2022年6月9日木曜日

電気が不足するからといって、原発など再稼働する必要は全く無い。大量休止した石油火力発電を再稼働すれば済むことだ。

 6月8日(水)のNHK 朝イチおける、水野 唯氏による説明でも、6月9日(木)の朝日新聞 社説によっても、電気が不足する理由を、次のように説明している。太陽光発電が増加し、その変動調整のために火力の稼働率が低下し採算が悪化し止めたからだと。そう、確かに、東電と中部電力の火力発電部門を吸収統合したJERAは、15基、1,000万kw有った石油火力発電所を2020年4月までに全て休止した。原発10基分に相当し、いまだに1基も再稼働していない。再稼働したのはLNGの姉が崎火力だけだ。JERAは全ての石油火力発電を休止した理由を「太陽光発電に押されて石油火力発電の収益性が下がったから止めた」と説明している。「押されて」とは、稼働率低下と同様な意味だろう。太陽光発電のせいにされている。しかし、これら15基の石油火力発電所は減価償却年数の15年をとっくに経過し固定費は発生しない。従って、太陽光発電の変動を調整する電源の設備利用率(稼働率)低下にかかるコストは、ほぼゼロである。

 簡単に太陽光発電の調整コストについて説明したい。需給が一致して火力発電だけで電気供給している時、急に陽が照り出し太陽光発電の電気が加わったとしよう。それに合わせて火力発電は同量の電気を、燃料フィードを落として減らす。火力の電気は太陽光電気に置き換わり、その分、火力の燃料費、則ち変動費(=可変費)が無くなる。調整にかかるコストは燃料を減らした時の固定費だけだ。変動電源調整のための、火力発電の設備利用率(稼働率)低下のコストと言われるものだ。調整火力電源の、それ以外の固定費と可変費は、元々の火力発電自体のコストであり、太陽光発電とは無関係だ。太陽光発電の調整に掛かるコストは、大きくは火力発電の固定費だけである。この固定費の一部が回収出来なくなるコストが稼働率の低下するコストである。

減価償却を終わり、殆ど固定費の発生しない高経年の石油火力発電所なので、可変費は前述の通り掛らないので、殆ど只で太陽光発電の調整に石油火力発電を使える。

石油火力を休止した理由は、太陽光発電の導入を難しくするためと、原発再稼働必要論醸成のためである。原発と太陽光発電は相互排他である。ひとえに、原発再稼働のためである。6月9日、JERAに確認すると、石油火力発電を再開しないということでなく、需給逼迫に備えて、LNG火力から順に再稼働していくということである。原発を再稼働する理由がない。


 石油がLNGより燃料コストやCO2排出が高い難をいうなら、多数の石油火力発電を最低限の石油燃料で、太陽光発電の調整の時の出力だけに備えて、待機運転しておく方法が有る。そうすれば、石油燃料をミニマムに抑えながら、太陽光発電の変動の調整幅を大きく取れ、太陽光発電が導入にし易くなる。使いきれない電気が出力抑制されたり、揚水発電に蓄電し切れず捨てられたりすることが最小限に抑えられる。電力需給逼迫は無くなる。一定発電しか出来ない原発のベースロードの下駄が、太陽光発電の調整幅を狭めている。その上、太陽光電気は余れば、その場で捨てられるが、原発電気の夜余る電気は、少なくとも送配電費用を回収する低料金で買われる。最悪、余っても、必ず揚水発電に蓄電され捨てられることは無い。需給の下駄を最小化し、太陽光発電の変動幅を最大化し、太陽光発電の導入を加速する。ピーク時の抑制は、あまり気にせず、導入を拡大することだ。単体でも過積載として既にやっていることだ。

 

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