資を国民が負担する賦課金が膨大となる。

国民は賦課金を誰に払うのか。太陽光投資する者に。
国民自身ならばまだよい。しかし、FITを通じて太陽光は高いと
思い込まされている国民の住宅用投資は未だわずかである。
政府に騙されず真実のコストを自ら知れる企業や外国資本に払う。
彼らは、巨額な売電収入に対し、コンディショナーの運転に掛かるもの僅かに0.03%の賦課金しか払わなくてよく、総括原価方式の枠の殆ど部外者だ。企業や外国資本に代わって国が自ら行えば正味コストで済むことを考えれば、如何に無駄な賦課金か分かろう。   

エネルギー種別コストを検証する発電コスト検証ワーキンググループは、太陽光の発電コストにこの嘘のコスト補填と利益を含めようとしている。住宅用17.5円/kwhのものが33円に、産業用15.2円/kwhのものが27円のコストにされてしまう。
成る程、このまま放置した場合の導入コストには違いないが、国がやれば正味コストで出来るところ、このように促進費を含めたものをエネルギー選択の判断に用いれば、取り返しのつかない間違いに繋がる。エネルギーの選択の判断材料としての種別コスト単価は裸であるべきだ。付随費用は全て、そのエネルギーが選択されて後追いで発生するものだからだ。
原発の殆どのドローバックが金銭で表せないことをよいことに、原発の申し訳の事故コスト包含を契機に他エネルギーにも同調を強いる、資格もない原発を土俵に上げようとする政府の原発に媚びる計らいである。

3.11直後、国民は原発が止めたいとの願いから賦課金を払い始めた。政府は選りにも選って、国民の原発代替の願いの賜物を、その願いは叶わぬと諦めさせるために、しっぺ返しに利用する。

太陽光の原発代替の芽を、政府は自分の失敗で、潰す。

とにかく、原発を止めないなら国民に、出鱈目な再エネ促進費(賦課金)を負担させないでほしい。負担させるなら原発をやめてもらいたい。


(注)太陽光発電コスト単価は「太陽光の発電コストは15.2円/kwhと安い」参照

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