2025年9月16日火曜日

第17波 一斉行動の報告

 題記につき、下記の通り、看板を掲げ、その文言を多くの人達た読んで貰う行動をしてきたので、下記の通り報告します。



 記


1. 東海村東口 イオン駐車上前 

9月6日(土) 10時半から13時半


看板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている。/東京に一番近い原発。/東海村は原子力のメッカ。」

「原発は自国に向けた核弾頭」


原発が、いつまでも、事故災害、自然災害による被害や避難だけの想定でいいのでしょうか。

日は村長選挙投票日です。



2. 水戸駅西口

9月6日(土)15時から16時半


板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている。/東京に一番近い原発。/東海村は原子力のメッカ。」

「原発は自国に向けた核弾頭」




3. 横浜駅西口

9月7日(日)14時から17時


看板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている。/東京に一番近い原発。/東海村は原子力のメッカ。」

「原発は自国に向けた核弾頭」


この日、国民民主党の玉木代表の演説会が横浜駅西口で行われており、看板が報道陣の目にも止まり数人がカメラに収めてくれました。

看板の文言は、参院選で完全に忘れ去られたイシューです。エネルギー基本計画等、原発問題を議論しなければならない時でした。

原発村と玉木代表らに、ばらまきイシューにより隠されてしまいました。



4. 東京電力正門前

9月9日(火)8時から9時半


板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている。/東京に一番近い原発。/柏崎刈羽も同じ。」

「原発は自国に向けた核弾頭」



5. 資源エネルギー庁正門前

9月9日(火)10時半から13時半


板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている/東京に一番近い原発。/柏崎刈羽も同じ」

「原発は自国に向けた核弾頭」


 原発は自国に向けた核弾頭。この危険を無視して、国民、国土を危険に晒しても原発回帰しようとするのは、狂気です。

資源エネルギー庁は、戦争や有事の雰囲気を原発回帰するために利用するばかりで、国民の前ではこの危険に触れません。

万が一、彼らが生きている内に、そのような事態になっても、責任を取らないことは明白です。

如何に、お花畑で危なっかしい官僚組織か分かります。



6. 日本原電本社前

9月9日(火)15時半から17時45分


板の文言:「東海第二原発は、有事の際、ロシアのミサイル攻撃の第一標的になっている/東京に一番近い原発。/柏崎刈羽も同じ。」

「原発は自国に向けた核弾頭」


2025年7月15日火曜日

特重施設が有ろうが無かろうが、6号機も7号機も再稼働してはならないが、規制される側も規制する側も特重施設の無い危険を顧みることなく前のめりな、ただ、再稼働することだけが目的の、柏崎刈羽原発6号機の再稼働を許してはいけない。

 今、東京電力は、特重施設の完成が大幅に遅れ長期停止に入る柏崎刈羽原発7号機の代わりに、6号機を再稼働し4年間運転しようとしている。しかし、ここで気を付けなくてはいけないことは、6号機も、特重施設の無い4年間の運転だということだ。6号機は、7号機と同時に、特重施設の規制が盛り込まれた新規制基準が施行された2013年の9月に、再稼働審査の申請をし、2017年12月に「原子炉設置変更許可」を受けた。つまり、再稼働の規制委審査を合格し、7号機とともに再稼働を目指してきた。その6号機が、何故今頃、特重施設完成の5年間の猶予期間を享受できるのだろうか。

 この5年間の猶予期間の起算時は、同時に、「原子炉設置変更許可」、「設計及び工事計画認可」及び「保安規定変更認可」の三つの申請を提出し、「原子炉設置変更許可」を受けた後「設計及び工事計画認可」を受けた時である。「設計及び工事計画認可」は、最初の申請に加え、工事計画の補正を後から提出、申請して規制委員会に審査され初めて認可を受ける。この「補正書」の提出時期を規制される側の随意で遅らすことにより、原子炉設置変更許可と設計及び工事計画認可の間隔を開けることが出来る。

 7号機は、2017年「原子炉設置変更許可」を受けてすぐの2018年12月に「補正書」を出して2020年10月に「設計及び工事計画認可」を受け、5年の猶予期間が開始した。6号機は、7号機よりも約5年も後の2023年9月に「補正書」を出して、2024年9月に「設計及び工事計画認可」を受け、5年の猶予期間が始まってまだ1年も経たない。6号機が「補正書」を出したのは、何故、この時期か。2023年9月は、7号機が特重施設の設置期限2025年10月に間に合わないことが報道される少し前だ。

 7号機の特重施設の完成が大きく遅れることが分かり、6号機とのリレー運転を目論み、それに沿うように6号機の「設計及び工事計画認可」を受けたわけである。規制委員会は、東京電力がそうすることを許した。東京電力と、ともに画策したのかもしれない。

 特重施設が有ろうが無かろうが、6号機も7号機も再稼働してはならないが、規制される側も規制する側も特重施設の無い危険を顧みる余裕も無いほど前のめりな、盲目的に、ただ、再稼働することだけが目的の、柏崎刈羽原発6号機の再稼働を許してはいけない。

 





2024年11月28日木曜日

「ウラン濃縮を自由に行う権利を放棄出来ないから核燃サイクルをやめられず、だから、原発がやめられない、原発回帰する」と、元資源エネルギー庁長官が発言しました。

 エネルギー基本計画の改訂に向けた議論が大詰めを迎えて、 朝日新聞が、第5次エネルギー基本計画(2018年)策定の時の資源エネルギー庁長官にインタビューしたものです。11月28日の朝刊です。

 元資源エネルギー庁長官は、「原発をやめることは核燃サイクル、再処理をやめること」と言い、これはその通りでしょうが、さらに、「日米原子力協定で、日本はウラン濃縮を自主的に行う特別な権利を、再処理をすることを条件として得ている。」と言い、だから、「原発をやめることは、そのウラン濃縮を行う権利を放棄することになる。」と言っています。「ウラン濃縮の権利を放棄することは、日米同盟をどうするのかという議論にもなる。」と言っています。また、「再処理施設があり、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を置いた青森県にも説明が出来ない」と言っています。

 以上を「本質的な議論」と、元資源エネルギー庁長官は言い、「東京電力福島第一原発事故後、こうした本質的議論を尽くした上で、民主党の原発を限りなくゼロにしたいと言う方針を目標にとどめた」と言います。そして、第4次エネルギー基本計画(2014年)に盛り込まれ、第5次、第6次でも維持されている「原発依存度を可能な限り低減」という文言の「見直し」は、常に考え続けるべき論点であり、議論すべき時期を見極めることが大事だと言います。 締めくくりは、今、審議している第7次エネルギー基本計画において、三つのことが、焦点になるだろうと挙げています。一つは、 脱炭素シナリオとその電源の確保、二つは電力需要増加への対応、三つには、エネルギー自給です。

 元長官は、「核保有に繋げるウラン濃縮を自由に行う権利を放棄しないために、核燃サイクルをやめられず原発もやめられない」と言っています。しかし、これは違反です。元資源エネルギー庁長官とは言え、第5次エネルギー基本計画の策定を担当した責任者が、「S+3E」(注1)以外のことによって、今、審議中のエネルギー基本計画の方向を決する最重要な文言の見直しをサポート(注2)しているからです。審議会の終盤で資源エネ庁が提示する事務局案に対して、各委員が意見を述べ最終案が決められますが、事務局案は「S+3E」よりも、核保有目的から出来ているということなりなります。審議の中の原発推進の理由である脱炭素のため、AI需要増のためということを自ら否定しています。第7次エネルギー基本計画を、自分達が主導し何の議論も無かったGX脱炭素電源法(注3)に整合させる難しさに直面し。エネルギー基本計画をも、審議の有名無実化を計るものです。

 資源エネルギー庁は、原発の再稼働に躍起で、太陽光発電の普及は上の空なばかりか、太陽光発電を貶めることにより原発を浮上させることをやっています。何が、脱炭素電源でしょうか。このことや、上記の資源エネルギー庁元長官の発言を見れば、温暖化対策やAI需要が単に借り物だということが分かります。太陽光発電は脱炭素のために増やすのではありません。3.11後、FITを始めた時と同じように、原発を止めるために増やすのです。

 原発が脱炭素に役立とうがたつまいが、CO2温暖化説が正しかろうが、正しくなかろうが、放射能はCO2より悪いことは確かなので、まず、原発をやめなくてはいけません。太陽光発電はエネルギー自給率の向上、コスト低下、家庭での自給等、原発電気を避けるため、3.11直後の原発電気に代わるものとして、普及させるのであり、けっして、脱炭素のためっではありません。

 太陽光発電の、FITの当初の買取価格を冗長に決め、賦課金の負担を重くしたが、その後、数年で修正されており、その後の設置される太陽光発電には、これに起因する賦課金の負担は無い。買取期間があるので、10年から20年続くが、これは埋没コストである。この負担が、世の中でその後の普及にブレーキになるように言われるにまかせている。 これに起因する冗長な賦課金は発電者に帰属した。大事なことは、いつでもの賦課金から買い取る大手電力会社は賦課金から余録を享受している。これを原発の維持費に流用してきた。固定買取価格の低下が下がるとともに、この余録が少なくなり資金繰り上、原発を稼働しない東京電力は困窮している。

 このこともあり、FITの原理を、今、原発にも応用しようとしている、脱炭素、AI需要のために。 太陽光発電は原発をやめるためだったことを忘れてはならない。

今度の参院選で、国民の暮らしに関わる給付金とか、減税。が論点になったが、電気料金は一切、上らなかった。電力会社と経済産業省に、うまくやられた。マスコミも隠蔽した。エネルギー基本計画の議論が何も無かった。

 優先順位を原発の下位に置いて、燃料はいらず放っておいても発電するほど安い太陽光電気を抑制し捨てています。原発の夜に余る電気は低料金を設定し、昼の需要を夜にシフトする需要調整をしています。賦課金を課して発電した電気を捨てて、資源エネルギー庁の国民に対する裏切りです。賦課金の内、資本費が殆どの太陽光発電の耐用年数を適当に短く見積もるなどして賦課金の国民負担は、お構いなく高コストを演出してきました。こうして、大半の、当初5年間ぐらいに発生した、恣意的或いは冗長な賦課金が埋没コストであるにも拘らず、その後に設備化され発生する賦課金もそうであるかのように、世の中が太陽光発電は高くかかると思うにまかせています。否、誘導しています。

 地産地消の太陽光発電の電気を、回避可能費用と言って卸市場価格で買い取り、託送コストを乗せて販売しています。その分、増える賦課金を、太陽光発電のコストのように言いながら、停止中の原発維持費に流用しています。

 FITは、太陽光発電のコストがいくら下がっても、発電者の投資意欲を増すことはありません。売上もコストベースの固定買取価格だからです。回避可能費用が固定買取価格を逆転する場合は、取り過ぎた賦課金が電気消費者に還されます。FIPは、固定買取価格を、通常それより安い卸市場価格に変えるだけです。このため、太陽光発電の普及が、今、止まりつつあります。  

 地産地消の太陽光電気を、そのまま地消することが肝です。安さが、そのまま生かされます。昼の日照時の需要が自動的に増えます。近時、地産地消通り消費すれば、10円/kwh以下で消費出来ます。自家消費やPPA、を増やしていけます。中でも、電気自動車へ太陽光発電所から直接給電すれば、燃費(電費)はガソリン車の8分の1ですし、全国の電気自動車のバッテリーが大きな蓄電池になり、太陽光発電の変動性を吸収するよう電気自動車へ給電されます。大事なことは、過去に発生した賦課金は埋没コストです。賦課金の発生時がどうかが大事です。

 抑制があるから、太陽光発電をもう増やせないということではありません。抑制する時間帯は一時で、そのほかの時間帯の発電が大きいからです。また、抑制される電気を生かし使おうとするところに、デマンドレスポンスの進展や蓄電技術の発展が進みます。

 技術力、生産量ともに世界トップだった国内メーカーを守らず、太陽光発電パネルの国産化に失敗しました。FITの量産効果が及んだのは中国パネルでした。環境を破壊するメガソーラーの設置場所の統制を欠いてきました。中国資本の太陽光発電設備が増えるに任せています。

 上に述べたようなことをして、資源エネルギー庁は、相互排他的関係にある太陽光発電をあらゆる局面で難を付けて増加を妨害し、相互排他的な関係にある原発をサポートしているのです。

 元長官が締めくくりに挙げた三つの焦点には、「S+3E」のうち、安全性(S)と経済効率性(E)の観点が有りません。安全性の「S」は他の「E」とは別格の大前提です。ましてや、福島第一原発事故の現状を見て、安全でない原発は自然を毀損し滅失し続けるという点で、「S」は、一つの 「E」の「環境適合」を包含します。 RE100では、再起性の無いエネルギーは排除されます。再起性とは、コストが安く再び設備化し持続するエネルギーという経済効率性(E)の観点です。明らかに原発は排除されます。CO2温暖化説が定かなものだとしても、原発の環境破壊の方が桁違いに大きい問題です。2050年カーボンニュートラルを、どうするということよりも、今も、福島第一原発事故の、かくも未曾有の惨禍・被害があらわれ続け苦しんでおり、狭い地震国の海岸に54基もの原発を建ててしまい、もう一つ、このような事故を起こすことに日々、怯えていることを、世界に正直に正確に訴え、原発こそ見直さなければいけません。


(注1) 日本のエネルギー政策において、安全性(Safety)を大前提として、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時に達成することを原則としている。

(注2)ある意見や結論を支持、理由付けすること。

(注3)脱炭素社会実現の電気供給体制の確立を図るための、電気事業法等の一部を改正する法律。再エネ推進は電気事業法、再エネ特措法と原子力の活用は原子力基本法、炉規法、電気事業法、再処理法の束ね法案。原発回帰のための法律、40年ルールが骨抜きにされ、60年超運転も可能となる。


2023年12月16日土曜日

「脱炭素」に原発を使ってはいけない。それには、カーボンニュートラルを遅らせることだ。福島第一原発事故の被害の惨状を、隠さず正確に世界に訴えることだ。汚染水の海洋放出を中止して、その覚悟を世界に示すことだ。

◎ 原発の安全防護第5層の「避難」を原発のコストを立てずにしていることは、おかしいことだと思います。原発があるために、根っから悪い放射能をどこまで我慢、甘受するかという「規制基準」にすぎない「安全基準」の「がまん」を、原発のコストを立てないでしていることを、おかしなことだと思います。

◎「ドローバック」とは、辞書には「欠点、不利益、障害」とありますが、以下に、この言葉を使います。原発があり、原発を使う上で、人間の効用にネガティブ、マイナスなこと全てです。原発のコストが高くないと言うのは、このドローバックをコストとしてカウントしていないか、コストになるのを先送りしているだけのことです、次の三つのことが有る限り。

一つは「放射能の影響が隠されたり、未解明なこと」

二つは「廃炉を含め、核のゴミ処分が未知なこと」

三つは地震国の日本の「原発は必ず過酷事故を起こすこと」

 この三つのことに由来するドローバックは、金額で評価し切れるものでなく、金額で評価出来るものでさえ、それが近付き、あらわれ、分かってくるにつれて、コストと電気料金は上昇の一途をたどります。

◎ そして今、その上昇する前のコストの内、止めている原発を動かした場合に増加するコストだけを原発のコストのように、消費者を錯覚もしくは印象操作しつつ、「原発は安い」、「再稼働すれば、電力会社は値上げしなくてよい」、或いは「値下げ出来る」と、原発再稼働のキャンペーンをしているわけです。原発は止まっている時も冷却を要すために掛かる膨大な維持費が、まるで無いかのように。

◎ 福島第一原発事故で停止した原発の膨大な維持費が、事故以来、目立たず問題にならなかった「からくり」を少し説明します。大手電力会社は、固定価格買取制度のもと、太陽光発電設置者が分散電源である太陽光発電を電力系統に繋ぐだけで、その電気を7、8円/kwhの安い回避可能費用で仕入れ25〜30円の電気料金で消費者に売ることが出来ます。電力系統へ接続する費用は、太陽光発電設置者が負担し、太陽光電気の大半は地産地消のため、せいぜい、電力系統の末端の配電網を流れ近隣の負荷で使われているからです。長距離の送電を要す太陽光電気も、送電線容量は十分に余っているからです。送配電施設は、長年、電気料金を支払ってきた国民の資産です。

 この太陽光電気の売り上げと仕入れの差額が、停止原発の膨大な維持費に充当されてきました。それは、アンシラリーコスト(需給一致をとるための周波数調整にかかる費用)を除いて10兆円ぐらいです。これは、太陽光発電の価値、ひいては賦課金です。

◎ 上に述べた文中の「コスト」を「危険」の文字に置き換えてもう一度読んでみると、危険は、ひそみ続けて計り知れません。「危険」のあらわれた「事故被害」は隠されたり、放ったらかしにされています。多くの危険が、これから子孫に、あらわれるばかりです。だから、「脱炭素」に原発を使ってはいけません。2050年カーボンニュートラルだけが「脱炭素」ではありません。2050年カーボンニュートラルは、中国並みに10年或いは、それ以上、遅らせることです。危険は人間だけでなく生きとし生けるもの全てに及びます。地球も生きています。

◎ 福島第一原発事故で、かくも未曾有の惨禍・被害があらわれ続け苦しんでいること、狭い地震国の海岸に54基もの原発を建ててしまい、過酷事故を再び起こすことに日々、怯えていることを、隠さず正直に正確に世界に向けて訴えることです。汚染水の海洋放出を中止して、日本の改心の覚悟を世界に示すことです。

◎ 太陽光発電は、コストが安いこと、エネルギーの自立のため、電気自動車の電源としても、拡大が必要です。設置する場所は探し、工夫すればいっぱい有ります。

 原発を必要とする理由は、何もありません、やめなくてはいけません。




2023年9月25日月曜日

東京エリアの需給逼迫は今後ない。柏崎刈原発6、7号機と東海第二原発を再稼働する必要は何も無い。

題 ; 「東京エリアの需給逼迫は今後ない。柏崎刈原発6、7号機と東海第二原発を再稼働する必要は何も無い。政府は両原発の再稼働をしたいがゆえに、意図して、今夏の「東京エリア」の「電力供給予備率」を、安全予備率ぎりぎりの3%に捏造した。」        (上)

 10月2日の朝日新聞の読者欄で、「これまで電力逼迫が原子力発電が必要な理由に使われて来た。しかし、今夏がこんな猛暑でも大丈夫なら、原子力の必要性はあるのだろうか疑問だ。本当のことを知りたい。」という神奈川県70代男性の投稿を読んだ。

 政府の行う「電力需給見通し」において、10年に1回程度の厳気象における最大電力需要の想定値を「厳気象H1需要」という。これで供給量を除し「想定の電力供給予備率」(100%を超過した部分、以下、「予備率」という)を算定する。この予備率が、需要の短期的変動(1時間以内)に備えて安全予備率3%を下回らないよう管理している。「厳気象H1需要」は夏季は「猛暑H1需要」、冬季は「厳寒H1需要」という。

 今夏の予備率は、3月に、他の9電力エリアが十分、余裕がある中で、「東京エリアのみが3.0%で安全予備率ぎりぎりなので予断を許さない」として、予備率4%を目指し(東京エリアの予備率1%は60万kw)、追加供給力を公募した。5月には、火力発電1機の応募と一部電源の補修期間の延長との相殺で3.1%だった。今夏の「猛暑H1需要」は、前年の「猛暑H1需要」に比べ179万kwhもの過去、最大の上方修正が行なわれていた。

 「東京エリア」の夏季の最大需要の過去7年の実績は、2017年 5,380 万kwh、2018年 5,653万kwh、2019年 5,543万kwh、2020年 5,604万kwh、2021年 5,665万kwh、 2022年 5,930万kwh、2023年 5,525万kwh。

 同じく、「猛暑H1需要」は、2017年 5,550万kwh、 2018年 5,637万kwh、2019年 5,671万kwh、2020年 5,653万kwh、2021年 5,660万kwh 、2022年 5,752万kwh、2023年 5,931万kwh。

 前年(2022年)の夏季の最大需要実績は5,930万kwhで、最高気温は猛暑H1想定気温を下回ったにも拘らず「猛暑H1需要」を178万kwh、前年(2021年)の実績を265万kwhと大きく上回った。この高い前年実績を1万kwhだけ乗せ、増加要因の説明も曖昧なまま、今夏の「猛暑H1需要」に用いた。そして、今夏の結果は、史上最も猛暑に拘らず、最大需要は5,525万kwhとなり、想定の「猛暑H1需要」の5,931万kwhを406万kwh、大きく下回った。2018年から2021年の4年間の5,600万kwh前後の水準に戻った。節電要請は出ていた。電力が余っている他の電力エリアからの電力融通は実施しなかった。

 次に、供給の方だが、3月の公募に応募落札した火力発電1機は、広野石油火力2号機60万kwだった。政府が隠して来た東京エリアの石油火力の1機だ。

 東電と中部電力の火力発電部門を統合したJERAの石油火力の全て15機、1,005万kwは、2020年4月までに長期計画停止に入り、その後、必要に応じ再稼働できるように維持管理を続けていたが、政府は全て無くなったものとして、ここ数年の需給逼迫時に際しても1機たりとも再稼働させなかった。この内、大井石油火力3機105万kwを2022年3月に、鹿島石油火力6機440万kwを2023年3月に廃止し、広野石油火力4機320万kwと、中部エリア(中部電力管内)の渥美石油火力2機、140万kwが残っていたが全て無いこととし、大手メディアにもそのように報道させていた。政府の原発推進計画に則ったものである。尚、このことについては、カーボンニュートラルや石油の高価格があっても、需給の必要を差し置いて石油火力を排斥してよいわけがない。カーボンニュートラルに従属する「需給」にすぎない「需給逼迫」を、全く別の大きな理由のように言うのは詐欺的である。何よりも悪いのは、太陽光発電の変動の調整力として必須の石油火力を排斥することは、太陽光発電の普及にストップをかける。

 広野石油火力2号機を募集した方法は、東電パワーグリッドが実施した「KW公募」だった。「KW公募」とは、翌日、需給逼迫が見込まれる場合のみ出力供出に備えておくというものだ。結果は、後述する太陽光発電の想定供給量を、待機するだけで増加するように働いたこの公募において非落札となった電源もあった。なのに敢えて、隠していた広野石油火力2号機を突然、使ったのは、安全予備率ぎりぎりの3%を公募後も変えないために、コントロールし易いので、背に腹は代えられなかったのだろう。

 

題 :「東京エリアの需給逼迫は今後ない。柏崎刈原発6、7号機と東海第二原発を再稼働する必要は何もない。政府は両原発の再稼働の邪魔になる「東京エリア」の13機有った石油火力を、一機を残し廃止した。太陽光発電は必要な時に発電し需給への貢献は大きい。 (下)

 そして、10月に、広野石油火力の残りの1号機(60万kw)と3号機(100万kw )、4号機(100万kw) を廃止した。廃止する直前に、JERAの石油火力は全て無くなったと、1年前の6月に報道させた朝日新聞に、「今夏は石油火力でカバーしたが、今後、高経年の石油火力は問題はある。」と報道させていた。廃止した広野石油火力の3号機、4号機の経年数は、稼働した2号機(43年)より若い、それぞれ34年、28年だ。

 GX推進法を強引に通し、女川原発2号機、島根原発2号機とともに、BWR原発再稼働の最初の関門である、東京電力の柏崎刈羽原発6,7号機と東海第二原発の再稼働を何としてでもしたい政府は、東京エリアの今夏の予備率を、意図して安全予備率ぎりぎりの3%に捏造した。予備率算定の分母は高い前年実績を当て込み、分子の供給力は隠していた広野石油火力2号機を帳尻合わせに公募した。そして、隠していた石油火力が供給力として公然となったからには両原発の再稼働の邪魔になる広野石油火力1号機と3号機、4号機、計260万kw、予備率にして4.3%を容量市場の道をも閉ざし廃止した。

「厳気象H1需要」や前年実績から実績が大きく下げたのは、前年の冬季(2023年1月)の実績5,179万kwhからだ。電気料金の値上げもあって、省エネと節電が構造的なものとして定着しつつある。10月(2023年)に発表された東京エリアの「今冬の需給見通し」(2024年1−3月)において、「厳寒H1需要」は、5,473万kwhで、前年(2023年1月)の「厳寒H1需要」を30万kwh上方修正し、前年実績(2023年1月)を何と294万kwhも上回る。広野石油火力2号機は稼働しない。予備率は4%以上となり、節電要請は出さないということだ。今までの需給逼迫も嘘であるが、今後、需給逼迫はもう無い。

 需給逼迫は今後、無いことを更に裏付けるために、太陽光発電が今夏の「東京エリア」の供給に果たした役割を以下に述べる。

 太陽光発電の予備率に算入する想定の発電量(以下、「想定供給量」という)は、電力広域的運営推進機関が、確率論的に計算した「火力等の安定電源代替価値」からエリア別、月別に毎時一定の係数を定め、設備能力に乗じて算定している。「東京エリア」の係数は、年間平均は10%で7月は23%だ。7月の「想定供給量」は414万kwh(1,800万kw x 0.23)だった。

 最大需要の時、7月18日の14時は、800万kwh発電した。同日の太陽光発電ピーク時(11時)の発電量は1,500万kwh(設備容量1,800万kwの約8割)だった。「想定供給量」を、最大需要時に386万kwh、太陽光ピーク時に1,086万kwh、上回った。太陽光発電の自家消費がピーク時に200万kwh有り、これが、供給量にも需要量にもカウントされず節電になっている。太陽光発電のピーク時の発電割合は、自家消費の節電分を含めて30%((1500+200)÷ (5,525+200))だった。

 太陽光発電の「想定供給量」を超える発電量は、揚水発電の汲み上げ、火力発電の出力低下で需給対応した。公募に落札した広野石油火力2号機は、その発電能力60万kw相当の、「想定供給量」を超える発電量を、燃料ミニマムで殆ど待機するだけで供給力として生かした。東京エリアの企業が持つ2,000万kwの自家発電を太陽光発電の調整に用いる政府からの要請は無かった。

 414万kwhの「想定供給量」が、天候が悪く減少したり無くなった時の逼迫の恐れに関しては、夏は、太陽光発電の出力が曇天や雨天で伸びない場合は気温もそれほど上がらず、電力需要も伸びない。つまり、太陽光発電の出力と電力需要の間には強い正の相関があり夏季は「想定供給量」の減少による逼迫の心配はない。冬季は、太陽光発電の出力と電力需要の間には負の相関がある。しかし、冬は夏の6割ぐらいしか発電しないことと、最大需要の時は曇天や雨天であることを織り込み、冬の「想定供給量」の係数は数%しかなく想定供給量の減少は、殆ど折り込みずみだ。「今冬の需給見通し」における「想定供給量」は、僅かに1月は59万kwh(1,800万kw の3.3%)、2月は9万kwh(1,800万kw の0.5%)だ。

 原発が夜も無駄に発電するのに対し太陽光発電は、電気の必要な時に発電し需給への貢献は大きい。太陽光発電をフルに生かし抑制を減らすことが重要になる。それには、一定発電しか出来ない原発を入れないことはもちろん、蓄電池の普及とデマンドレスポンス、の他に、電気自動車には太陽光電気を電力系統を介さず直接、給電することが肝要になる。

 電気は十分に足りている。原子力の必要性は無い。他の9電力エリアだけでなく、東京エリアも需給逼迫は今後ない柏崎刈羽原発6,7号機と東海第二原発を再稼働する必要は何も無い。















2023年9月10日日曜日

経産省が、汚染水について、「長期陸上保管は場所があれば出来て海洋放出に優る」という意味の発言をしました。


(上)                                  

 先月、7月6日、会津若松市で行われた汚染水に関する住民説明・意見交換会で、経産省が、「長期陸上保管は場所があれば出来て海洋放出に優る」という意味の発言をしました。

「陸上保管が何故出来ないか」というテーマで、質問者が次のように言いました。「場所さえ確保出来れば、長期陸上保管がベストだという思いは我々と同じですね」と。それに対し、経産省の木野参事官が「陸上保管が出来ればそれがいい。」と答えました。

 今まで、経産省は、タンク建設に3年かかるとか、浮き屋根から雨水が混入するとか些細な理由を付けて、長期陸上保管は出来ないとしてきました。それが、この回答は、「長期陸上保管は場所があれば出来て海洋放出に優る」と変わりました。

 6月に、中国から、汚染水を「安全無害というなら、何故、日本国内の湖に流さないのか」、フィジー国から「安全というなら何故、日本国内に留め置かないのか」と抗議が有りました。7月4日に出た、日本政府が頼りにしていたIAEA包括報告書では、「正当化」評価において海洋放出の全責任は日本政府に有るとされ、IAEA自らは責任回避されました。グロッシ会長が、この報告書の説明に韓国に行った時、一番怒られたことは、代替案を評価していないということでした。こうした海外の批判に経産省は追い込まれ、7月6日の会津若松市で行われた会で、陸上保管は、やりさえしたら出来て、海洋放出より良いと白状したのです。

 続いて、同じ質問者が長期陸上保管する場所として、福島第一原発に隣接する中間貯蔵施設が有ると言うと、木野参事官は、「双葉、大熊町の住民の心情を考えると、復興の妨げになるタンク建設は難しい。」と言いました。

 しかし、これは大きな間違いです。双葉、大熊町は、復興に希望が持てる状況ではないからです。


(下)

 双葉・大熊両町で3.11前、2万人近くいた人の帰還している人は、わずかに双葉町60人、大熊町426人です。100人のうち2、3人しか帰還していません。家、建物が有っても、夜、電気がついていないので人が住んでいないのが分かります。灯っている電気は街灯や道路灯ばかりです。帰還している人は高齢者ばかりで、この人達が亡くなった時、双葉、大熊町は無人化します。ばら撒かれた放射能を除染しても取り切れなくて、また、これからも核汚染を断ち切れない所に、故郷でも人間は還らないんです。原発事故で除染して戻るという処置は福島第一原発事故が初めてでした。(注1)。それは無理だと分かりました。双葉、大熊町だけでなく、強制避難した20km内の12市町村全体でも帰還率は約2割です。失敗です。ましてや、強制避難基準の20ミリシーベルトを帰還基準に当てています、

 もう元に戻ることのない故郷の土地が、これ以上、事故被害が漁業者に、全国、世界へ広がるのを食い止め、原発をやめることにも繋がる汚染水の長期陸上保管のために使われれば、双葉・大熊町民の本望ではないでしょうか。中間貯蔵施設(注2)は4300人を追い出し国が接収して、1600人の地権者と土地を売却した人々がいます。これらの人々は、除染土用に国に接収された段階で、そこに汚染水タンクが建とうが、トリチウムが減衰する期間の100年伸びようが、大した違いでなく、むしろ、同じ理由から、また、自らの意思で行えば、汚染水タンクが巨大な墓石にも似て亡くなられた人々の鎮魂の意味も持ち、本望ではないかと思います。

 食物連鎖による生物濃縮した魚介類を人間が連鎖の最後に加わり内部被曝し子々孫々に遺伝的障害を及ぼすから、汚染水を流してはいけません。領土的紛争を防ぐため、正々堂々と近隣諸国に対せなければなりません。海洋放出は、近隣諸国に喧嘩を売るようなことです。戦争に向かい易くなります。

 最後に、福島第一原発事故を小さく見せたい。廃炉の跡地を更地にし綺麗にし、事故の跡形を消したい、こうして、廃炉を難しくし、汚染水を出し続ける。汚染水を海洋放出することと福島第一原発を石棺にしないことと同じです。

(注1)スリーマイル島原発事故では、居住区域の強制避難も除染も無かった。チェルノブイリ原発事故では半径30キロ内の住民は強制退去し除染は無く今も無人のまま。

(注2)双葉町(面積5,142ha)と大熊町(面積7,871ha)の海岸部。福島第一原発を取り囲み、海岸と南北に通る国道6号の間の1,600haの土地。 福島県内の除染土と10万ベクレル以上の放射性廃棄物を持ち込み埋める。30年後(2045年)に移される県外の最終処分場の目処はついていない。      因みに、長期陸上保管に要する土地面積は70ha :   今後、1日70トンの汚染水が発生し続けるとした場合、2011年を起点に、トリチウム濃度が千分の一に減衰する期間の120年(半減期12年を10回)が、経過する間に発生する汚染水は410万トン、これを貯められる10万klタンク41基を建てられる土地面積。



2023年6月3日土曜日

女川原発2号機の運転差し止め訴訟判決は、政府や被告の範疇のことであり既に自明になっている「原発は過酷事故を起こす」ということを、今更、住民に立証責任を課す頓珍漢な判決です。GX脱炭素電源法が立証してくれているので、住民が立証する必要は有りません。


 女川原発2号機運転差し止め訴訟判決が、5月24日に却下されました。運転差し止め請求の理由は、避難計画の実効性が無いということです。仙台地裁は、原告が避難の前提となる過酷事故が起こることを立証していないという理由で、避難の実効性の有無に立ち入ることなく、差し止め請求を棄却しました。

 しかし、原発が過酷事故を起こすことは、福島第一原発事故を起こし安全神話から覚めて、自明となっています。そして、過酷事故の起こる頻度は、どのように原発を利用していくかということ、つまり、国の原子力政策に大きく従属します。「可能な限り原発依存度低減」という方針下にあっても、原発が動く限り、原子力災害対策特別措置法で過酷事故を前提として対策が講じられてきました。否、対策を強いてきました。また、エネルギー基本計画は、2,000炉年に1回(50機が40年寿命運転して1回)の過酷事故の発生確率で、1回の過酷事故の事故賠償費等の想定コスト15兆円で、計算した原発コストが他電源より安いということで、過酷事故を起こすという前提です。そして、この度、国の責務として原発を推進するという原子力利用の大転換の中で、政府は、原発は過酷事故を起こすことを法律に初めて明文化しました。

  仙台地裁判決から1週間後に国会可決されたGX脱炭素電源法の中で、原子力基本法に原発の基本方針の一つとして、その条文を追加しました(注)。政府は、福島第一原発のような事故を再び起こし、それでも原発を止めないで使い切っていくことを、国民に受け入れるように過酷事故があると条文に宣言したのです。原子炉等規制法と電気事業法を改定し、運転開始後40年を超えた稼働が普通になり、過酷事故の可能性は急激に増大します。


(注)原子力基本法 (基本方針)第2条第3項

 エネルギーとしての原子力利用は、国及び電気事業者が安全神話に陥り、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、これを行うものとする。