2014年12月7日日曜日

固定価格買取制度と住宅用太陽光


固定価格買取制度は住宅用太陽光に限定し、他の再エネは国が行う。

固定価格買取制度即ちFITは電気の買取価格マークアップで発電設備の需要に火を付けて量産と学習による設備費の価格低下効果で需要を誘引する循環によって普及促進する仕組みである。マークアップは設備費低下幅と相補的に漸次下げる。このしくみをどんな物を普及させたい時に使うか。まず当然、他の電源のコストより高いもの。そして量産効果が有効な物。設備費が主で原燃料をフイードしないもの、つまりコモディティー品により近いものである。マークアップは基本的にはそのコストが一般電源コスト即ち電気料金を超える部分と利益である。コストは、設備費が殆ど占めるので、設備の価格と耐用年数で殆ど決まる。太陽光発電のコストを政府は耐用年数20年と見て33円/kwhなどとしたが、実は耐用年数は35年以上で、電気料金よりはるかに安い住宅用17.5円/kwh、産業用15.2円/kwhである。固定買取価格がこれと同額でも損は無いということである。2014年6月時点の接続保留問題の7,178kwの92%が産業用で施主の殆どが企業や外国資本である。FIT2012年7月に始めて約一年で2013年度の買取価格36円の旨味に気付きFITに依るまでもなく既に低廉な海外モジュールを使って差益を享受しようと駆け込みで2014年3月までに認可されたものである。FITの数量、学習、価格低下効果を待つまでもなく、35年以上稼働できる設備の投資額を8年で回収してしまうほどの差益である。そもそも、FITを使う必要はなかった。仮に民間投資が増えなければ、国がやっても済むことを考えれば火を見るより明らかである。普及という結果は同じでも、1年半のリードタイムだから15年度ぐらいからの乗っかってくる賦課金は無意味に企業や外国資本に今後20年にわたり移転する。住宅用太陽光は個人の屋根につけてもらうから国が直接できないからFITに依る他ない。更に住宅用は後述するが、情報の非対称性と屋根につける採算以外の要素があるので、直ちに実コストがFIT排除要因にならず、FITが有効になる。但し、コスト補填を旨とするFITの適用が返す刀で、コスト安を外観的に否定するので、本当のコストの周知の方も重要になる。
次に、FITにおいて誘引費用即ちマークアップの原資を誰が負担するかはまた別の問題である。その電気を欲しい、使う義務があるならば電力会社だろうし、国がFITに固執するなら税金で負担する方法もあろう。今、個人需要家が電気代で賦課金として負担している理由は、どうであろうか。FITを電気代の総括原価方式の枠を使って行っているからである。総括原価方式の根幹は電気需要家が公平に使用電力量に応じて原価を負担することである。需要家が負担している限り総括原価方式の閉じた内で行われる。電力会社が再エネを買取るという意味は、需要家の電力会社からの負の購入使用に相当する。負の使用に応じ需要家は使用に応じた原価負担、賦課金を返還してもらう。買取りのマークアップが返還に当たる。原価を負担していない者は返還してもらうわけにはいかない。産業用太陽光や、風力、地熱他の再エネを行う企業や外国資本のように賦課金を殆ど払わなくて良い者で、しかも固定買取価格を享受する発電量があまりにも大きい者が、総括原価方式の枠内で行うFITに誘引される者として参入するのは間違っている。産業用太陽光や他の再エネは、コスト、総括原価方式、太陽光を除いてコモディティー品で無い、ことで、そもそもFITにはそぐわない

賦課金は、単価で話をすれば、買取価格と回避可能単価との差額で算定される。回避可能単価は当然電気料金よりはるかに低いので賦課金の算定単価幅が拡大するが、こんな阿漕なことが何故許されるのだろうか。
FITはコスト補填が趣旨であり、太陽光発電者は電気料金で第三者に売ることができ、また電力会社は電気料金で売っているものを減らせられるのだから、電気料金からのコスト差が賦課金で負担されるだけでよいはずである。電気料金と回避可能単価との乖離はやはり問題にしなければならない。かつて、RSP法の時代に住宅用太陽光電気を電気料金で電力会社が買い取り売り、賦課金も無い時期もあった。やれないことではないのである。
太陽光発電の実態を近隣を含めて電気の流れを捉えると、余剰売電の自家消費だけでなく殆どが地産地消で電力会社の発電設備まで逆潮流しているものは一部である。自由化後は全てがそうなる。従って太陽光電気は末端価格、即ち電気料金25円の価値が備わっている。回避可能費用が12、3円/kwhということは、電力会社は25円の価値あるものを12、3円で仕入れていることになる。この差額は有効利用されず無駄になっているか、或いは電力会社が総括原価方式のブラックボックスの中で他の損失補填に流用していることになる。賦課金計算基準を回避可能価格から電気料金に変えるべきである。


売電を増やすため自家消費を節減する省エネ効果もFITを総括原価方式の中で導入した時予定されていた。普及の結末の飽和した時は賦課金負担と返還は一対一である。誘引の目的の普及が達せられた時、誘引費用が負担者にそっくり戻る。普及の途上ではなり得ないが、隣人が付けてくれればわが事に思う。FITの負担者以外が参入を許される事は誘引力の筒抜けに留まらず、賦課金の流出に繋がるので決定的誤りである。

2014年9月に持ち上がった接続保留問題の教訓は、住宅用太陽光の普及飽和に向けて舵を切れということである。
7,178万kwの認可案件の接続保留問題が突然持ち上がり、普及の達成に近づいた喜びにはほど遠く、狼狽にも似た釈然としない感覚が蔓延しているのは何故か。送電網容量の制約を受け入れ中断の弁解に今さら持ち出されるからではない。国民、個人需要家の狼狽は、固定価格買取制度をやっている主人公である自分達が不在のところで結果が出てしまったという感覚である。7,178万kwの92%が非住宅用即ち産業用である。
固定価格買取制度、即ちFIT(Feed-in Tariff)の目的は再生可能エネルギーの普及であり、そのしくみは、学習効果や量産効果による製造コスト低下を誘導するため、電気生産設備の価格のまだ高い間の需要を、生産される電気の買取価格マークアップにより引き出し、電気生産設備価格の低下効果でまた需要を生むという循環によって電気生産設備の普及を促進することである。買取価格マークアップは、原資は個人需要家が負担し電気生産設備価格の低下幅と相補的に下げていく。買取価格マークアップの収入増誘引よりも、製品価格低下という費用減を直前、直接の誘引のイベントに予定し粛々と進める普及促進策である。FITは太陽光発電の住宅用に最も適した制度である。量産効果だから同じ再生エネルギーの風力、地熱ではない。そして、買取マークアップを、原資を負担する人と同じ個人需要家が享受する時、制度が一番、本領を発揮するからである。固定価格マークアップ負担者は、普及という最終便益だけを得ればよいのではない。設備設置者となって、その過程の固定価格マークアップという便益も同時に得て初めて制度から、その目的と合致した恩恵を受ける。FITが仕組んでいる誘引は買取価格マークアップ自体の誘引だけでなく、制度の原資を負担する者が回収して当然とする権利意識からくる誘引がある。賦課金を負担するからにはそれを原資に制度に仕組まれている誘引に的確に乗って買取価格マークアップを享受したいという誘引である。買取価格マークアップの魅力の「入り」と賦課金の払いを払うからには回収するため設置者になるという「出」と両方を原因とする相乗の誘引モーメントが働き実現できるから賦課金の払いに疑問も湧かず普及もなるのである。端的には、負担が負担した所へ戻ってこなくてはいけない制度なのである。そのために、FITにおいて個人住宅用が抜き差しならないのである。FITが何かに拘わらず、FITは以上述べた通りに運用されなければならないのである。ところが政府は国民に太陽光を、良いものをいいと言ってこなかった。情報の非対称性の緩和される企業と違い個人は判断つかない。ましてや政府が逆の事を言っていたら個人の住宅用設置はおっかなびっくりで遅遅として進まない。政府は国民がやる太陽光発電コストは不利であり、それを補い埋め合わせるため国民が賦課金を負担しているという言い方を今だにしている。後でも証明するが、住宅用太陽光発電は電気代の四分の三のコストで圧倒的有利である。原子力を継続したかったから、国民の自ら設置者になる意欲に水を掛け続けた。単に普及すればよいと、賦課金だけ払わしその結果、置き去りにされた個人が、固定買取価格をつまみ食いした企業や外国資本に、ただ普及してくれてありがとうと賦課金を移転さすだけとなった。国民の狼狽が不満に変わりつつある。2014年度から国の補助金も廃止されている。もちろん、
買取価格マークアップという普及誘引費用が総括原価方式の原価として認められるためには、固定価格での買取先が電気の個人需要家でなければならない。買取先が企業や外国資本では、単にリベートであり原価ではないので、電気代の中で個人需要家に請求する理由がない。この意味からもFITは住宅用に限定し、産業用が誘引不足で減少する分に代わっては国が直接、国有スペースを利用してやるべきだった。国民にどれだけ迷惑をかけているか自覚の無い政府と電力会社だが、まだ遅くない、この責任をとらなくてはならない。
接続保留問題の7,178万kwの認可案件の内92%が産業用であり、「出」の誘引は存在せず買取価格マークアップ自体の誘引のみで申請された。メガソーラーのような産業用の普及ならばFITのような回りくどいことをしなくとも国が税金でやれば済むが、個人住宅用は国でなく持ち主に購入し屋根に付けてもらわなくてはいけないので補助金やFITで誘うしかない。補助金のように費用の片側だけよりFITの収入費用両面の相乗的誘引が強力である。さらに住宅用の自家消費もする余剰売電を増やそうと自家消費を減らす努力を誘引し、省エネの一石二鳥もある。FITの達成しようとする再生可能エネルギー普及の本来の目的の一つのエネルギー自給率の向上という点で個人住宅用は究極の自給である。派生的にはエネルギー備蓄の機能も絶妙である。住宅用が飽和すれば最終エネルギー消費の14%を占める家庭用エネルギーの殆どが半永久的に備蓄されたも同じである。国がすれば誘引費用も無く済む事を、国民個人がわざわざ誘引費用を負担し、その個人が負担の目的の売電に関わらなければ、何の理由もなく個人から売電に関わった者に負担金が移転しているだけである。2015年2月現在、政府はエネルギー種別のコストを見直しているが、その中で太陽光のコストは賦課金を含めたコストにする方向である。賦課金を無意味うに使う上、原発よりはるかに高いエネルギーと悪者にするために利用する。原発が止められる願いで賦課金を負担し続ける国民に恩を仇で返すような仕打ちが平気で行われる。20年間続くので巨額である。ドイツも、以上述べた点を見落としたから失敗した。ドイツの約2割が野立てで残り8割が屋根設置型だが、この内、大半が商業施設、集合住宅、工場等の非住宅用であった。
原発や道路のように、サービスを提供する側が競争下になく、かつ事業目的に全体統制が必要な事業は民営にしてはいけない。郵政は国家意思を反映の必要が無くなっただけである。国家意思を反映する再生エネルギー電気の普及もそうである。ただ住宅用太陽光は、住宅の屋根に付けるのは個人だから国が直接できないからFITを導入し個人需要家の投資を誘引しただけである。石油備蓄も同じ理由で民営にすべきでなかった。国家資本と運営で設立以来やられていたものを民営化礼賛で2003年に当時の石油会社八社に民営化した。しかし国家の明確な意志を運営に打ち出す事の方が大事なのである。名ばかりの競争購買をするより国の意思表示で済むのである。3.11で現地への車両燃料油補給に関し石油会社がばらばらに行動して失敗した事実を見ても、石油備蓄は国営に戻すか一社に統合する必要があろう。石油備蓄の敷地は今でも国所有なので余裕スペースに余剰売電の国営太陽光発電を設置すれば、国民負担の無い再エネ普及に寄与すると同時に(能力kw x 稼働率12.6%)の発電量に相当する原油備蓄に代替する。送電網も同様に電力自由化の基盤になるように全体統制が不可欠である。
また、主に海外メーカーのパネルが使われる産業用と主に国内メーカーのものが使われる住宅用で太陽光パネルの二重価格の綾が固定価格買取制度を機能不全にした。設備費は国内メーカーは1kw当たり40万円に対し海外メーカーは30万円以下である。産業用が安いのは一システムの規模のメリットと、海外モジュール即ちパネル自体の価格が安いことが大きい。因みにコスト等検討委員会は、2010年時点国際的システム価格14.8万円/1kw(欧州太陽電池工業会調べ)に2030年に収斂するとしている。システム価格の殆どを占めるモジュールは海外メーカーが産業用、国内メーカーが住宅用に主に使用される。海外メーカーのモジュールは市場規模からも量産、学習効果は及びにくい。多結晶が主で量産の効く海外メーカーのパネルが多く使われる産業用は、FITで量産、学習効果を待つまでもなく既に低コストである。本来時間をかけ費用の下がりに応じ低減していく買取マークアップがまだ高い段階で、しかも住宅用に比べ少し甘い価格で、正味で即差益即ち収入増となる誘引が屋上屋に作用した。7,178万kwhの殆どが、2013年度の36円/kwhの買取価格の権利を得ようと駆け込みで国に認可された産業用である。営利を目的にした企業や外国資本が、全量買取制度が施行された2012年7月からほぼ1年ほどの内にこの極端なメリットに気付き2013年度買取価格適用期限とされた2014年2月末の通産省への申請に間に合わせたということである。因みに2014年2月770万kw、3月2,650kwの認定ラッシュが発生した。普及という目的に大きく近づいた結果は同じだが、固定価格買取制度が機能したからではなかった。固定価格買取制度が無意味になって何が違うかというと、二つある。一つは個人がする主に住宅用の普及を阻害し負担者と売電者の乖離を招いた。制度の高い買取価格をつまみ食いしたのは制度の費用負担者ではない企業や外国資本だった。二つは国内メーカーを毀損したということである。制度の誘引アルゴリズムによりコスト競争力を付ける猶予を与えることなく海外メーカーに日本市場を一気に蹂躙させた。国内太陽光産業の競争力強化に繋がらないどころか痛めた。ドイツでも生産量世界トップだったドイツのQセルズはアジアメーカーの安値攻勢に破れ台湾のハンファに買収され、今はハンファQセルズという製品名で販売されている。固定価格買取制度はオープンならば海外の安い製品にその機能を破壊されるのである。パナソニック、シャープに代表される日本メーカーは、個人が住宅用に日本メーカーのものをほぼ9割に上るほど採用したから、社内太陽光部門はQセルズのようにならないまでも、2014年第一四半期世界一の出荷量だったシャープでさえ太陽電池部門は2014年度決算で60億程の赤字となり自社生産販売から撤退を検討している。会社は台湾企業の出資を仰ごうとしている。メガソーラーのような産業用ならば固定価格買取制度に依らなくとも国がやれば済んだ。買取マークアップの無い正味のコストで、企業も外国資本も漏れず皆なが公平に負担する税金を原資とできる。後述するが太陽光の正味の発電コストは電気代の四分の三なのである。そして、国でやれば国内メーカーのパネル等設備を使うことができる。学習、量産によるパネル価格低下効果をピンポイントに国内メーカーに及ぼし、原発輸出に代替できる世界での競争力を付与することができた。産業用は国策に転換し、住宅用に舵を切り直そう。

住宅用太陽光発電の普及飽和を目指し、その発電量で原発を代替する。

012年5月総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が出した2030年の電源構成で再生可能エネルギー30%のケースをとると、総発電量1兆kwhの内、太陽光発電6%で600億kwh、原発15%(注1)で1,500億kwhである。住宅用太陽光を飽和させると2030年の総電力量の原発の割合15%を代替できる量に適う。産業用と国策で太陽光の6%を確保し(注2)、住宅用太陽光で原発の15%を代替する(注3)。認可済みの産業用については、今からでも賦課金負担を少しでも縮小する施策を早急に打っていく。未設置で少しでも甘いものの認定取消し、認可から接続時点へ変更した固定買取価格適用基準の2013、4年度認可分への遡及適用する。それ以後の分を平準化しながら国策への振り替える。未設置の発電所は将来の設置時点の更に低価格の設備を購入できるのだから、2015年度以降の30円以下の買取価格でも十分採算は立つからである。
太陽光の不安定性の欠点は原発と比較する限り無視してよい。なぜなら原発は昼夜一定出力しか保てないため、需要の無い夜も昼と同じ量を発電し続けなければならないという、供給過多が昼か夜かの違いで太陽光と同じ欠点持っているからである。昼さらには好天で空調電力需要に応える太陽光の優位性を言わないで、不安定性の弊のみを論うのは片手落ちなのだ。原発の太陽光は火力発電の緩衝で昼のピーク需要を調整し、原発は40円/kwh以上のコストの揚水発電を夜の蓄電に用いている。確かに太陽光の日照の程度による変動は原発には無いが、火力の機動的柔軟性と容量で解消できる。容量を確保しなくてはならない点は、昼間のピーク需要を満たす太陽光のメリットが補って余りある。送電網容量の問題は、認可分の発電開始を平準化し漸次、拡充すると同時に送電負荷の小さい住宅用の普及にシフトすることで解決できる。結局、何を調整電源に組むかというエネルギーミックスの問題であり、更には原発が再生可能エネルギーの調整電源の火力のキャパシティーを喰うという点で、原発と再生エネルギーが、トレードオフの関係にあり二重にエネルギーミックスのペアで二者択一の問題となる。また、送電網を喰うという点でもトレードオフであるが、原発の方が圧倒的に多く喰う。尚、原発のベースロード、太陽光のピーク電源という意味は両者共にこれでなければということではない。調整電源として、水力発電でも揚水というコストの高い電源を調整のためだけに持ち込むよりも主要電源の火力の方が明らかに有利である。共に目的にしている環境問題では、事故の環境破壊を置いといても、海水の温度上昇を招く原発のクリーンは嘘である。原発と再生可能エネルギーは共存できない二者択一なのである。政府はこの点を隠し、或いは認めず両者の共存を安易に考えている。再生可能エネルギーの普及策がちぐはぐにしか実行できないのはこのためである。太陽光の接続保留や受入れ制限が取り沙汰されている今こそ太陽光を択ぶために、きっぱり原発を捨てる決断が必要である。折しも、サウジの増産により原油価格の下落が続いており、調整電源の石油火力は今までが高すぎたことが分かってきた。
(注1)2030年の原子力発電比率ケース
   (長期エネルギー需給見通し委員会資料から)
  ・再稼働無し                     0%
  ・運転期間40年を守る場合 
     廃炉決定済みの炉を除く43基稼働       12%
     上に加え炉3基(大間、島根3、東通)が稼働  15%
  ・運転期間60年に延長の場合 
     廃炉決定済みの炉を除く43基稼働         22%    
     上に加え炉3基(大間、島根3、東通)が稼働  25%
(注2)20146月時点認可太陽光7,178kwhの厳選実施と国策
           で行う。
    7,178kw x 365 x 24時間 x 12.6%(稼働率)
            =792kwh
    1kw当たり年間発電量:1,100kwh
            稼働率:1,100kwh / (1kw x 365days x 24h)
            =12.6%
(注3)住宅用太陽光の飽和で、1,545kwhの発電量となる。
    平均導入量は一戸当たり4kw
    全世帯数5,000万の内、戸建て3,000万戸、集合2,000万戸
    4kw x 3,000万戸 x 365 x 24時間 x 12.6 
            = 1,325kwh
    集合住宅の陸屋根の1戸当たり建坪は平均4階建てで戸建て
            の1/4。   
    4kw x 1/4 x ,000万戸 x 365 x 24時間 x 12.6% 
            =220kwh
    220kwh+1,325kwh=1,545億kwh

個人需要家が自分の家の屋根に太陽光発電を付けようとする意欲が大事にされないから、賦課金負担者と買取価格享受者の乖離を招きFITは失敗した。住宅用設置の意欲を阻害している要因を取り除けばまだ、回復できる。意欲を阻害している理由を一言で言えば個人の「安心感の欠如」と付けても「どうせ原発廃止に繋がらないという落胆」である。
両方の誘引の相乗を予定し当初はその通り進んだから国民にスムーズに受け入れられた。その証拠に1993年に太陽光発電が世に出てから2012年7月の全量買取の再エネ特措法が施行される前までは住宅用が85%を占めていた。固定価格による買取制度が2009年11月に始まり、2011年4月から電力会社が太陽光発電促進賦課金の徴収を始めた頃は住宅用が殆どだった。2006年から2008年の中断を除いて1994年から始まった補助金は住宅用だけで産業用にはない。賦課金は3.11の後、大飯原発を再稼働させるかどうか、させなければ原発全停止に至り電気が足りなくなると言われていた危機感と、国民の自分たちが原発停止による電力不足を救おう、負担もしようという気持ちが有って受け入れられた。FITはその時の国民の気持ちは間違いなく原発停止による電力不足を補えるからということだった、いつの間にか温暖化防止にすり替えられた。賦課金を負担している個人の住宅用の普及こそ、この制度の鍵なのである。そうして初めて、賦課金を負担する一人一人が本人あるいは近所の同胞が買取価格の優遇を受け、喜んで負担しようという気持ちになるのである。さらに、2009年11月の固定価格買取が始まった時から、住宅に設置した個人が余剰売電を少しでも増やそうと発電量の約4割を占める自家消費を減らすインセンティブは制度に予め仕組まれていた。二つの誘引の一つの帰結として創エネだけでなく省エネを仕組んだ制度なのである。
次に、固定価格買取制度が量産、学習効果によりコスト低下を図るパネルは日本のメーカーのものでなければならない。量産、学習効果が海外のメーカーに及ぶのが難しいことは自明である。一国の閉じた中で制度運用できないとしたら、国内メーカーの小さく軽いパネルをスペース等の制約から選択する個人の住宅用の普及こそ、この制度の鍵なのである。前述したように、個人が住宅用で国内メーカーを採用したからこそ、国内メーカーは何とかドイツのQセルズのようにならずに持ちこたえている。国内メーカーは太陽光発電を輸出し、原発輸出によらなくとも新興国の電力基盤整備の支援ができるだけの競争力を付けることが出来る。住宅用の自給は個人が行う究極の自給である。非常時には自立運転に切り換え発電全量自給に回せて、平時においても自給は約4割に達し、その分余剰売電量は減り送電網の負担は減り、また分散エネルギーのため電力会社の送電網への影響が軽微なのである。冒頭述べた接続保留問題は緩和される接続保留、変動電源の問題は海外特にドイツやスペインの高い太陽光発電比率からみれば、力仕事で解決できるものである。
認可量の急増した産業用に比べ住宅用は固定価格買取制度の誘引の仕組みに則り時間をかけながら普及の途上である。産業用が、FIT本源の力が住宅用に働いている粛々とした普及の進行を撹乱してはいけない。今からでもまだ間に合う。ドイツのように太陽光発電はドイツ環境政策の歴史の中で最も高価な誤りになりうると批判される前に気付こう。環境政策賦課金がFITに無縁に単に個人需要家から営利の企業家や外国資本に移転するだけの、FITに無縁に国でやった方が良かった産業用のこれ以上の申請は中断し、既に認可された7,178万kwを厳選して送電網の拡充の進捗に応じた漸次な系統連携に止め、住宅用太陽光の普及飽和に向けてFITの舵を切り戻す。電力会社は企業や外国資本に買取価格を享受されるのは平気だが、他の電力会社の管内の住民に享受されるのは嫌う。あべこべである。我々、個人需要家は自分でなくとも周囲の同胞や日本国民個人が享受してくれるならそれでよいと思う。自家消費を節電し頑張ってくれているとも思う。せいぜい個人が行うプチソーラー(50kw未満,低圧)までであれば。しかし、営利目的の企業や外国資本では堪らない。また原発輸出の代替もできるほどに国内メーカーの強化に繋がらないのでは、今後20年間、賦課金を払う時の無力感は想像するのも憚られる。企業や外国資本からの不満に対する政府の説明は、「産業用のこれ以上はFITの目指す方向ではない。国民に許されないので申請中断を了解してほしい」で済む。固定価格買取制度は、設置される太陽光発電所も賦課金負担も売電による買取価格の享受も、三つともに「分散型」である制度なのだ。

2009年11月に住宅用太陽光発電を対象に余剰電力買取制度を導入した目的は「低炭素化社会の実現を国民全員参加で行う」というものである。2012年7月から再生エネルギーの導入拡大を目的にした本格的な全量買取制度(再エネ特措法)が導入され、これに制度として吸収された。前者は太陽光促進賦課金であり2014年10月から後者の再生エネ促進賦課金に一本化されたがいずれも個人需要家が負担する。
新制度に吸収されても太陽光については低炭素化社会の実現を国民全員参加で行うことは生きている。制度の導入がスムーズに運んだ背景には2011年3月の福島事故をはさみ、原発の負荷を少しでも緩められるなら太陽光で自給して賦課金負担もしよう、再生エネルギーがどこまで原発代替できるかやってみようとする国民の了解があった。単に再生可能エネルギーの拡大がなればよいというものでなく、原発に頼らない「低炭素化」であり、「国民全員参加」は太陽光に関しては、賦課金負担者の国民が買取価格の優遇を受ける発電者になれる限りはなろうというものだった。余剰電力買取制度の3年弱の間、個人、即ち住宅用の普及は道半ばで、全量買取で経済性を敏感に察知した事業体や外国資本による産業用設置が急増し送電網容量不足から保留措置もとられるようになった。住宅用の普及はまだまだ途上である。送電網が産業用に占められて、住宅用の今後の普及にまで支障をきたすようなことがあってはならない。電力会社は送電網容量と出力安定化の電源の拡充で受入拒否と抑制を回避してほしい。同時に政府や電力会社からの、個人に産業用に負けず設置するよう働きかけが、なされねばならない。住宅用は固定買取価格の受益者と負担者の一致も叶い、自給を含む余剰売電で送電網への影響が小さく、更に安全保障上の決定的優位をはじめ住宅用の醍醐味として前に列挙したとおり、国民経済的に最も優れているからだ。住宅用が普及し切らない理由は、個人が発電量、耐用年数、設置工事の確かさ等に関する不安が、買取価格を提示されるだけでは拭えないからである。個人が誘引されるには安心感が不可欠である。買取価格は少し殺伐として、補助金の方が政府が出すということで安心感を与える。産業用より情報の非対称性の影響が大きく不安にかられ足踏みすることが多い。メーカーの出力保証は公称能力からの乖離を補うもので売電収入と直結した発電量の保証ではない。原発の稼働もさせたい政府と電力会社は、福島事故後も今に至るまで固定価格買取制度の仕組みだけ与えて住宅用の普及に及び腰が続いている。まだ遅くはない。政府が住宅用の国民経済的優位性を国民に知らしめ本腰を入れて後押しすべきである。政府がメーカー、業者の保証の上に発電量、耐用年数、工事の質を保証するのだ。この保証は、個人の杞憂を取り払い買取価格の保証と並ぶくらいの効果があろう。しかも太陽光発電の寿命の考察で述べた通り太陽光モジュールの現在の品質の高さによって政府のお墨付きの付与と工事業者の牽制だけで殆ど済むだろうから、軽微な財政負担で済む。
普及は畢竟は国民の厚生、効用につながるが、普及が目的だけでは賦課金を最終需要家に負担させる根拠と意義として弱い。企業や外国資本に劣らず最終需要家に固定買取価格の受益者、即ち分散型エネルギーの発電者になるインセンティブを確実に与えてこそ優れた制度設計と言える。況や、企業や外国資本が自分たちが負担しない賦課金による固定買取価格を享受することは、原資が企業も外国資本も負担する税金である補助金を住宅用だけに付けることと、バランスしていたが平成26年度から国の補助金は撤廃された。住宅用の買取期間が10年のままで産業用の20年に取り残されていることは特に受け入れ制約問題が明らかになって、賦課金負担者が誰かを忘れた本末転倒の政策といえよう。住宅用は送電網の影響が軽微である。利益を目的とした産業用と一律に住宅用まで抑制の対象にしてはいけない。最小限の住宅用買取価格の改訂、政策投資銀行の1%台低利の住宅用融資、耐震補強と屋根設置工事との融合、様々な屋根に設置できるよう取付け技術の向上等も国が本腰を入れて検討すべきである。



産業用(10kw以上)も固定価格による全量買取制度が2012年7月に始まった(再エネ特措法)。固定買取価格はシステム価格の下落に応じて下がるが、産業用については、再エネ特措法施行後3年間(2012~2014年度)は例外的に利潤に配慮しており設備投資の内部利益率(IRR)を1~2%上乗せ(結果 税引き前7~8%)している。2015年度からこれがなくなり相当程度減額されると予測される。
尚、2014年度の住宅用屋根は国の補助金が廃止になったこともあり固定買取価格が37円と前年から1円減少にとどまった。当該年度の買取価格の適用時は、これまでの資源エネ庁設備認定・電力会社接続申込時でなく2015年度から電力会社との接続契約時に変更になった。切れ目の最終年度2014年度は2ヶ月間の資源エネ庁の認定作業のため設備申請を1月30日までに資源エネ庁にする必要がある。電力会社との契約済みの既存設備の出力増加所謂、増設の場合の増設部分について、従来は何時増設しても当初設備の買取価格が適用されたが、住宅用10kw未満を除いて2015年度から資源エネ庁設備認定時の買取価格が適用される。切れ目の2014年度は3月31日までに変更申請をする必要がある。出力制御について2015年度以降接続分から拡大されるので、電力会社及びシステム出力によっては設備認定・接続申込みを3月31日までにする必要がある。
個人が屋根上と庭の両方で新設或いは増設で10kw以上を確保し産業用で余剰売電で20年間買取を受けることも推奨される。産業用の回収が早い理由は、モジュール一枚の価格が安いことに加えシステムの規模が住宅用より大きいので工事費まで含めたシステム価格が安くなるためである。野立てが主体であり、スペースや重量の制約が住宅の屋根ほど無いことから、パネルは少し大きいが量産が適う多結晶を中心に生産単価を下げている海外メーカーのモジュールを使用できる。自家消費がなく全て売電にまわせる。20年という固定買取期間であること等が上げられる。





             
     

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