2014年12月10日水曜日

太陽光の発電コストは15.2円/kwhと安い


太陽光発電の良さを一言で言えば「一度屋根にとりつけ、払えば終わりコモディティー品」ということに尽きる。取り付けたら最後、日常はもちろん非常時においても端的にいうと金銭支出はもちろん何もすることはない。他のエネルギーは発電設備のライフサイクルの間、原燃料を仕入れ電気に替え消費者の元まで届けるまでに様々な作業や支出の繰り返しである。太陽光システムに不具合があればシステムを構成するコモディティーのモジュール数枚を取り替えれば済む。このことは、太陽光発電の評価しても仕切れないほどの長所である。この意味は、追々述べるとして、まずは発電の経済性から見ていく。

電気料金での割引回収期間

発電コストの経済性は各エネルギーのコスト単価(円/kwh)1kw発電するのにいくらかかるかにより比較されるのが一般的である。これは稼働期間にわたり、発電設備投資額や燃料費、維持費等総コストを発電量で除して求めた単価である。発電量に売上げ単価を乗じた収入全体が総コストに見合うその収入単価とも言える。もちろん収入支出のタイミングの違いを調整する時間価値は考慮される。これから発電設備を建設して発電し廃棄するまでのコストを対象にし既に発生したサンクコストは含めない。
政府発表の最新値は3.11の年、平成23年12月野田内閣国家戦略室コスト等検証委員会のもので、平成10年度時点で太陽光は33.4円/kwh、原発8.9円/kwh以上、水力10.6円/kwh、LNG火力10.7円/kwh、石油火力22.1円/kwh、石炭火力9.5円/kwh、陸上風力9.9円/kwhと報告されている。これでは誰も太陽光発電をやろうとしない。
太陽光は資源が只なので設備が何年稼働するか即ち耐用年数がコスト単価を大きく左右する。
コストを考える上で、最大の難関を最後に持ってくるため、一旦この太陽光の耐用年数をフリーにした所で他エネとの比較の基準となる数値を、プロジェクト評価の一手法を借りて算出する。収入の売上げ単価に太陽光と比べたい他のエネルギーのコスト単価をあてはめ、何年稼働すれば太陽光総コストがその収入に見合うかを求める。
つまり、単価を求める時の結果のコスト単価を先に与え前提であった稼働期間を遡って求める。求められた稼働期間と推定される太陽光の耐用年数の大小を見比べることで、収入単価にした他のエネルギーとコスト比較が行える。
例えば求められた稼働期間と太陽光の耐用年数が一致するとみれば、太陽光と他のエネルギーは同等のコスト、短ければ太陽光のコスト高、長ければコスト小ということになる。尚、法定耐用年数と言わない限り、耐用年数と稼働期間は同じ意味で用いる。
プロジェクト評価法に正味現在価値法(DCF法)、内部利益率法(IRR法)、回収期間法、会計的投資利益率法(ARR法)があるが、其の内、耐用年数を必要としない評価法である、投資を回収する期間を求める割引回収期間法による。比較する相手のコストを収入としたプロジェクトと見立てその評価を通じて相手とコスト比較するわけである。
まず全エネルギー平均と比べることとし、電気料金を収入の単価に置く。つまり太陽光の総コストが、その発電量に電気料金単価を乗じた収入と一致する時の稼働期間を求める。
これは、グリッドパリティーのポイントとなる稼働期間を求めることと同じである。グリッドパリティーとはグリッドが送電網でパリティーが同等という意味で、既存の電力のコスト(電気料金や発電コスト等)と同等かそれより安価になることを言う。厳密には電気料金はコストに利益が乗っているが、後ほど耐用年数と一緒に考察することとする。
収入支出のタイミングの違いによる時間価値を調整するため、回収期間法でなく割引回収期間法なのである。発電収入が設備投資支出時よりも遅れることの一年ごと価値を目減りさせる割引率としてソーラーローンの利率2.3%を用いることができる。投資額の支払いが現金か借金かの選択は、借金でなくとも現金自体に機会損失、時間価値喪失があるので無関係である。ソーラーローンは長くて15年までしかないが、実際は固定買い取り価格、補助金で15年以前に回収してしまうので15年以降も2.3%を使用しても良いであろう。
利子とは一定期間のお金の貸借の対価お金の時間的価値であり、借りる人の信用だけでなく、お金を借りて作る対象物の価値によっても変わる。太陽光の場合、殆ど設備資本だけの目的ローンなので後者の要素が大きい。太陽光のようにリスクが低く価値が高い対象物ほど貸すお金の時間的価値、換言すれば時間あたりお金の稼ぐ対価、即ち金利は低くてよい。借入金利は対象物の価値と相補的となるわけである。太陽光は「一度屋根にとりつけ、払えば終わりコモディティー品」だから金利は低くできる。一方、原発や火力は先々の燃料調達等の取引でリスクが増し、また中央管理型エネルギーなため組織単位で実行するので企業としての資本利益率が要求される。日本企業の資本コストは借入金と自己資本の加重平均である5~6%になり、太陽光より遥かに高い。
また補助金や固定価格買い取り優遇等の制度は太陽光が今必要だからあるわけで太陽光の価値が高いことの反映であり、そのことを周知させるための制度でもある。

一家庭が屋根につける場合の1kw当たり平均的設備費用:
     40万円/1kw (国内メーカーの場合、モニターを含む,消費税込み)
更新費:
     コンディショナー耐用年数15年。15年末支出発生。コンディショナーの費用は
     その容量(総出力より下目)に比例し、37,000円/kw  
スペース費:    
     ゼロ
年間発電量(一定):
     1,100kwh(安全サイドに設定 参照 Ⅲ.C パナソニックの例)
電気代:
     25.2円
     平均的家庭の電気代26円/kwh から再生エネ賦課金等0.8円/kwhを
     除く     
資本コスト:
     現状ソーラーローン金利:2.3%
年間発電電気料金: 
       1,100kwh x 25.2円 = 27,720円
回収期間 : 
太陽光発電はほとんど当初だけの設備投資があり、途中のコンディショナーの更新費を除き期間中の支出は他のエネルギーと比べれば無いも同然である。
発電設備を作り耐用年数の間、電気を作り続け、その電気のコスト単価はというと設備費を耐用年数の期間にばらしたものであり、ばらす期間が長いほど安くなり、短いほど高くなる。今の電気代と同じになるところはどうかというと、電気を作り続けられる期間(耐用年数)にばらし、ばらした金額が今の電気代と一致し、ばらすことが回収にあたり、ばらす期間が回収期間にあたる。言い換えると、将来、毎年の発電電気料金(今の電気代で)の何年分が、今現在の投資額に相当するか。その何年を求める。
それを越えて電気を作り続けられれば、その超過分だけ今の電気代より安いといえる。このように太陽光発電の優越を回収後の超過概念から言う。単価を求めることは、後ほど耐用年数を考察した後に、それを基に行う。

コンディショナー:  15年後更新
  15年後に支出する更新費を今現在持って貯めておくとすると年2.3%で割戻した金額
  37,000円/(1.023の15乗)=26,307円
維持費(定期点検費):
   4年に1回1万円 35年間稼働とする 8回支払い
   現在価値(2.3%割引) 54,290円
廃棄費 : 
   建設費の5%  400,000円  X 5%=20,000円 35年後支出とする。
   現在価値(2.3%割引)   9,024円
費用の現在価値合計 400,000+26,307+54,290+9,024 =489,621円
資本回収係数:
    年間発電電気料金 ÷ 費用 = (1,100 x 25.2) ÷ 489,621= 0.05662
資本をX回の年金(毎年均等額)に散らすと一回分が資本の何分の1になるかという資本回収係数が上記の0.05662と一致する回数Xを求める。
資本回収係数 = 金利 ÷ (1- 1÷ (1+ 金利)のX乗)
      = 0.023÷(1- 1÷ (1.023)のX乗)
が 0.05662に一致する期間(X) → 回収期間22年と11ヶ月(月数は補完法による)


他エネルギーの後発費用の物価上昇と太陽光の出力低下の相殺

最初に良さを一言で言えば「一度屋根にとりつけ、払えば終わりコモディティー品」といったが、だからこそ、上述した経済性においても、低利の融資、割引率に適う。維持費が殆ど不要で太陽がほっといても自然に発電してくれる。同じ再生可能エネルギーの水力や、風力では原燃料仕入れは無い点は同じでも、ほっといても発電はしてくれることはない。太陽光がそれが可能なのは、熱エネルギーや運動エネルギーを経由しないで、直接電気を取り出す発電方法だから振動や磨耗が無いからだ。燃料仕入れがない。つまり、コストの発生は端的にいえば、最初の設備設置の一回きりで、太陽光のコストは設備だけであり、生産機能は、生産設備で人間が運転するのでなくコモディティー物品に自然が行うのである。故障・不具合は保証による物品交換で片付く。
他のエネルギーの将来の維持費や燃料仕入れの物価上昇を考慮すると、先ほどの回収計算で現状電気料金25.2円を毎年アップさせる必要がある。仮に物価上昇率2%とし、他のエネルギーの資本費以外の将来に渡って発生する費用の割合を60%とするとに毎年1.2%電気代、つまり収入は上がり回収期間が短縮される。
太陽光の毎年の出力の低下については、寿命を考察する次節で述べるが、多めに見て年約0.8%で低下すると推定される。収入が決まる電気代の増加と出力の低下を相殺し差し引き0.4%だけ収入増大の影響を見込む。計算としては割引率を2.3%を1.9%に0.4%引き下げる。
資本回収係数 = 金利 ÷ (1- 1÷ (1+ 金利)のX乗)
      = 0.019÷(1- 1÷ (1.019)のX乗)
が 0.05662に一致する期間X → 回収期間21年と9ヶ月となり、1年2ヶ月短縮する。太陽光の寿命が21年9ヶ月ならば、電気料金のコストと同じ、つまり全エネルギー平均コスト相当、短ければ太陽光のコスト高、長ければコスト小ということになる。
固定買取価格や補助金の制度が無くて、今投資して21年9ヶ月稼働すれば電気料金で引き取られる限り損はしないということであり、また21年9ヶ月を超えて稼働するなら電気料金を引き下げることができるコストの低い電源であることを銘記されたい。また、将来の太陽光投資については、コモディティー品の太陽光パネルの値下がりで、さらに回収期間は短くなる。因みにコスト等検討委員会は、累積生産量が倍増すると学習効果によって80%の進捗率で価格低下する学習曲線を当てはめ2010年時点48万円/kwの価格を2020年30万円/kw、2030年23万円/kwと推定している。コモディティー品だからこそ期待できる価格低下であり、他エネルギーでは殆ど期待できないことである。

故障・不具合

さて本題の太陽光発電の実効の耐用年数、即ち寿命はどうであろうか。寿命を考える時大事なことは、故障、不具合と出力の低下の二つを切り離して考えることである。
まず故障、不具合であるが、太陽光発電は、他のエネルギーのように途中で熱エネルギーや運動エネルギーに変換しないで直接電気を取り出す発電方法である。従って可動部もないので設備に振動や磨耗がない。モジュール表面の汚れは降雨や風で自然に洗浄される。(4年に一回ぐらいの洗浄作業で1万円/kwぐらいの低コスト)従って修理保全というよりも、順調に発電をしていることをモニタリングする保守で、そして異常があれば施工業者の工事保証、メーカーのシステム、出力保証の枠内で新たな費用なく迅速に対応する管理が中心になる。遠隔地でも「エコめがね」等によりパソコン上でモニタリングできる。メインティナンスフリーではないし、確かに故障や不具合による修理や例は少ないが取替はある。
産業技術総合研究所の故障、不具合実態の調査、早期発見方法について調査研究を行っている。国内パネルメーカー各社の住宅用パネルを2004年4月に210システムに設置し、5年間で発生したパネルの交換をメーカー別に調べた結果、交換枚数で2%、システムでは210台のうち3割ぐらいのシステムで故障が発生した。システム単位ではけっして少なくはない。但し、故障不具合の度合いはメーカーにより歴然とした差がある。優れたメーカーC、D、F社は交換枚数では0.5%以下、平均1台(システム)パネル27枚(出力4~5kw)のシステムでパネル1枚ぐらいを取替る故障でシステム台数では約1割。
現在設置するものは技術革新により2004年の設備より不良率は低減を続け、C、D、F社に近づいていると思われる。
メーカー
設置台数
交換発生数
交換発生割合
設置枚数
交換枚数
交換割合(%)
A社
 61
  26
43%
1752
 41
2.3%
B社
 53
  23
43%
1272
 40
3.1%
C社
 39
   3
 8%
 936
  4
0.4%
D社
 26
   3
12%
 832
  4
0.5%
E社
 15
   8
53%
 405
 18
4.4%
F社
 12
   1
 8%
 288
  1
0.3%
G社
  4
   3
75%
 160
  4
2.5%
   合計
210
  67
32%
5645
112
2.0%
産総研は同様な調査を2006年から2008年に一般ユーザーの基に取り付けられた257台のシステムについても行っている。使用年数は古いものは10年程度から設置間もなくのものもある。産総研に設置したものよりも故障、不具合の発生がシステム台数で約半分ぐらいと少ない。
例えば電気を流す配線のハンダ付けの不良で電流の流れが悪くなる代表的事例では、パネルからコンディショナーや接続箱にくる電線にテスターを当て解放電圧を測るだけのメーカーや業者の通常点検では、設計電圧に近い値が計測されて断線が起きてない限り分からない。かといって電流量の計測は日照で変化するので決め手にならない。一般ユーザーの点検は発見し易い環境の産総研に比べ厳しくなかったので故障不具合に気付かずにそのまま使っているケースがあることが違いの原因と考察されている。
コンディショナーの場所で解放電圧を測るだけでは発見できない。屋根の上に設置されたら目視点検も限られる。況や赤外線カメラは無い。変色など見えない。パネルの表面に鳥の糞や落ち葉が付き電流抵抗が生じ発熱し所謂ホットスポットが出来パネルを破損や故障に繋がる。ではどうすればよいか。特に最小保証期間の10年間、シミュレーションの発電量からの年乖離度+—0%前後からはずれどんどん低下していくものを業者、メーカーを巻き込み原因究明を行うことである。
抑制が起こっている場合、これ自体は故障・不具合でないので、この量を把握することがまず必要である。この量を把握切り分けた後の差異を監視し、対処することである。もちろん抑制が異常に大きければそれ自体、究明対処されなければならない。
ここでいう抑制とは、接続保留問題が起こった後の電力会社の意志的な出力制御を言うのでなく、次のように従来から通常に起こっているものである。電気機器の安全のため法律上、供給電圧は101+− 6v(95~107v)で管理される。売電の電圧は逆潮流させて送り返すため供給電圧を少し上回る電圧にコンディショナーでコントロールされる。余剰電力はまず数軒で1グループの近隣の住宅で使われ余った分が電線に流れていく。近隣の家庭の電気器具の安全のため、通常、売電電圧にも同じ最大107vという上限がコンディショナーの整定値とされる。近隣の需要が減った時、電力会社が高い範囲で電圧を管理していたり、売電量が増えた場合、電力会社の供給電圧が自然に上がり107vに接近し、これを売電電圧が自らの上限のため上回ることができなくなり、逆潮流できなくなり、コンディショナーは自ら発電を抑制するしくみになっている。電力会社によって107vから109vの範囲で整定電圧自体やコンディショナーの出口か引込み柱かの測定場所に幅があり、東京電力管内は109Vでしかもコンディショナーの出口で測定しており抑制は比較的少ない。中国電力は107vを譲らないので抑制の発生が多い。中国電力は原発の比率が一番低く、再生特措法の買取義務に当事者意識が低いことが原因と思われる。
筆者は設置後一年近く、瑕疵とも言える不具合で、業者に与えられた発電シミュレーションの8割ぐらいの発電を余儀なくされた。抑制量が把握出来ず、ずっと抑制のせいかと迷っていたことが災いした。業者も抑制のせいにして対応してもらえなかった。三ヶ月ぐらいして、発電量の少ない季節に入って抑制が止まった後も、発電量の不調は相変わらずなので、抑制が原因でないことに気づき、その後鳥の糞を取り払ったり、ストリング内の一部モジュールの影の影響か等と悩み続けていた。原因究明を訴え続けた末に業者がやっと動きメーカーに調べさせ、業者の下請け電気工事におけるコンディショナーの配線接続ミスとわかった。約一時間で直すと、見る見るうちにパナソニックの通常の実力どおり、シミュレーションを20%を超える発電が始まった。実に設置後10カ月経過していた。現在、保証方法について話し合いをしている。発電の不調が抑制によるものかどうかをまず、究明することが大事になる。
大事なことは、故障不具合は部品や製造工程、工事で起こった欠陥であり、発電量の変化に必ず現れること。発電量を監視することにより、保証期間中に顕在化できること。比べるべき正常な発電量は、地域別の天候によった月間発電量がサイト上に豊富にあり、パネルの出力、方角、角度等を補正し入手することが出来る。発電量低下を糸口に故障・不具合を確実に保証期間中に見つけて無償で直させること。それさえ出来れば使用可能年数を考える場合、経年出力低下のみ考慮し、これらの故障不具合は考慮外とできる。
ことほどさようにメインティナンスフリーではなく、メインティナンスローコストなどである。発電量の変化の見守りが主体となり、最悪、システムの中のモジュールの1、2枚を保証の範囲内で取り替えればよいという、取替法で済むためである。近年、耐久性能の競争が激化し特に製造技術、検査技術の進歩が急速で故障不具合の種は確実に減っている。
各社のモジュールの性能の優劣の決め手は製造工場の検査技術の精度が大きい。モジュールの出荷後、この検査の精度のバラツキを補完することが、設置者が自分で発電量監視することで出来るのが、太陽光発電の自給とも関連する画期的な優れた特徴である。

故障不具合の発見のため肝要なポイント
或る一ヶ月について
1. 抑制があれば、その発電量ロスを計測、推定する。
2. 同じ地域にある発電所の実発電の実績(抑制無い場合)を、出力、方角、角度、影の状態の違いを補正し、自分の発電所の発電量に補正する。
3. 業者から貰ったシミュレーションは用いない。
4. 2.と自分の発電所の実発電量(1.の抑制排除)と比較する。



稼働年数

故障不具合が除去されれば、後は寿命は出力の低下だけを心配すれば良い。ソーラーパネル表面が経年劣化変質などにより出力が徐々に低下する。
まず寿命を考える上で参考になる指標を列挙する。
・減価償却の基となる法定耐用年数:17年
  耐用年数省令別表第二「機械装置等」「電気業用設備」「その他の設備」「主として
  金属製のもの」17年を適用
・産業用固定価格買取期間:20年
・メーカーのシステム保証(モジュール、コンディショーナー、接続箱,架台):
                                10〜15年
・工事保証:10~15年
・海外メーカーの標準的出力保証:10年90%、20年85%、25年80%。
・パナソニックの出力保証:10年81%、20年72%
・コスト等検証委員会報告書の2020年製造のモジュールの耐用年数:35年

・(財)産業技術総合研究所調査 出力劣化特性評価実験による出力低下の度合                     (%)
パネルの種類
10年後
20年後
25年後
単結晶
92.4 ~93.7
85.3 ~87.8
82 ~85
多結晶
94.5 ~95.5
89.3 ~91.1
86.8 ~89
CIS/CIGS
97 ~97.2
94.1 ~94.5
92.7 ~93.2
ヘテロ結合(HIT)
96.0
92.2
90.4
アモルファス
88.9
79
74.6

現在、例は少ないが故障不具合で全取替したものはあっても寿命を全うして廃棄したシステムの実例はあまり聞かない。古いもので順調に稼働している有名なシステムは以下である。
・シャープが1966年に設置した長崎県尾上島灯台の電源が48年経過。
・シャープが1983年奈良県壷阪寺の観音像の照明用電源として付けたものが31年経過。
・1978年に稼働の始まった人工衛生の電力供給に宇宙空間という過酷な環境の中で36年経過。
・兵庫県神戸市六甲アイランドに設置し約15年経過。NEDO(技術開発機構)により目立った材料劣化はなく、仕様通りの出力性能(公称最大出力の90%)と絶縁性を有していることが確認されている。
・1984年竣工の京セラの千葉県佐倉ソーラーセンター30年経過(25年経過時発電量9.6%低下)。

太陽電池は本格的に住宅用に設置されだして、まだ歴史が浅いので寿命を語るにはまだまだ実例に乏しい。期待寿命の科学的推定手法は、過去に製造し使用されているシステムの仕様と劣化の程度を現在製造しているシステムの仕様と比較したり、或は劣化加速試験とフィールドテストを比較考量する方法で行っている。太陽電池モジュール20年~30年、全体のうち値段的割合約10~15%のパワーコンディショーナーは10年~15年と言われてきたが、試験時間も要し製造時の故障不具合も排除しきれない。急速な技術進歩が進んだ今のものを考察してみたい。システムの寿命としては、先ほどの計算の通りパワーコンディショーナーを一回更新したとしてパネルの耐用年数に合わせる。
太陽光発電技術の確立期の30年以上前に製造されたパネルでさえ今発電している。故障、不具合を保証期間中に除去する方法、技術も確立された。発電効率とともに耐久性の向上に差別化を競った結果、出力保証(80%)では25年のパネルも既に出ている。2014年末製造モジュールで既に35年間、出力70%ぐらいを目処に、稼働する性能を十分達成していると見るのが自然ではなかろうか。この出力低下は単価計算に織り込まれる。そうすると、21年9ヶ月で回収した後さらに約13年収入が続く。その現金収入全てが電気料金よりもコストが小さいから得られる。そして36年以降は家が無くならない限り使い続けるも廃棄更新するも設置者の随意である。出力低下を我慢すれば発電し続け、少なくとも、今の発電量の約4割の自家消費ぐらいは間違いなく発電するだろうから4割の経済性はいつ迄も残余利益である。償却は終わり、大した維持費は無く、置きっ放しで余剰を生んでくれる。

住宅用太陽光発電コスト単価(円/kwh)

耐用年数35年でコスト単価を計算すると
割引率をソーラーローン金利2.3%から、太陽光の出力低下と他エネルギー価格の上昇を相殺加味し、1.9%(2.3%ー0.4%)で割引く。
35年間毎年支払う均等額(年間電気料金)が今の489,612円に相当する当該均等額はいくらか(資本回収)を求め、それを年間発電量1,100kwhで除すとコスト単価になる。
35年、利率1.9%(2.3%-0.4%)の資本回収係数は0.03937  
年間電気料金 :   489,621円 x  0.03937=19,276円
19,276円 / 1,100kwh = 17.5円/kwh
住宅用太陽光は17.5円となり、現行電気料金、25.2円より7.7円/kwh安い。グリッドパリティーを十分達成し、その70%のコストである。

コスト等検証委員会(2011年12月)との比較


コスト等検証委員会
(平成10年時点)
本論文
耐用年数
20年
35年
建設費1kwあたり
48万円
40万円
コンディショナー1kwあたり 
6万円
3.7万円
コンディショナー更新期間
10年
15年
維持費(定期点検費)1kwあたり
4年に1回1万円
4年に1回1万円
廃棄費
建設費の5%
建設費の5%
割引率
3%
2.3%
1kwあたり発電量
1,000kwh
1,100kwh
     コスト単価
33.4円/kwh
17.5円/kwh

コスト等検証委員会(2011年12月)33円/kwhと前提の比較を示すが、建設費と耐用年数の違いが大きい。建設費の方は4年経過した下がりで説明できるが、耐用年数の20年は短すぎる。(検証委員会2020年時点の稼働年数は35年)太陽光は原燃料をフィードして運転する発電方法ではないので、低割引率の元では反比例的に稼働年数で発電コストが決まることは誰にも分かろうが、耐用年数が入念に検討された形跡はない。
5ヶ月後になるが、再エネ法施行に当たり2012年4月の固定価格買取制度の買取の価格と期間を決める調達委員会において、実態寿命を20年以上としながらも、買取期間と稼働年数と法定耐用年数(17年)の三つが何故か三位一体の論理帰結になっており稼働年数は買取期間と同じ20年とされた。尚、住宅用の買取期間はこの20年から家屋の譲渡可能性と余剰売電4割による短縮が考慮され10年とされた。
その後の同委員会、最近では来年度2015年の調達委員会(2015年3月)においても買取期間は変わらないので、コストを測定する稼働年数も三位一体なのか20年で見直されていない。
コスト等検証委員会と調達委員会は目的も異なる委員会であるが、時期さえ合えば太陽光発電コストとその最大の決定要因の稼働年数は同じはずである。そうであれば、来る2015年6月に決まるエネルギーミックスのためのコストを算定する 発電コストワーキンググループ(コスト等検証委員会に相当、2015年5月報告予定)も、新たな検討なく20年の稼働年数とするのだろうか。原発再稼動と輸出を止め再エネが代替できるかの瀬戸際の今こそ、太陽光の、今設備投資したらの稼働年数が決定的に重要なことがまだ分からないのだろうか。これでは、IRRをいくら計算しても意味が無い。コストが高い等の理由により、そのままでは普及しないから行う固定価格買取制度が先にありきで、それをやることが先に立ち、それに沿うように本当は電気代の7割(住宅用17.5円/kwh)と安い太陽光発電コストが高く歪められて決められている。何故か。政府が原発を継続したいからである。太陽光は賦課金を必要とするほど高コストであることを電気代の上昇を通じて国民に思い知らせ原発の代替を諦めさせたいのである。安いものを高く買い取ってコスト補填でないものを国民に負担させることをしてまでもである。現に、高い賦課金と10年に留まる住宅用買取期間から、太陽光のコストがまだ高くて原発と二者択一になり得ないと国民に思わせていることは紛れもない事実である。
買取価格を高くするのは、電力会社は総括原価方式で安心で原発安泰で願ったり、太陽光発電参入者はもちろん歓迎、負担する電気の個人需要家は賦課金はコスト補填と言われればそれまでで、稼働年数が短すぎると誰も文句を言えず、いとも簡単に出来るのである。高すぎる綻びは前政権の導入したFITのせいにすれば済む。
FITという手段が目的化し、その買取期間を稼働期間に横滑りさせ、ありもしないコスト高にし、FITの意に反して普及にブレーキをかける。さすがに産業人を騙せない。2014年9月、産業用が9割以上を占める接続保留問題を招来している。情報の非対称性の強い個人は 自らFITに誘引されるなど及ぶべくもなく、コスト補填と懸け離れた賦課金を産業人に移転するばかりである。住宅用太陽光は実際安く、高いからでなく安心感を与えられないから普及しないのである。国は再生可能エネをFITを任せ続けるのでなく、出口がいつか常に管理していなければならない。技術進歩は不断に行われているのだから、コストが競争的水準になるのを見極めて、安いことを周知徹底させる方へ転じる必要がある。稼働年数の保証を政府がしてもよいくらいだ。
安いことが周知されても尚普及しなければ、国自ら行えば良い。FITは国が出来ない個人所有の空いたスペースに電力自給のメリットのあるものに限定すべきである。個人に正確なコストを教えてあげることが大事なのに、FITを型通り与えて放りっぱなしで間接的に逆に嘘の高さを教えている。
FITを総括原価方式と合わせてやる時、誘引費用の負担者と受益者の乖離を招来しないことが、賦課金を喜んで払ってもらうために大事になる。誘引費用つまり賦課金の使い先の内訳にコスト補填と「馬の鼻先の人参」の二つがある。後者の方を問題として論じている。普及がなるとしてもこれを総括原価方式の枠の外部者が享受するなら個人需要家が負担する理由はなかろう。負担するなら自分で享受する他なかろうと言っている。
現に太陽光は競争的コストを下回り圧倒的優位なのだからFITを住宅用太陽光等に限定し、他は国や自治体がやることは今すぐできる。ドイツと同じ失敗を日本がなぞるのはお粗末の極みである。ドイツは原発の廃止を決めたから、まだ国民が収まっている。日本はドイツの原発廃止の方はなぞらないで国民の不満はいつか爆発する。とにかく、原発止めないなら、個人需要家に再エネ促進費の負担をさせないでほしい。負担させるなら原発をやめてもらいたい。放射能より先にCO2を立てるのはやめてほしい。

コスト等検証委員会(2011年12月)の原発のコスト単価

コスト等検証委員会は原発のコスト単価を、シビアアクシデントの発生可能性が顕在化したのでコスト算定にその費用を含めることとして「8.9円/kwh以上」と算定した。一つのモデルプラントについて、福島の数十兆円とも言われている事故費用を補正し下限値として5.8兆円と算定し、福島第一の1~4号機を除く50基が再稼働しその後40年間稼働した仮定の累計発電量で除し単価0.5円/kwhが織り込まれている。これは相互扶助の考え方をとったということで発生確率は曖昧であるが、とにかく50基全部が40年継続して稼働した発電量に達する間にプラント1基に1回、損害額5.8兆円の事故を見積もったことになるが、非現実的である。尚5.8兆円には高濃度汚染対策費用、除染により生じる廃棄物等の処理費用、生命・身体的損害、地方公共団体の損害を含んでいないことから下限とし、コスト単価を8.9円「以上」としており1兆円が0.1円/kwhに相当する。事故コストを含まないコストを8.4円/kwhと示し事故コストは単価で表すものでない、別掲するのがよい。ましてや、原発が事故コストも含めるから、他のエネルギーも事故コストを単価に含めるなど馬鹿なことはしないでもらいたい。事故の性質と意味が違う。尚、使用済み燃料の処理費用について、核燃料サイクルの破綻は織り込まれていない。もちろん汚染による土地喪失の子孫への賠償は織り込みようはない。
原発のドローバックはお金では表せない。これらを、運転コストとして表現しようとすること自体が無意味である。膨大なドローバックの一部のやっと金額測定できた事故コストを単価に含めて、原発は安い電源だとは国民を愚弄している。こうした結果で5円、10円、他エネルギーより安いからと言って原発の帰趨においてどう転ぶというのか。

送電コスト、調整コスト、利益に関する考え方

電気料金単価を全エネルギーコスト単価と見た計算の妥当性についてもう少し述べる。電気料金に含まれる利益はエネルギーコストの金利のようなものである。企業で集中型発電を大規模にやるからには資本のリターン、即ち利益が要求され単に余剰ではなく資本コストと呼ばれるコストである。再生エネ賦課金は電気代から除くように調整した。送電網や管理部門経費のコストが太陽光発電には見られていないのはおかしいと思われる人もあると思う。送電コストは電気料金26円/kwhの内2.7円/kwh程と言われている。しかし、太陽光発電は分散型エネルギーでそもそも発電者即需要者で送電は不要である。実際面でも逆潮流し電線を流れるのは、自家消費されその後近隣の家庭で消費される残りの電気だけである。いざとなれば太陽光発電は民生用のみに産した所で使い、生活の方を発電時間に合わせることは原発をやめられるなら惜しくはない労である。況や蓄電池の技術が進歩し価格低下が真近に確実であるので、太陽光と蓄電池で一世帯の電気を分散完結することが期待できる。そうなれば送電は集中型の電源固有のもので分散型には不要のものである。太陽光発電のもう一つの系統連携コストの日射時しか発電しない不安定性に対して調整の火力発電のキャパシティーを余分に持つコストがある。原発と比較する限り無視してよい。なぜなら原発は昼夜一定出力しか保てないため、需要の無い夜も昼と同じ量を発電し続けなければならないという、供給過多が昼か夜かの違いで太陽光と同じ欠点持っているからである。揚水発電のコストか火力の調整キャパシティーを保持するコストかである。調整火力の必要性はキャパシティーの増加で発電量の増加ではないのでCO2は無関係である。むしろ太陽光のピークカットのメリットで原発を優越する。
これらの問題が吹き飛ぶほど、太陽光発電は安くて、究極の自給の電源である。


産業用太陽光の発電コスト単価(円/kwh)

 10kw以上で産業用となる。住宅用の屋根ほどには設置面積の制約がないことから、
 変換効率が多少劣っても圧倒的に価格の安い多結晶のモジュール或は海外メーカー
 のものを使用することが多い。また規模は、低圧電流に抑えるため50kwぎりぎりの
 総出力のケースが多い(プチソーラー)。屋根に付ける場合と違い単独の固定資産と
 なり費用として固定資産税が掛かる。スペース費は遊休地利用を前提にゼロとする。
   平均的設備費用:30万円/kw(家庭用モニターの代わりに産業用は「エコめがね」
                 遠隔用を含む)
   更新費:コンディショナー 47,000円/kw→15年後支出の現在価値33,420円
   スペース費:ゼロ
      所有する遊休地の有効利用を前提としている。FITで誘引する意味は、
      高コストの電源を住宅用の屋根と同じく国がやりようがない所有遊休
      土地の所有者に少しでも低コストで設置させたいという国民経済的
      動機がある。誘引費用に土地購入代を必要としない国民を施主とし
      普及を図るものである。これらの飽和を優先しさらに普及する時は
      国が国有の遊休地に設置すれば済む。
   維持費(定期点検費)
     4年に1回1万円 35年間稼働とする 8回支払い
     現在価値(2.3%割引) 54,290円
   廃棄費  
     建設費の5%  300,000円  X 5%=15,000円 35年後支出とする。
     現在価値(2.3%割引)   6,768円
   固定資産税:法定耐用年数17年での毎年期首簿価の1.4/100
      簡便計算として、取得価額300,000円の1/2の1.4/100の2,100円を
      法定耐用年数17年の年金として現在価値を求め、取得価額に加える。
               29,270円
   費用の現在価値合計 300,000+33,420+54,290+6,768+29,270
                              =423,748円
   年間発電電気料金:
     年間発電量:1,100kwh(安全サイド)
     35年間毎年支払う均等額が今の423,748円に相当する当該均等額は
     いくらか(資本回収)を求め、それを毎年の発電量1,100kwhで除す
     とコスト単価になる。
         35年、利率1.9%(2.3%-0.4%)の資本回収係数は0.03937  
           年間電気料金 : 423,748円  x  0.03937=16,683円
           16,683円 / 1,100kwh = 15.2円/kwh

        産業用太陽光のコスト単価は15.2円/kwh

官の支援後の回収期間

先に太陽光発電コストを電気料金で回収できる期間21年9ヶ月を算定したが、これは電気料金で売電収入があるか、自家消費により電気を購入しなくてよいか、或は両者の混合の場合の回収期間にあたる。実際には固定価格買取制度で電気料金よりも高く売れ、国や地方自治体の補助金で安くシステムが作れるように官の支援があるので、その回収期間はさらに短縮される。固定買取価格の算定方法は太陽光投資を促すよう内部利益率即ちIRRを一つの目処に算定されている。収入或は費用減少を電気料金を基礎としたプロジェクトのIRRは仮に耐用年数が21年9ヶ月であれば、用いた割引率の2.3%である。正味現在価値(DCF)が均衡、即ちゼロとなる時の資本コスト、割引率である。一般的なプロジェクトのIRRは5~6%であり、仮に耐用年数が22年2ヶ月とした時、このIRRと2.3%との差に相当する金額が、電気料金へ上乗せされる形で固定買取価格が決まる。勿論、投資額は補助金相当は控除されたものである。

(1)住宅用の場合
 1kwあたり平均設備費用を補助金考慮して37万円(地方自治体 30,000円/kw、
    国は26年度は無し)とし、収入単価を固定買取価格37円/kwh(14年度)に
    置き換える。 一家庭は屋根の一面につけ出力は平均3kwぐらいで、余剰売電
  (10kw未満)が一般的(参照(注4)制度)。日中発電したものから自家消費し
    残り即ち余剰を売電するもので、つまり、自家消費は売らないで日中の購入電力
    を減らすことにしかならないので上記の計算で固定買取価格37円でなく、
    電気料金25.2円となる。そして自家消費量がどれくらいかというと、煮炊き
    給湯暖房も自家消費かどうか、(オール電化かガス石油等)また家族構成、
  生活パターンにもよるが、3k年間発電量のうち約30%(*1)とみておけば
    十分である。 
  発電料金適用価格 37円(14年度固定価格) x 0.7 +25.2円 x 0.3 = 33.5円
  年間発電料金  1,100kw x 33.5円=36,850円年間発電収入
  費用の現在価値合計 489,621円-30,000(補助金)= 459,621円       
  年間発電料金 ÷ 費用 = 36,850円 ÷ 459,621円 = 0.08017            
        資本をX回の年金(毎年均等額)に散らすと一回分が資本の何分の1になるかという
    資本回収係数が上記の0.09154と一致する回数Xを求める。
                資本回収係数 = 金利 ÷ (1- 1÷ (1+ 金利)のX乗)
                        = 0.019÷(1- 1÷ (1.019)のX乗)                
                  が 0.08017に一致する期間 →        住宅用の回収期間は14年5か月
   が得られる。
    (*1)拙宅の実績:2.76kw出力 オール電化、4人家族→30%~43%
      また、自家消費量が減る要因に、せっかくの売電量を増やそうと昼間の節約
      インセティブが働く。
  住宅用の固定価格による買取期間は10年だが、その後は最低でもその時の
  電気料金では売電できると考えてよい。

(2)産業用の場合(全量売電の場合)
   費用の現在価値合計 423,748円
   年間発電電気料金:38,016円
      年間発電量:1,100kwh(安全サイド)
      売電単価:34.56円/kwh(14年度固定買取価格+税)     
   資本回収係数:
      38,016円/ 423,748円 =0.08971 
   資本回収係数が0.08971になる割引率1.9%での年数は12年8ヶ月
   産業用の回収期間12年8ヶ月

35年から回収期間を控除した年数の期間における発電電気が余禄なのである。いかに太陽光の価値が高く国民に希求されているものか分かろう。




(注4)制度
出力
(コンディショナーの定格出力)
電流
法定定期点検

固定価格買取制度
補助金

届出

全量売電 或は 余剰売電
期間

50kw以上
(メガソーラー)
高圧
要
(自家用電気工作物)
10kw以上
(産業用)
選択可
20年
(2012.7
以降)
無

50kw未満
(プチソーラー10kw以上)

低圧
不要
(一般用電気工作物)
10kw未満
住宅用)

余剰
10年
補助金対象

補助金が住宅用だけなのは、ピーク時間帯の省エネ(自家消費減による売電量増のインセンティブ)、災害停電時の自給、屋根利用によるスペース費の無償化を官が促進するためである。

(注5)
2002年〜2009年まで、電力会社の再エネ利用義務の割当の制度--RPS法
2009年11月から、太陽光余剰買電制度の促進を計った。
2011年4月から、非住宅用太陽光までにに広げた。
2012年7月から、再エネ全般になり、余剰買電以外は買取期間が20年に延長された。
 固定価格買取制度の固定買取価格(円/kwh)

 
10KW未満住宅用
非住宅用または10KW以上住宅用

単価
期間
単価
期間
2009.11〜2010.3
48
10年
24
10年
2010.4〜2011.3
  同上
 同上
 同上
 同上
2011.4〜
2012.3
42
 同上
40
 同上
2012.4
2012.6まで
  同上
 同上
同上
 同上
2012.7以降
  同上
 同上
40+ 消費税相当(3.2円) (*1)
20年
2013
38
同上
36+ 同上(2.88円)
 同上
2014
37(*2)
同上
32+ 同上(2.56円)(*2)
 同上
2015
33
同上
27 + 同上(2.16円)
 同上
消費税は8%で計算。特に表記が無いものは内税。
2002年RSP法施行 電力会社供給割り当て 買取単価 24円
2009年11月 固定価格買取制度 「余剰電力買取制度」施行
(*1)「再生可能エネルギー特別措置法」により2012年7月から10KW以上の発電システムに適用される全量買取の制度が始まる。    
(*2)設備の値下がりを反映して非住宅用及び10Kw以上は4円下げた。10kw未満住宅用は補助金の国と一部地方自治体が無くなるので1円の下げ幅にとどめた。





2014年12月9日火曜日

住宅用太陽光は究極のエネルギー自給である

住宅用太陽光の本領は究極の自給である。末端の需要家の手元にあり、「一度屋根にとりつけ、払えば終わりコモディティー品」ということから自給が初っ端に確定するのである。その後、自分さえ何も手をかけなくてよい自給である。再生エネの文字通り無限の原燃料が、勝手に発電してくれる自給である。究極の自給は送電を必要としないし、系統の安定性を乱すこともない。いざとなれば、その場で隣近所で使うことも出来、或いは、蓄電池でピークシフト、不安定性の問題は解決できる。蓄電池価格も、既にシステム価格の十分の一で開発されている。太陽光の自給の質の高さは比類なく、エネルギー調達からの100%解放と言っていいのである。原発電気に頼ろうとしたり、わざわざ固定価格買取制度(FIT)で普及を誘引しようとするのは、我々が、このエネルギー源として何者にも代え難い、自給の絶妙さの価値を見届けていないという誤謬からなのである。しかも、願ったりかな、太陽光発電のコストは高くはなく安いのである。最終消費エネルギーの14%を占める家庭用エネルギーを住宅用太陽光で賄い切るということを、何はさておき優先課題とし、四の五の言わず、やる時なのである。家庭の外で使うエネルギーではない。福島後は最悪の事態を想定して、エネルギーミックスに大胆で先進的アイデアを提示する他ないのである。
さらには住宅用太陽光電気を電気自動車に充電することで、ピークシフトに役立たせながら、家庭用自動車エネルギー8%も究極の自給が可能であり、民生用の業務用エネルギー19%の一部も住宅以外の建造物への太陽光設置により、究極の自給が可能なのである。
究極の自給は購入電気を減らす点で省エネと効果が全く同じ、エネルギー調達から100%解放である。調達と結果として同じ効果に加え、調達から使用までに絡む全ての問題が無くなる。価値は2倍といってもよい。



2009年11月に住宅用太陽光発電を対象に「余剰電力買取制度」を導入した目的は「低炭素化社会の実現を国民全員参加で行う」というものである。2012年7月から再生エネルギーの導入拡大を目的にした本格的な「全量買取制度(再エネ特措法)」が導入され、これに制度として吸収された。原資は前者は太陽光促進賦課金だったが2014年10月から後者の再生エネ促進賦課金に一本化され、いずれも個人需要家が負担する。
新制度に吸収されても太陽光については低炭素化社会の実現を国民全員参加で行うことは生きている。制度の移行がスムーズに運んだ背景には2011年3月の福島事故をはさみ、原発の負荷を少しでも緩められるなら太陽光で自給して賦課金負担もしよう、再生エネルギーがどこまで原発代替できるかやってみようとする国民の了解があった。単に再生可能エネルギーの拡大がなればよいというものでなく、原発に頼らない「低炭素化」であり、「国民全員参加」は太陽光に関しては、賦課金負担者の国民が買取価格の優遇を受ける発電者になれる限りはなろうというものだった。余剰電力買取制度の3年弱の間、個人、即ち住宅用の普及は道半ばで、全量買取で経済性を敏感に察知した事業体や外国資本による産業用設置が急増し送電網容量不足から連係保留措置もとられるようになった。住宅用の普及はまだまだ途上である。送電網が産業用に占められて、住宅用の今後の普及にまで支障をきたすようなことがあってはならない。電力会社は送電網容量と出力安定化の電源の拡充で受入拒否と抑制を回避してほしい。同時に政府や電力会社からの、個人に産業用に負けず設置するよう働きかけが、なされねばならない。住宅用は固定買取価格の受益者と負担者の一致も叶い、自給を含む余剰売電で送電網への影響が小さく、更に安全保障上の決定的優位で、国民経済的に最も優れているからだ。住宅用が普及し切らない理由は、個人が発電量、耐用年数、設置工事の確かさ等に関する不安が、買取価格を提示されるだけでは拭えないからである。個人が誘引されるには安心感が不可欠である。買取価格は少し殺伐として、補助金の方が政府が出すということで安心感を与える。産業用より情報の非対称性の影響が大きく不安にかられ足踏みすることが多い。メーカーの出力保証は公称能力からの乖離を補うもので売電収入と直結した発電量の保証ではない。原発の稼働もさせたい政府と電力会社は、福島事故後も今に至るまで固定価格買取制度の仕組みだけ与えて住宅用の普及に及び腰が続いている。まだ遅くはない。政府が住宅用の国民経済的優位性を国民に知らしめ本腰を入れて後押しすべきである。政府がメーカー、業者の保証の上に発電量、耐用年数、工事の質を保証するのだ。この保証は、個人の杞憂を取り払い買取価格の保証と並ぶくらいの効果があろう。しかも太陽光発電の寿命の考察で述べた通り太陽光モジュールの現在の品質の高さによって政府のお墨付きの付与と工事業者の統制だけで殆ど済むだろうから、軽微な財政負担で済む。


メガソーラーのような産業用の普及ならばFITのような回りくどいことをしなくとも国が税金でやれば済むが、個人住宅用は国でなく持ち主に購入し屋根に付けてもらわなくてはいけないので補助金やFITで誘うしかない。補助金のように費用の片側だけよりFITの収入費用両面の相乗的誘引が強力である。さらに住宅用の自家消費もする余剰売電を増やそうと自家消費を減らす努力を誘引し、省エネの一石二鳥もある。FITの達成しようとする再生可能エネルギー普及の本来の目的の一つのエネルギー自給率の向上という点で個人住宅用は究極の自給である。派生的にはエネルギー備蓄の機能も絶妙である。住宅用が飽和すれば最終エネルギー消費の14%を占める家庭用エネルギーの殆どが半永久的に備蓄されたも同じである。
国がすれば誘引費用も無く済む事を、国民個人がわざわざ誘引費用を負担し、その個人が負担の目的の売電に関わらなければ、何の理由もなく個人から売電事業者に負担金が移転しているだけである。2015年2月現在、政府はエネルギー種別のコストを見直しているが、その中で太陽光のコスト単価は賦課金を含めたコスト単価にする方向である。賦課金を、無意味に使う上、原発よりはるかに高いエネルギーと悪者にするために利用する。原発が止められるという願いで賦課金を負担し続ける国民に恩を仇で返すような仕打ちが平気で行われる。20年間続くので巨額である。ドイツも、以上述べた点を見落としたから失敗した。ドイツの約2割が野立てで残り8割が屋根設置型だが、この内、大半が商業施設、集合住宅、工場等の非住宅用であった。住宅用太陽光は個人の屋根につけてもらうから国が直接できないからFITに依る他ない。更に住宅用は後述するが屋根に付けてもらうには情報の非対称性があるし採算で済まないいろんな要素があるのでコスト単価が安いという理由は直ちにFIT不要論に繋がらず、FITが有効になる。但し、コスト補填を旨とするFITの適用自体がコスト安を否定するので、本当のコストの周知の方も重要になる。

FITは太陽光発電の住宅用に最も適した制度である。量産効果を狙う上でも同じ再生エネルギーの風力、地熱よりよい。買取マークアップを、原資を負担する人と同じ個人需要家が享受できる。負担者は、普及という最終便益だけを得ればよいのではない。設備設置者となって、その過程の固定価格マークアップという便益も同時に得て初めて制度が本領を発揮する。FITが仕組んでいる誘引は買取価格マークアップ自体の誘引だけでなく、制度の原資を負担する者が回収して当然とする権利意識からくる誘引がある。賦課金を負担するからにはそれを原資に制度に仕組まれている誘引に的確に乗って買取価格マークアップを享受したいという誘引である。端的には、負担が負担した所へ戻ってきて初めて賦課金の払いに疑問も湧かず普及もなるのである。FITにおいて個人住宅用は抜き差しならないのである。固定価格買取制度は、設置される太陽光発電所も賦課金負担も売電による買取価格の享受も、三つともに「分散型」である制度なのだ。

普及は畢竟は国民の厚生、効用につながるが、普及が目的だけでは賦課金を最終需要家に負担させる根拠と意義として弱い。企業や外国資本に劣らず最終需要家に固定買取価格の受益者、即ち分散型エネルギーの発電者になるインセンティブを確実に与えてこそ優れた制度設計と言える。平成26年度から国の補助金が撤廃され、このことが益々重要になった。住宅用の買取期間が10年のままで産業用の20年に取り残されていることは賦課金負担者が誰かを忘れた本末転倒の政策といえよう。住宅用は送電網の影響が軽微である。利益を目的とした産業用と一律に住宅用まで抑制の対象にしてはいけない。最小限の住宅用買取価格の改訂、政策投資銀行の1%台低利の住宅用融資、耐震補強と屋根設置工事との融合、様々な屋根に設置できるよう取付け技術、移転技術の向上等も国が本腰を入れて検討すべきである。

また、住宅用は国内メーカーのモジュールが使われる。固定価格買取制度が無意味になった影響は二つある。一つは個人がする主に住宅用の普及を阻害し負担者と売電者の乖離を招いた。二つは国内メーカーを毀損した。制度の誘引アルゴリズムによりコスト競争力を付ける猶予を与えることなく海外メーカーに日本市場を一気に蹂躙させ国内太陽光産業の競争力強化に繋がらないどころか痛めた。パナソニック、シャープは、個人が住宅用に日本メーカーのものをほぼ9割に上るほど採用したから、社内太陽光部門はQセルズのように直になっていない。2014年第一四半期世界一の出荷量だったシャープは輸入インゴットのコストに苦しみ太陽電池部門は2014年度決算で60億程の赤字となり自社生産販売から撤退を検討している。会社は台湾企業の出資を仰ごうとしている。産業用は国策に転換し、住宅用に舵を切り直そう。

住宅用に舵をきり戻すそのやり方は、次に具体的に述べるが、要は太陽光の稼働
年数は35年ということを国民に分からせるだけでいい。
・国が、賦課金を負担する個人の住宅用に普及させるという意思と態度を明確に表明する。
・個人のソーラーローン金利は2.3%程度だが、住宅並に1%台の融資を受け
 られる道を開く。住宅資産に劣らない確定年金フローの担保効果をもっと評価
 すべき。
・未だに、個人は経済性以前に、安全性、耐久性に不安を持つ。
 太陽光発電がコスト高だから賦課金が必要だという政府や電力業界の国民への
 擦り込みが邪魔をしている。3kwをたったの百万円強で屋根に乗せられるのに
 コスト高と言われたおりには、耐用年数がさぞや短いのだろうと勘ぐるのが、企業
 と違い情報の非対称性の大きい国民である。発電量と稼働年数について、今のメーカー
 や業者の保証の他に、長期の政府保証を付ける。産業用で主に使われる海外
 モジュールが25年の出力保証に対し、住宅用に使われる国内メーカーの
 モジュールは出力低下幅の大きいせいぜい20年のものも多い。
・個人住宅(10kw未満)も買取期間を10年から20年に変更する。出来ない
 なら、11年目からの買取価格を予見できるように告知する。自由化後、旧電力
 会社以外にも売電できるメガソーラーよりも買取期間の10年終了後独自で売電
 の手立ての無い住宅用こそ買取期間20年であるべきだ。
・持ち家率の高い層である高齢者の住居に融資出来るようにする。パネル等の移設
 取外し設置技術を政府支援で養成する。時代はスクラップアンドビルドから
 メインティナンス、即ち戸建て新設から中古住宅長期活用の時代に移りつつ
 ある。住宅の建て替えが太陽光の寿命の前に来る心配には、前の家は傷付けて
 もよいので取外しは簡単であることを知らせてあげる。
・中古住宅に幅広く、屋根の強化、地震対策の点で支援し、太陽光パネルを付け
 易くする。
・工事業者や販売業者の質の向上を政府がもっと監視統制する。悪質業者は減った
 が、技術知識の未熟な業者が増えている。自分の家に自ら頼んで設置しようとする
 人はまだ少ない。だから訪問販売に高値で買わされ、本当の安さが伝わらない。
・補助金を復活させる。
・賦課金の行き先を企業や外国資本よりも、家庭に還流していることが実感できる
 まで、住宅用買取価格を高く保ち、賦課金の行き先と金額について政府が把握し
 国民に広報する。
・住宅用余剰売電の節電インセンティブの効果実績について、政府が確認し、国民
 に広報する。
・住宅用太陽光発電の分散型電源による究極の自給の備えが、系統連携の負荷が少
 ないこと、また安全保障上の多岐にわたり優位なことを広報する・
・住宅用太陽光による自給のエネルギー備蓄効果を、国家石油備蓄量を減少する
 ことにより量的、具体的に行動で示す。
・安全保障の一つである国家石油備蓄を政府の意思が反映できるよう運営を国策に
 戻し、合わせてスペースに太陽光を国策で導入し、石油備蓄量を振り替える。
・住宅用太陽光売電収入の非課税所得措置を設ける。単に昼と夜の電気の交換で
   あり、固定価格による等価交換超過分は賦課金負担という隠れた経費がある。

以上述べた太陽光の良さは、住宅用を前提としており、稼働期間を求める計算に土地代、フェンス設置費用は無い。逆にパネルの値段を海外メーカーより高い国内メーカーのものをとっている。屋根スペースに制限が有る中、収まり易いということで単結晶主体でコンパクトな国内メーカーが択ばれることが多いからだ。
太陽光発電は下記に列挙した特徴で住宅用が醍醐味なのである。
  1. 前述したように、安全保障の究極の自給に適う。
  2. 次章で取り上げる余剰売電と固定価格買取制(*1)が、余剰を少しでも増やして供給に回そうと自家消費の節約インセンティブになる。つまり創エネと省エネを叶える。
  3. 自給は三分の一以上に達し、その分送電網のお世話にならない。また分散しているため電力会社の送電網への影響が軽微である。
  4. パネルを置く土地を必要としないので自然環境を壊さない。
  5. 太陽により近い屋根ということは影が入りにくく、光源を無駄にしない。
  6. 日本屋根は4寸勾配(22度傾斜)が多く、最も発電効率の高い太陽に対する角度90度即ち30度傾斜に近い。
  7. 用地代が不要な上、住宅に断熱効果を与える。
  8. フェンスが不要で、侵入や危害を受ける心配がない。
  9. 土埃を被らないので、パネル表面の洗浄は降雨で済む。
  10. 自立運転に切り替えれば、いつでも系統連携しない独立電源として用をなす。
  11. 家庭用運送エネルギー即ち電気自家用車の動力源として補給の便利さと燃費経済性で優位。
  12. 固定買取価格を、そのマークアップ原資の再エネ賦課金を負担する需要家が享受できる。
  13. 仮に政府が言うように原発を止めて電気代が上がるなら、自家消費分約4割は影響を受けない。
これらの特徴をみると、採光と採電の違いはあっても住宅の窓とよく似ていることに気付く。住居の窓が太陽光から室内に明かりを取り込むように、屋根に風雨を避ける機能に加えて、生きるための電気を取り込む機能が加わる。また断熱が空調効果となり窓と同様に快適さを与える。省エネはエネルギーの制約からの完全脱却である。住宅用太陽光は単に再エネでなく、購入電気を採光の窓のように減らす省エネと捉えることもでき、その価値は別の意味を持ってくる。日本の農家が宗旨に関わらず一様に天照皇大神のお軸を掲げて太陽の恵みに感謝したように日本の家庭は、燦々と太陽光が注いだらああ勿体ない太陽光パネルを屋根に祀ろうと思うのである。農耕を糧とする倭民族に合っている。野立てのモジュールをモップで洗浄するのは、田畑を耕すのと同じ意味を持ってくる。見栄えを気にする人達言いたい。原発の作る電気を使って生活するよりも恥ずかしくない。むしろ慎ましく自給する住人の心が家に現れて美しい。
吉本隆明は3.11のほぼ一年後、人類の未来のために科学技術に挑戦し続けるべき、可能性を信じて科学の粋である原発を放棄すべきでないと言い残して亡くなった。核を持てないひがみのようなものがあるのだろうか。科学を尊重してやまない若者達には、君達が夢見ている科学の粋の人工知能は完成した暁には原発は止めようと言うのだよと言いたい。行け行けどんどんの大人に言いたい。霊長類などと言わないで自然の前に自らを疑うことさえできれば原発をやめるなんて簡単だよと。科学の使い方が大事なのであって実用では自然に対し毒になる科学を見分け、ここらへんで止めとくかと自制することも科学である。化学でも毒物を生ずる反応は避ける。原発がCO2の比ではない毒物を生んでもなお、やってきたのは電気を生むからだ。その電気が他のクリーンな方法で足りるなら、さすがに毒物の生成は避けるだろう。原子核を分裂させ生じる熱エネルギーを動力に変える蒸気機関に依らなくても、原子核の周りの電子が光に当たれば動きだすことから直接電気を取り出せる。後者の方が自然の摂理に沿って人間と調和する高次の科学である(*2)。人間の衣・食・住の住の意味を大きく変える科学は原発などより、人類にとって余程大切である。
自給即ち発電者が即需要者であることの有難さ、尊さは計り知れない。発電で自家消費された余剰の電気は電線に流れる前に、まず引込み柱に繋がっている近隣の七、八軒くらいの家庭に供給消費され、さらに東北大震災で活躍した電気自動車にも供給できる。停電時、1.5kw以上発電中であれば1,500wの家電機器の自立運転に耐える。いざとなれば独立電源として、オール電化で昼に煮炊きし家電は蓄電機能付き、車は電気自動車といった具合に一家庭の生活の電気を賄え、昭和30年代の生活を思ったら不自由を感じても何とか凌ぐこともできる。原発を容れるため避難訓練している大変さに比べてみるといい。人間が今の生活を所与として見るから、物の大変さの軽重がわからなくなり本末転倒になる。送電網や出力調整問題を最初から克服しようともせず、あげつらう。これも原発の陥穽である。それに蓄電池の技術進歩を待てば全ての問題が解消する。原発使用技術と蓄電池性能の向上、どちらが容易かの視点を見落とすと本末転倒になる。
太陽光モジュールが屋根の上に乗せたもう一枚の屋根になり断熱材の役割も発揮し、空調設備のエネルギーを使わない空調が行える。設置下の室温を、夏は日中の直射日光を遮り4度下げ、冬は朝晩に屋根からの放射冷却を抑制し2度上げる。エアコンの設定温度1度変化で10%の節電になることを考えればこの断熱効果は大きい。

(株)ポラス暮らしの科学研究所調べ
季節
屋根表面温度
(屋根材はカラーベスト)
野地板表面温度
設置前
野地板表面温度
設置後
野地板表面温度差

設置下の室内温度差
(筆者予想)
夏場
70℃
49.3℃
38.4℃
—10.9℃
  —4℃
冬場
 −5℃
 8.1℃
13.3℃
 5.2℃
  2℃
     (注)設置下の室内温度差は切り妻の東西両面に設置した筆者が推定した。

家庭用エネルギー(自家用車燃料除く)は最終エネルギー消費の14%を占める。現在の戸建て住宅の平均導入量は一戸当たり4kwである。日本の戸建て3,000万戸(全世帯数5,000万の内、持ち家は3,000万戸から推定)が仮に全てオール電化で家庭用エネルギーを自給できる規模である4kwの太陽光発電を屋根に設置すると8.4%(14% x ( 3,000 / 5,000 ) )のエネルギーを賄える。現在、どんな屋根にもパネルを設置できる訳ではない。もちろん日照もあるし、接合個所からの雨漏りの懸念、屋根の強度とパネルの重量などが問題となり、メーカーの設置基準で可否判定が行われている。今後、屋根強化や地震対策、二重屋根による空調等の概念と結びつけた設置方法により出来るだけ多くの屋根に設置可能となることが課題である。そのためにも、国内メーカーに固定価格買取制度をピンポイントに及ばせ、その分野の研究開発の余力を付与しなければならない。更に残り2,000万戸の集合住宅の陸屋根に設置すれば建坪は平均4階建てで1/4に減るが1.4%(14%x(5,000−3,000)/4/ 5,000)を賄え合わせて約10%となり、この20年間の原子力の発電比率10%に達し、原子力に代替しうる。ことほどさように各家庭が屋根にパネルをつける影響は大きい。屋根が切り妻でも寄せ棟でも北西または北東までは十分発電し一戸当たり4kwの出力は十分確保できる。さらに将来モジュールの小型化、軽量化が進めば日照を受け邪魔にならない限り、倉庫、車庫、デッキの屋根、庭の一部等への設置が普通になり、平均出力4kwの拡大余地は十分ある。そのころはモジュール価格も低下し、電気料金は上がり増設のメリットは一層増す。((*3) 住宅用累積設置戸数、エネルギー基本計画)
  (*1)国民がやる太陽光発電コストは不利であり、それを補い埋め合わせる
         ため国民が賦課金を負担しているというのは間違いである。まず太陽
         光発電コストは電気代より安くて有利である。次に、この制度は電気
         事業者に一定の再エネ電気の利用を義務付ける2003年4月施行の
         RPS法が始まりで、再エネの買取義務以前に電力会社の使用義務を
         発端にしたものである。この点は総括原価主義だからどちらでも同じ
         というわけでなく、誘引費用を負担するかしないかで重要である。
         住宅用太陽光発電の固定価格による買取制度が2009年11月に
   始まり2011年4月から電力会社の太陽光発電促進賦課金の電気
         個人需要家からの徴収が始まった。2012年7月に産業用20年買取の
       「再生可能エネルギー特別措置法」に吸収される。再生可能エネルギー
         電気の電力会社の割当義務量を満たすのが当初の動機で、その割当分を
         外部に頼む買取制度における発電誘引費用を総括原価主義の枠内で行って
         国民に付け替えている。総括原価主義と言いながら住宅用太陽光以外の
         費用負担していない企業や外国資本まで参入しているFITにおける誘引
         費用の賦課金の負担者の正当性は今一度検証されねばならない。
(*2)金属等さまざまな物質に光(光子)をあてれば電子が飛び出す現象である
   光起電力効果は1839年にアレクサンドル・ベクレルによって発見された。
   1905年にアインシュタインが提唱した「光量子仮説」によりその原理が
   説明された。シリコンのような半導体を使うことで光起電力効果を物質の
   内部で起こし(内部光電効果)、浮き上がってきた電子をセル表面に張り
   巡らせた細い電極で拾い上げると電流(電子の流れ)として取り出せる。
   米国ベル研究所の3人の研究員フラー、ピアソン、シャビンが、実用的
   性能(6%の変換効率)を持つシリコン結晶太陽電池を開発した。
  (電池は呼称に過ぎず蓄電機能は無い。正確には光―電気エネルギー変換器
   である。)
 (*3)住宅用累積設置戸数とエネルギー基本計画
モジュール国内出荷量 太陽光発電協会   (単位:万kw)  2013.6まで発電開始分

買取制度開始
まで
(9ヶ月間)
(3ヶ月間)
(9ヶ月間)
(3ヶ月間)
(3ヶ月間)
累積合計

2012(H24).6
まで
2012.7~2013.3
2013(H25).4
~6
2013.7
~2014(H26).3
2014.4
~2014.6
2014.7~
2014.9

住宅用
470
    97
    57
      180
      49
      53
906
非住宅用
  90
    70
  108
      509
    139
    186
1102
合計

560

  167
  166
      696
     201
    257
2047
 (注)簡便に世帯数(戸数)に換算すると、780万kw ÷ 3.5kw=223万世帯(戸)
    (注)エネルギー基本計画での位置付け
 再生可能エネルギーを2030年に全ての発電量のおよそ2割以上へ増やす。
 現在の再生可能エネルギー10%(水力8.4%含む)の内、新エネルギーは1.6%。
 太陽光発電の割合を、住宅用、非住宅用を世帯換算し民生用エネルギー割合から
 検証すると、
    (800+900) x 4.0kw=400万世帯  14% x (400/5,000)=1.1%
    水力の増設余地は少ないことから2030年の増分10%は新エネルギーが担い、
  現在の1.6%を11.6%に上げることになる。風力、地熱等のエネルギーの促進も
    目ざすが、太陽光エネルギーの一層の促進、特に家庭の屋根への普及が望まれる。


住宅用の良さを先に述べたが、それに加え太陽光発電共通の良さとして付け加えるものを整理する。
空気と同様自由財であり無限にどこでも降り注いでいる。捨てられていたエネルギーを捉える。これが再生可能エネルギーの根本であり、中でも一番捉え易い、個人でどこでも捉えられるエネルギーが太陽光である。無駄に捨てられているものを捉えるということは、人間の作った相対的、短期的尺度である経済性を超えて価値を有する人間の営みである。発電セル素材のシリコンも無限で、枯渇しない。これに加えて太陽光発電は熱エネルギーや運動エネルギーを経由しない発電の方法という、他の再生可能エネルギーには無い長所がある。設備は人間が運転稼働させる必要がなく、振動や磨耗も起こらないのでメインティナンスも簡単でランニングコストが従来のエネルギーに比べたら殆ど無いといっていい。降雨という自然現象が洗浄するので、発電と維持の両方が自然づくしである。環境に何も離反しないどころか、環境そのものが発電の主人公なのである。さらに、日照中しか発電しない欠点も見方を変えれば需要ピークの昼間に発電する長所とも言える。発電変換効率、蓄電池の性能等、再生エネルギーは伝統的エネルギーと違い性能や技術で進歩途上である。サプライチェーンが無い。
稼働年数35年がリスク有ると見る人がいれば、その頃の更新はコモディティー品の架台の上のパネルを値が下がった所で取り替えるだけでいいのである。
まとめると
(1) 枯渇がない
(2) 原燃料が只
(3)  原燃料の仕入れが不要
(4) メインティナンスは主に自然が行う。
(5)  環境への悪影響が皆無
(6)   出力変動エネルギーの欠点を蓄電池の技術・性能の進歩で補う可能性。
(7) (2),(3),(4)により投資が殆ど初期投資の一回きりである
(3)以下の特徴はコスト単価(円/kwh)では現れない所だけにもっと評価されなけれ
 ばならない。
端的には、再生可能エネルギーは文字通り、原燃料は無尽蔵でコスト単価には発電設備だけ。コスト単価比較など以ての外、エネルギーの多様化など言う必要もない、増やせるなら他のエネルギーを排除しても、増やさなければならない。













                  


2014年12月7日日曜日

固定価格買取制度と住宅用太陽光


固定価格買取制度は住宅用太陽光に限定し、他の再エネは国が行う。

固定価格買取制度即ちFITは電気の買取価格マークアップで発電設備の需要に火を付けて量産と学習による設備費の価格低下効果で需要を誘引する循環によって普及促進する仕組みである。マークアップは設備費低下幅と相補的に漸次下げる。このしくみをどんな物を普及させたい時に使うか。まず当然、他の電源のコストより高いもの。そして量産効果が有効な物。設備費が主で原燃料をフイードしないもの、つまりコモディティー品により近いものである。マークアップは基本的にはそのコストが一般電源コスト即ち電気料金を超える部分と利益である。コストは、設備費が殆ど占めるので、設備の価格と耐用年数で殆ど決まる。太陽光発電のコストを政府は耐用年数20年と見て33円/kwhなどとしたが、実は耐用年数は35年以上で、電気料金よりはるかに安い住宅用17.5円/kwh、産業用15.2円/kwhである。固定買取価格がこれと同額でも損は無いということである。2014年6月時点の接続保留問題の7,178万kwの92%が産業用で施主の殆どが企業や外国資本である。FITを2012年7月に始めて約一年で2013年度の買取価格36円の旨味に気付きFITに依るまでもなく既に低廉な海外モジュールを使って差益を享受しようと駆け込みで2014年3月までに認可されたものである。FITの数量、学習、価格低下効果を待つまでもなく、35年以上稼働できる設備の投資額を8年で回収してしまうほどの差益である。そもそも、FITを使う必要はなかった。仮に民間投資が増えなければ、国がやっても済むことを考えれば火を見るより明らかである。普及という結果は同じでも、1年半のリードタイムだから15年度ぐらいからの乗っかってくる賦課金は無意味に企業や外国資本に今後20年にわたり移転する。住宅用太陽光は個人の屋根につけてもらうから国が直接できないからFITに依る他ない。更に住宅用は後述するが、情報の非対称性と屋根につける採算以外の要素があるので、直ちに実コストがFIT排除要因にならず、FITが有効になる。但し、コスト補填を旨とするFITの適用が返す刀で、コスト安を外観的に否定するので、本当のコストの周知の方も重要になる。
次に、FITにおいて誘引費用即ちマークアップの原資を誰が負担するかはまた別の問題である。その電気を欲しい、使う義務があるならば電力会社だろうし、国がFITに固執するなら税金で負担する方法もあろう。今、個人需要家が電気代で賦課金として負担している理由は、どうであろうか。FITを電気代の総括原価方式の枠を使って行っているからである。総括原価方式の根幹は電気需要家が公平に使用電力量に応じて原価を負担することである。需要家が負担している限り総括原価方式の閉じた内で行われる。電力会社が再エネを買取るという意味は、需要家の電力会社からの負の購入使用に相当する。負の使用に応じ需要家は使用に応じた原価負担、賦課金を返還してもらう。買取りのマークアップが返還に当たる。原価を負担していない者は返還してもらうわけにはいかない。産業用太陽光や、風力、地熱他の再エネを行う企業や外国資本のように賦課金を殆ど払わなくて良い者で、しかも固定買取価格を享受する発電量があまりにも大きい者が、総括原価方式の枠内で行うFITに誘引される者として参入するのは間違っている。産業用太陽光や他の再エネは、コスト、総括原価方式、太陽光を除いてコモディティー品で無い、ことで、そもそもFITにはそぐわない。

賦課金は、単価で話をすれば、買取価格と回避可能単価との差額で算定される。回避可能単価は当然電気料金よりはるかに低いので賦課金の算定単価幅が拡大するが、こんな阿漕なことが何故許されるのだろうか。
FITはコスト補填が趣旨であり、太陽光発電者は電気料金で第三者に売ることができ、また電力会社は電気料金で売っているものを減らせられるのだから、電気料金からのコスト差が賦課金で負担されるだけでよいはずである。電気料金と回避可能単価との乖離はやはり問題にしなければならない。かつて、RSP法の時代に住宅用太陽光電気を電気料金で電力会社が買い取り売り、賦課金も無い時期もあった。やれないことではないのである。
太陽光発電の実態を近隣を含めて電気の流れを捉えると、余剰売電の自家消費だけでなく殆どが地産地消で電力会社の発電設備まで逆潮流しているものは一部である。自由化後は全てがそうなる。従って太陽光電気は末端価格、即ち電気料金25円の価値が備わっている。回避可能費用が12、3円/kwhということは、電力会社は25円の価値あるものを12、3円で仕入れていることになる。この差額は有効利用されず無駄になっているか、或いは電力会社が総括原価方式のブラックボックスの中で他の損失補填に流用していることになる。賦課金計算基準を回避可能価格から電気料金に変えるべきである。


売電を増やすため自家消費を節減する省エネ効果もFITを総括原価方式の中で導入した時予定されていた。普及の結末の飽和した時は賦課金負担と返還は一対一である。誘引の目的の普及が達せられた時、誘引費用が負担者にそっくり戻る。普及の途上ではなり得ないが、隣人が付けてくれればわが事に思う。FITの負担者以外が参入を許される事は誘引力の筒抜けに留まらず、賦課金の流出に繋がるので決定的誤りである。

2014年9月に持ち上がった接続保留問題の教訓は、住宅用太陽光の普及飽和に向けて舵を切れということである。
7,178万kwの認可案件の接続保留問題が突然持ち上がり、普及の達成に近づいた喜びにはほど遠く、狼狽にも似た釈然としない感覚が蔓延しているのは何故か。送電網容量の制約を受け入れ中断の弁解に今さら持ち出されるからではない。国民、個人需要家の狼狽は、固定価格買取制度をやっている主人公である自分達が不在のところで結果が出てしまったという感覚である。7,178万kwの92%が非住宅用即ち産業用である。
固定価格買取制度、即ちFIT(Feed-in Tariff)の目的は再生可能エネルギーの普及であり、そのしくみは、学習効果や量産効果による製造コスト低下を誘導するため、電気生産設備の価格のまだ高い間の需要を、生産される電気の買取価格マークアップにより引き出し、電気生産設備価格の低下効果でまた需要を生むという循環によって電気生産設備の普及を促進することである。買取価格マークアップは、原資は個人需要家が負担し電気生産設備価格の低下幅と相補的に下げていく。買取価格マークアップの収入増誘引よりも、製品価格低下という費用減を直前、直接の誘引のイベントに予定し粛々と進める普及促進策である。FITは太陽光発電の住宅用に最も適した制度である。量産効果だから同じ再生エネルギーの風力、地熱ではない。そして、買取マークアップを、原資を負担する人と同じ個人需要家が享受する時、制度が一番、本領を発揮するからである。固定価格マークアップ負担者は、普及という最終便益だけを得ればよいのではない。設備設置者となって、その過程の固定価格マークアップという便益も同時に得て初めて制度から、その目的と合致した恩恵を受ける。FITが仕組んでいる誘引は買取価格マークアップ自体の誘引だけでなく、制度の原資を負担する者が回収して当然とする権利意識からくる誘引がある。賦課金を負担するからにはそれを原資に制度に仕組まれている誘引に的確に乗って買取価格マークアップを享受したいという誘引である。買取価格マークアップの魅力の「入り」と賦課金の払いを払うからには回収するため設置者になるという「出」と両方を原因とする相乗の誘引モーメントが働き実現できるから賦課金の払いに疑問も湧かず普及もなるのである。端的には、負担が負担した所へ戻ってこなくてはいけない制度なのである。そのために、FITにおいて個人住宅用が抜き差しならないのである。FITが何かに拘わらず、FITは以上述べた通りに運用されなければならないのである。ところが政府は国民に太陽光を、良いものをいいと言ってこなかった。情報の非対称性の緩和される企業と違い個人は判断つかない。ましてや政府が逆の事を言っていたら個人の住宅用設置はおっかなびっくりで遅遅として進まない。政府は国民がやる太陽光発電コストは不利であり、それを補い埋め合わせるため国民が賦課金を負担しているという言い方を今だにしている。後でも証明するが、住宅用太陽光発電は電気代の四分の三のコストで圧倒的有利である。原子力を継続したかったから、国民の自ら設置者になる意欲に水を掛け続けた。単に普及すればよいと、賦課金だけ払わしその結果、置き去りにされた個人が、固定買取価格をつまみ食いした企業や外国資本に、ただ普及してくれてありがとうと賦課金を移転さすだけとなった。国民の狼狽が不満に変わりつつある。2014年度から国の補助金も廃止されている。もちろん、
買取価格マークアップという普及誘引費用が総括原価方式の原価として認められるためには、固定価格での買取先が電気の個人需要家でなければならない。買取先が企業や外国資本では、単にリベートであり原価ではないので、電気代の中で個人需要家に請求する理由がない。この意味からもFITは住宅用に限定し、産業用が誘引不足で減少する分に代わっては国が直接、国有スペースを利用してやるべきだった。国民にどれだけ迷惑をかけているか自覚の無い政府と電力会社だが、まだ遅くない、この責任をとらなくてはならない。
接続保留問題の7,178万kwの認可案件の内92%が産業用であり、「出」の誘引は存在せず買取価格マークアップ自体の誘引のみで申請された。メガソーラーのような産業用の普及ならばFITのような回りくどいことをしなくとも国が税金でやれば済むが、個人住宅用は国でなく持ち主に購入し屋根に付けてもらわなくてはいけないので補助金やFITで誘うしかない。補助金のように費用の片側だけよりFITの収入費用両面の相乗的誘引が強力である。さらに住宅用の自家消費もする余剰売電を増やそうと自家消費を減らす努力を誘引し、省エネの一石二鳥もある。FITの達成しようとする再生可能エネルギー普及の本来の目的の一つのエネルギー自給率の向上という点で個人住宅用は究極の自給である。派生的にはエネルギー備蓄の機能も絶妙である。住宅用が飽和すれば最終エネルギー消費の14%を占める家庭用エネルギーの殆どが半永久的に備蓄されたも同じである。国がすれば誘引費用も無く済む事を、国民個人がわざわざ誘引費用を負担し、その個人が負担の目的の売電に関わらなければ、何の理由もなく個人から売電に関わった者に負担金が移転しているだけである。2015年2月現在、政府はエネルギー種別のコストを見直しているが、その中で太陽光のコストは賦課金を含めたコストにする方向である。賦課金を無意味うに使う上、原発よりはるかに高いエネルギーと悪者にするために利用する。原発が止められる願いで賦課金を負担し続ける国民に恩を仇で返すような仕打ちが平気で行われる。20年間続くので巨額である。ドイツも、以上述べた点を見落としたから失敗した。ドイツの約2割が野立てで残り8割が屋根設置型だが、この内、大半が商業施設、集合住宅、工場等の非住宅用であった。
原発や道路のように、サービスを提供する側が競争下になく、かつ事業目的に全体統制が必要な事業は民営にしてはいけない。郵政は国家意思を反映の必要が無くなっただけである。国家意思を反映する再生エネルギー電気の普及もそうである。ただ住宅用太陽光は、住宅の屋根に付けるのは個人だから国が直接できないからFITを導入し個人需要家の投資を誘引しただけである。石油備蓄も同じ理由で民営にすべきでなかった。国家資本と運営で設立以来やられていたものを民営化礼賛で2003年に当時の石油会社八社に民営化した。しかし国家の明確な意志を運営に打ち出す事の方が大事なのである。名ばかりの競争購買をするより国の意思表示で済むのである。3.11で現地への車両燃料油補給に関し石油会社がばらばらに行動して失敗した事実を見ても、石油備蓄は国営に戻すか一社に統合する必要があろう。石油備蓄の敷地は今でも国所有なので余裕スペースに余剰売電の国営太陽光発電を設置すれば、国民負担の無い再エネ普及に寄与すると同時に(能力kw x 稼働率12.6%)の発電量に相当する原油備蓄に代替する。送電網も同様に電力自由化の基盤になるように全体統制が不可欠である。
また、主に海外メーカーのパネルが使われる産業用と主に国内メーカーのものが使われる住宅用で太陽光パネルの二重価格の綾が固定価格買取制度を機能不全にした。設備費は国内メーカーは1kw当たり40万円に対し海外メーカーは30万円以下である。産業用が安いのは一システムの規模のメリットと、海外モジュール即ちパネル自体の価格が安いことが大きい。因みにコスト等検討委員会は、2010年時点国際的システム価格14.8万円/1kw(欧州太陽電池工業会調べ)に2030年に収斂するとしている。システム価格の殆どを占めるモジュールは海外メーカーが産業用、国内メーカーが住宅用に主に使用される。海外メーカーのモジュールは市場規模からも量産、学習効果は及びにくい。多結晶が主で量産の効く海外メーカーのパネルが多く使われる産業用は、FITで量産、学習効果を待つまでもなく既に低コストである。本来時間をかけ費用の下がりに応じ低減していく買取マークアップがまだ高い段階で、しかも住宅用に比べ少し甘い価格で、正味で即差益即ち収入増となる誘引が屋上屋に作用した。7,178万kwhの殆どが、2013年度の36円/kwhの買取価格の権利を得ようと駆け込みで国に認可された産業用である。営利を目的にした企業や外国資本が、全量買取制度が施行された2012年7月からほぼ1年ほどの内にこの極端なメリットに気付き2013年度買取価格適用期限とされた2014年2月末の通産省への申請に間に合わせたということである。因みに2014年2月770万kw、3月2,650kwの認定ラッシュが発生した。普及という目的に大きく近づいた結果は同じだが、固定価格買取制度が機能したからではなかった。固定価格買取制度が無意味になって何が違うかというと、二つある。一つは個人がする主に住宅用の普及を阻害し負担者と売電者の乖離を招いた。制度の高い買取価格をつまみ食いしたのは制度の費用負担者ではない企業や外国資本だった。二つは国内メーカーを毀損したということである。制度の誘引アルゴリズムによりコスト競争力を付ける猶予を与えることなく海外メーカーに日本市場を一気に蹂躙させた。国内太陽光産業の競争力強化に繋がらないどころか痛めた。ドイツでも生産量世界トップだったドイツのQセルズはアジアメーカーの安値攻勢に破れ台湾のハンファに買収され、今はハンファQセルズという製品名で販売されている。固定価格買取制度はオープンならば海外の安い製品にその機能を破壊されるのである。パナソニック、シャープに代表される日本メーカーは、個人が住宅用に日本メーカーのものをほぼ9割に上るほど採用したから、社内太陽光部門はQセルズのようにならないまでも、2014年第一四半期世界一の出荷量だったシャープでさえ太陽電池部門は2014年度決算で60億程の赤字となり自社生産販売から撤退を検討している。会社は台湾企業の出資を仰ごうとしている。メガソーラーのような産業用ならば固定価格買取制度に依らなくとも国がやれば済んだ。買取マークアップの無い正味のコストで、企業も外国資本も漏れず皆なが公平に負担する税金を原資とできる。後述するが太陽光の正味の発電コストは電気代の四分の三なのである。そして、国でやれば国内メーカーのパネル等設備を使うことができる。学習、量産によるパネル価格低下効果をピンポイントに国内メーカーに及ぼし、原発輸出に代替できる世界での競争力を付与することができた。産業用は国策に転換し、住宅用に舵を切り直そう。

住宅用太陽光発電の普及飽和を目指し、その発電量で原発を代替する。

2012年5月総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が出した2030年の電源構成で再生可能エネルギー30%のケースをとると、総発電量1兆kwhの内、太陽光発電6%で600億kwh、原発15%(注1)で1,500億kwhである。住宅用太陽光を飽和させると2030年の総電力量の原発の割合15%を代替できる量に適う。産業用と国策で太陽光の6%を確保し(注2)、住宅用太陽光で原発の15%を代替する(注3)。認可済みの産業用については、今からでも賦課金負担を少しでも縮小する施策を早急に打っていく。未設置で少しでも甘いものの認定取消し、認可から接続時点へ変更した固定買取価格適用基準の2013、4年度認可分への遡及適用する。それ以後の分を平準化しながら国策への振り替える。未設置の発電所は将来の設置時点の更に低価格の設備を購入できるのだから、2015年度以降の30円以下の買取価格でも十分採算は立つからである。
太陽光の不安定性の欠点は原発と比較する限り無視してよい。なぜなら原発は昼夜一定出力しか保てないため、需要の無い夜も昼と同じ量を発電し続けなければならないという、供給過多が昼か夜かの違いで太陽光と同じ欠点持っているからである。昼さらには好天で空調電力需要に応える太陽光の優位性を言わないで、不安定性の弊のみを論うのは片手落ちなのだ。原発の太陽光は火力発電の緩衝で昼のピーク需要を調整し、原発は40円/kwh以上のコストの揚水発電を夜の蓄電に用いている。確かに太陽光の日照の程度による変動は原発には無いが、火力の機動的柔軟性と容量で解消できる。容量を確保しなくてはならない点は、昼間のピーク需要を満たす太陽光のメリットが補って余りある。送電網容量の問題は、認可分の発電開始を平準化し漸次、拡充すると同時に送電負荷の小さい住宅用の普及にシフトすることで解決できる。結局、何を調整電源に組むかというエネルギーミックスの問題であり、更には原発が再生可能エネルギーの調整電源の火力のキャパシティーを喰うという点で、原発と再生エネルギーが、トレードオフの関係にあり二重にエネルギーミックスのペアで二者択一の問題となる。また、送電網を喰うという点でもトレードオフであるが、原発の方が圧倒的に多く喰う。尚、原発のベースロード、太陽光のピーク電源という意味は両者共にこれでなければということではない。調整電源として、水力発電でも揚水というコストの高い電源を調整のためだけに持ち込むよりも主要電源の火力の方が明らかに有利である。共に目的にしている環境問題では、事故の環境破壊を置いといても、海水の温度上昇を招く原発のクリーンは嘘である。原発と再生可能エネルギーは共存できない二者択一なのである。政府はこの点を隠し、或いは認めず両者の共存を安易に考えている。再生可能エネルギーの普及策がちぐはぐにしか実行できないのはこのためである。太陽光の接続保留や受入れ制限が取り沙汰されている今こそ太陽光を択ぶために、きっぱり原発を捨てる決断が必要である。折しも、サウジの増産により原油価格の下落が続いており、調整電源の石油火力は今までが高すぎたことが分かってきた。
(注1)2030年の原子力発電比率ケース
   (長期エネルギー需給見通し委員会資料から)
  ・再稼働無し                     0%
  ・運転期間40年を守る場合 
     廃炉決定済みの炉を除く43基稼働       12%
     上に加え炉3基(大間、島根3、東通)が稼働  15%
  ・運転期間60年に延長の場合 
     廃炉決定済みの炉を除く43基稼働         22%    
     上に加え炉3基(大間、島根3、東通)が稼働  25%
(注2)2014年6月時点認可太陽光7,178万kwhの厳選実施と国策
           で行う。
    7,178万kw x 365日 x 24時間 x 12.6%(稼働率)
            =792億kwh
    1kw当たり年間発電量:1,100kwh
            稼働率:1,100kwh / (1kw x 365days x 24h)
            =12.6%
(注3)住宅用太陽光の飽和で、1,545億kwhの発電量となる。
    平均導入量は一戸当たり4kw
    全世帯数5,000万の内、戸建て3,000万戸、集合2,000万戸
    4kw x 3,000万戸 x 365日 x 24時間 x 12.6% 
            = 1,325億kwh
    集合住宅の陸屋根の1戸当たり建坪は平均4階建てで戸建て
            の1/4。   
    4kw x 1/4 x 2,000万戸 x 365日 x 24時間 x 12.6% 
            =220億kwh
    220億kwh+1,325億kwh=1,545億kwh

個人需要家が自分の家の屋根に太陽光発電を付けようとする意欲が大事にされないから、賦課金負担者と買取価格享受者の乖離を招きFITは失敗した。住宅用設置の意欲を阻害している要因を取り除けばまだ、回復できる。意欲を阻害している理由を一言で言えば個人の「安心感の欠如」と付けても「どうせ原発廃止に繋がらないという落胆」である。
両方の誘引の相乗を予定し当初はその通り進んだから国民にスムーズに受け入れられた。その証拠に1993年に太陽光発電が世に出てから2012年7月の全量買取の再エネ特措法が施行される前までは住宅用が85%を占めていた。固定価格による買取制度が2009年11月に始まり、2011年4月から電力会社が太陽光発電促進賦課金の徴収を始めた頃は住宅用が殆どだった。2006年から2008年の中断を除いて1994年から始まった補助金は住宅用だけで産業用にはない。賦課金は3.11の後、大飯原発を再稼働させるかどうか、させなければ原発全停止に至り電気が足りなくなると言われていた危機感と、国民の自分たちが原発停止による電力不足を救おう、負担もしようという気持ちが有って受け入れられた。FITはその時の国民の気持ちは間違いなく原発停止による電力不足を補えるからということだった、いつの間にか温暖化防止にすり替えられた。賦課金を負担している個人の住宅用の普及こそ、この制度の鍵なのである。そうして初めて、賦課金を負担する一人一人が本人あるいは近所の同胞が買取価格の優遇を受け、喜んで負担しようという気持ちになるのである。さらに、2009年11月の固定価格買取が始まった時から、住宅に設置した個人が余剰売電を少しでも増やそうと発電量の約4割を占める自家消費を減らすインセンティブは制度に予め仕組まれていた。二つの誘引の一つの帰結として創エネだけでなく省エネを仕組んだ制度なのである。
次に、固定価格買取制度が量産、学習効果によりコスト低下を図るパネルは日本のメーカーのものでなければならない。量産、学習効果が海外のメーカーに及ぶのが難しいことは自明である。一国の閉じた中で制度運用できないとしたら、国内メーカーの小さく軽いパネルをスペース等の制約から選択する個人の住宅用の普及こそ、この制度の鍵なのである。前述したように、個人が住宅用で国内メーカーを採用したからこそ、国内メーカーは何とかドイツのQセルズのようにならずに持ちこたえている。国内メーカーは太陽光発電を輸出し、原発輸出によらなくとも新興国の電力基盤整備の支援ができるだけの競争力を付けることが出来る。住宅用の自給は個人が行う究極の自給である。非常時には自立運転に切り換え発電全量自給に回せて、平時においても自給は約4割に達し、その分余剰売電量は減り送電網の負担は減り、また分散エネルギーのため電力会社の送電網への影響が軽微なのである。冒頭述べた接続保留問題は緩和される接続保留、変動電源の問題は海外特にドイツやスペインの高い太陽光発電比率からみれば、力仕事で解決できるものである。
認可量の急増した産業用に比べ住宅用は固定価格買取制度の誘引の仕組みに則り時間をかけながら普及の途上である。産業用が、FIT本源の力が住宅用に働いている粛々とした普及の進行を撹乱してはいけない。今からでもまだ間に合う。ドイツのように太陽光発電はドイツ環境政策の歴史の中で最も高価な誤りになりうると批判される前に気付こう。環境政策賦課金がFITに無縁に単に個人需要家から営利の企業家や外国資本に移転するだけの、FITに無縁に国でやった方が良かった産業用のこれ以上の申請は中断し、既に認可された7,178万kwを厳選して送電網の拡充の進捗に応じた漸次な系統連携に止め、住宅用太陽光の普及飽和に向けてFITの舵を切り戻す。電力会社は企業や外国資本に買取価格を享受されるのは平気だが、他の電力会社の管内の住民に享受されるのは嫌う。あべこべである。我々、個人需要家は自分でなくとも周囲の同胞や日本国民個人が享受してくれるならそれでよいと思う。自家消費を節電し頑張ってくれているとも思う。せいぜい個人が行うプチソーラー(50kw未満,低圧)までであれば。しかし、営利目的の企業や外国資本では堪らない。また原発輸出の代替もできるほどに国内メーカーの強化に繋がらないのでは、今後20年間、賦課金を払う時の無力感は想像するのも憚られる。企業や外国資本からの不満に対する政府の説明は、「産業用のこれ以上はFITの目指す方向ではない。国民に許されないので申請中断を了解してほしい」で済む。固定価格買取制度は、設置される太陽光発電所も賦課金負担も売電による買取価格の享受も、三つともに「分散型」である制度なのだ。

2009年11月に住宅用太陽光発電を対象に余剰電力買取制度を導入した目的は「低炭素化社会の実現を国民全員参加で行う」というものである。2012年7月から再生エネルギーの導入拡大を目的にした本格的な全量買取制度(再エネ特措法)が導入され、これに制度として吸収された。前者は太陽光促進賦課金であり2014年10月から後者の再生エネ促進賦課金に一本化されたがいずれも個人需要家が負担する。
新制度に吸収されても太陽光については低炭素化社会の実現を国民全員参加で行うことは生きている。制度の導入がスムーズに運んだ背景には2011年3月の福島事故をはさみ、原発の負荷を少しでも緩められるなら太陽光で自給して賦課金負担もしよう、再生エネルギーがどこまで原発代替できるかやってみようとする国民の了解があった。単に再生可能エネルギーの拡大がなればよいというものでなく、原発に頼らない「低炭素化」であり、「国民全員参加」は太陽光に関しては、賦課金負担者の国民が買取価格の優遇を受ける発電者になれる限りはなろうというものだった。余剰電力買取制度の3年弱の間、個人、即ち住宅用の普及は道半ばで、全量買取で経済性を敏感に察知した事業体や外国資本による産業用設置が急増し送電網容量不足から保留措置もとられるようになった。住宅用の普及はまだまだ途上である。送電網が産業用に占められて、住宅用の今後の普及にまで支障をきたすようなことがあってはならない。電力会社は送電網容量と出力安定化の電源の拡充で受入拒否と抑制を回避してほしい。同時に政府や電力会社からの、個人に産業用に負けず設置するよう働きかけが、なされねばならない。住宅用は固定買取価格の受益者と負担者の一致も叶い、自給を含む余剰売電で送電網への影響が小さく、更に安全保障上の決定的優位をはじめ住宅用の醍醐味として前に列挙したとおり、国民経済的に最も優れているからだ。住宅用が普及し切らない理由は、個人が発電量、耐用年数、設置工事の確かさ等に関する不安が、買取価格を提示されるだけでは拭えないからである。個人が誘引されるには安心感が不可欠である。買取価格は少し殺伐として、補助金の方が政府が出すということで安心感を与える。産業用より情報の非対称性の影響が大きく不安にかられ足踏みすることが多い。メーカーの出力保証は公称能力からの乖離を補うもので売電収入と直結した発電量の保証ではない。原発の稼働もさせたい政府と電力会社は、福島事故後も今に至るまで固定価格買取制度の仕組みだけ与えて住宅用の普及に及び腰が続いている。まだ遅くはない。政府が住宅用の国民経済的優位性を国民に知らしめ本腰を入れて後押しすべきである。政府がメーカー、業者の保証の上に発電量、耐用年数、工事の質を保証するのだ。この保証は、個人の杞憂を取り払い買取価格の保証と並ぶくらいの効果があろう。しかも太陽光発電の寿命の考察で述べた通り太陽光モジュールの現在の品質の高さによって政府のお墨付きの付与と工事業者の牽制だけで殆ど済むだろうから、軽微な財政負担で済む。
普及は畢竟は国民の厚生、効用につながるが、普及が目的だけでは賦課金を最終需要家に負担させる根拠と意義として弱い。企業や外国資本に劣らず最終需要家に固定買取価格の受益者、即ち分散型エネルギーの発電者になるインセンティブを確実に与えてこそ優れた制度設計と言える。況や、企業や外国資本が自分たちが負担しない賦課金による固定買取価格を享受することは、原資が企業も外国資本も負担する税金である補助金を住宅用だけに付けることと、バランスしていたが平成26年度から国の補助金は撤廃された。住宅用の買取期間が10年のままで産業用の20年に取り残されていることは特に受け入れ制約問題が明らかになって、賦課金負担者が誰かを忘れた本末転倒の政策といえよう。住宅用は送電網の影響が軽微である。利益を目的とした産業用と一律に住宅用まで抑制の対象にしてはいけない。最小限の住宅用買取価格の改訂、政策投資銀行の1%台低利の住宅用融資、耐震補強と屋根設置工事との融合、様々な屋根に設置できるよう取付け技術の向上等も国が本腰を入れて検討すべきである。



産業用(10kw以上)も固定価格による全量買取制度が2012年7月に始まった(再エネ特措法)。固定買取価格はシステム価格の下落に応じて下がるが、産業用については、再エネ特措法施行後3年間(2012~2014年度)は例外的に利潤に配慮しており設備投資の内部利益率(IRR)を1~2%上乗せ(結果 税引き前7~8%)している。2015年度からこれがなくなり相当程度減額されると予測される。
尚、2014年度の住宅用屋根は国の補助金が廃止になったこともあり固定買取価格が37円と前年から1円減少にとどまった。当該年度の買取価格の適用時は、これまでの資源エネ庁設備認定・電力会社接続申込時でなく2015年度から電力会社との接続契約時に変更になった。切れ目の最終年度2014年度は2ヶ月間の資源エネ庁の認定作業のため設備申請を1月30日までに資源エネ庁にする必要がある。電力会社との契約済みの既存設備の出力増加所謂、増設の場合の増設部分について、従来は何時増設しても当初設備の買取価格が適用されたが、住宅用10kw未満を除いて2015年度から資源エネ庁設備認定時の買取価格が適用される。切れ目の2014年度は3月31日までに変更申請をする必要がある。出力制御について2015年度以降接続分から拡大されるので、電力会社及びシステム出力によっては設備認定・接続申込みを3月31日までにする必要がある。
個人が屋根上と庭の両方で新設或いは増設で10kw以上を確保し産業用で余剰売電で20年間買取を受けることも推奨される。産業用の回収が早い理由は、モジュール一枚の価格が安いことに加えシステムの規模が住宅用より大きいので工事費まで含めたシステム価格が安くなるためである。野立てが主体であり、スペースや重量の制約が住宅の屋根ほど無いことから、パネルは少し大きいが量産が適う多結晶を中心に生産単価を下げている海外メーカーのモジュールを使用できる。自家消費がなく全て売電にまわせる。20年という固定買取期間であること等が上げられる。